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ミケとポン太(第2話)

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「・・・アンタら、ミケさんの借金取りってわけか・・・」

 もう完全にあきれ果てた口調で、晶がポン太たちに問いかけたー。

「その通りだぜ、そこのお兄さん」

「今日こそ取り立ててやるぜ!」

「うがあぁぁ!」

 あきれ果てて頭を抑える晶の目の前で、短足でずんぐりむっくりの動物もどきどもが喚き散らす。中には、なんだかわからない雄叫びまで上げているやつもいたー。

 ・・・ああ、やかましい・・・。

 玄関の軒先でこれをやられると、こちらとしてもさすがに迷惑である。まあ、借金取りなんて輩は大体が、わざと周囲に目立つようにして騒ぎながら金を催促するものだから、こいつらもその例に漏れないというだけのことなのだろうが・・・。

「わかった、わかった。とりあえず、話は聞こう」

 まずは、一旦こいつらの話を聞いて、妥協できるところは妥協するしかない。

「おう、ぜひとも聞いてもらうぜ、あのミケの極悪非道っぷりをな」

 あのミケさんが「極悪非道」呼ばわりされるというのにはかなりの違和感があったが(もっとも、真人間ーというか真ニャンコではないのは確かだが)、とりあえず、話を聞いてやれば多少は相手も収まりが付くと思うので、一応耳を傾けてやることにしたー。

ーー

 はっきり言って、借金取りの用事など限られている。

「はよカネ返せ」

 ただこれだけである。

 まあ、借りた金を返さないミケさんが一番悪いと言えばそうなのだろうが・・・。

「どうだ、どれだけミケが極悪な奴か、よくわかっただろう」

 得意げに胸を反らす狸もどきとその取り巻き連中。

 ・・・まあ、借金取りからすれば、金を返さないミケさんは「極悪非道」なのかもしれないが、どう聞いても、あのミケさんに相応しい4文字熟語ではないように思われた。

 これが「極悪非道」ではなく「人畜無害」なら、まだ話は分かるが・・・。

「まあ、お前さん方の話はよく分かった。とにかく、今ミケさんに確認してくるから、ここで待っててもらえないか?」

「いいだろう、ただ、ここにいるのはもうわかってんだからな、もし逃がそうとかおかしなことを考えたりしたら・・・ここでカネはらいた~まえのコーラスをやりまくるぞ」

「わかってるよ」

 はあ、と盛大にため息をついてから、

「清野、悪い、こいつらを抑えておけるか・・・オレはミケさんに話を聞きに行ってくるから」

 隣にいる早苗に、この動物もどきどもの相手をお願いする。

 早苗は、待ってました!と言わんばかりに目を輝かせながら、

「うん、大丈夫だよ、晶君。私に任せておいて」

 可愛い(と、少なくとも早苗は思っている)動物さんたちを目の前にして、やる気満々で応える早苗であったー。
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