テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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モリガン一人旅(第27話)

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「ここに、そろそろ紫の機体がやってくる可能性があるぞな」

 そう言えば、使い魔からの連絡で、紫の機体が方向転換してこの付近の捜索をし始めたらしいことが判明したのだった。

「その・・・ここら辺に不時着した飛空鎧は、杏里の町で修理することになりそうなんだろ?」

 先ほど、モリガンが説明した内容では、杏里と乗り手の少年は、一旦杏里の暮らしている町へと移動し、その後、町で飛空鎧を何とか修理してくれる場所がないか、探ってみるという手はずになっていた。

「おそらく、町まで牽引することになるじゃろうな・・・あんなでかいもの、運ぶだけでも一苦労じゃろう」

「だが、その前に紫のやつに見つかるとまずいな・・・乗り手の少年ー確か、カイトとか言っていたな・・・そいつの身もかなり危ないだろうし」

 紫の機体の乗り手は、まず間違いなく自分が撃ち漏らした飛空鎧の乗り手を狙っている。もし二人が顔を合わせた場合、どういうことになるかは皆目見当がつかないが、いい方向に転ぶということはないだろうと思われた。

「紫のやつがあの飛空鎧を見つけた場合、多分この森は・・・」

「まあ、付近はくまなく捜索しようとするじゃろうな・・・すぐにここも見つかるじゃろう。一旦、わしの魔法で二人を隠すこともできようが・・・」

 いざとなったら、モリガンの転送魔法陣で他の場所へ飛ばすことも可能だ。少なくとも、ほとぼりが冷めるまでは二人を他の場所へ逃がしたほうが賢明かもしれない。

「最悪、大樹まで二人をご招待ーなんてことになりそうじゃのう」

「あたしはここを動かんよ、モリガン」

 髪をぼりぼりとかきながら、楓は言い放つ。楓は、基本的にこのアトリエから出たがらない人物だ。外の世界とはなるべく関わらず、自分だけの世界にこもりがちで、心を開いている相手はこのモリガンと杏里、あとはホルルなど本当に一部の者達だけである。

「お前さんなら心配いらんじゃろ・・・相手の狙いは、あくまでもカイトとかいうパイロットの方じゃ・・・お前さんにとっては何の関係もない相手じゃしな」

 あの東方の女剣士も、邪術師ならともかく、さすがに無関係の相手を巻き込もうとはしないはずだ。

「ゆえに、あやつがこのアトリエを見つけて訪ねてきても、知らぬ存ぜぬで白を切り通せばよい」

「・・・大丈夫かね、本当に」

「・・・邪術師相手なら容赦せんようじゃがな、それ以外では特に危険というわけでもなさそうじゃ」

 あくまでも、使い魔からの立体映像を見る限りにおいては、という条件は付いているが。

「まあ、あの飛空鎧が、東方の女剣士に見つかる前に町工場に運ばれていれば問題はないかもしれん・・・とはいえ、やはりしばらくはカイトと杏里を他の場所に匿うべきじゃろうな」

 モリガンは、そういうと居間を出て行こうとする。

「お、おい!どこに行くつもりだ?」

 その姿を見とがめて声をかける楓だったが、それに対して、モリガンはにぃっと笑みを浮かべて、

「なあに、ちょっくら大樹とここを一時的に接続しに行くだけじゃよ」

 まるでこれから盛大な悪戯でも始めるかのごとく、愉し気に宣言したのだったー。
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