テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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モリガン一人旅(第23話)

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「この二人のことは、あとはしばし使い魔に任せておいてもいいじゃろう」

 問題は、紫の機体の方だ。おそらく、未だに不時着したこの機体の捜索を行っているはず。一応、紫の機体の方も引き続き別な使い魔に追跡を継続させておくことにした。

「さて、見学もここまでじゃな・・・そろそろ楓の家に行かんと、あやつのことじゃし、うるさいからのう・・・」

 うーんと伸びをしてから、再び飛行魔法を使用するモリガン。ここまで来れば、目的の場所まではもうすぐのことだ。通信などではしょっちゅうやり取りをしている間柄であるが、直に顔を合わせるのは久しぶりのことになる。

「大樹からの土産もあるし・・・あとはホルルのやつの愚痴を聞いてやるのも一興じゃな」

 楓にこき使われている魔法フクロウのことを思い出し、思わず悪戯っぽい笑みを浮かべてしまうモリガンであった。

「よし、このまま一気に行くか!」

 多少休憩を挟んだので、モリガンの体調は万全である。あとは目的地まで一気に飛ばすだけだ。

ーー

 風を切り、ツインテールを激しく靡かせながら、魔女モリガンは楓のアトリエがある森を目指した。

「しっかし、天空世界というのは風が強くていかんのう・・・」

 髪の毛が途中目に入りそうになり、思わず愚痴をこぼすモリガン。速度もそれなりに出しているが、やはり浮遊大陸に吹く風自体も結構強いのが影響している。

「・・・とはいえ、思いっきり飛ばせるというのは気持ちのいいもんじゃがな」

 大樹と違い、飛行するにあたり障害物はないというのは非常にありがたい。目の前のものを気にせず一気に飛ばせるというのは、まさに気分爽快の一言に尽きるものだった。

「あやつの住んでいる森はもうすぐじゃな・・・おっ!」

 目指す森の付近に、先ほど使い魔からの映像で見た、不時着した飛空鎧を発見した。

「あれが・・・」

 使い魔からの映像で見ているとはいえ、やはり自分の目で直に見るのとでは感覚が違う。

 モリガンは、不時着した飛空鎧の傍に降り立ち、腕組みをしながら、その姿をじっくりと観察してみた。

「・・・こんなもんに人が乗って戦うとか・・・わしには信じられん話じゃのう・・・」

 ましてや、この中に乗っていたのがモリガンより2、3歳くらい年上の少年だというのだから、なおのこと驚きである。

「まあ、狭苦しい大樹では活躍の場がないじゃろうし、こんなものが扱えるとしたら、やはり空かー」

 あるいは、荒廃して一面砂漠だけの地表くらいか。いずれにしろ、大樹に暮らしている限りにおいては、お目にかかる機会はめったにないだろう。

「・・・わしには到底及ばぬ世界じゃな」

 あり得ない話だとは思うが、もし万が一にモリガンが飛空鎧と対峙しなければならなくなった場合、生身でも勝つ自信は・・・ある。さすがに、あの紫の機体は難しいかもしれないが、一般的な飛空鎧なら、彼女の魔法で十分撃退できるだろう。

「もっとも、こんなのとやり合うことなどないじゃろうがな」

 頭を振り、苦笑しながら、モリガンは飛空鎧から離れる。寄り道もほどほどにして、そろそろ楓のアトリエへと向かうべきだ。

「そろそろ、行くとするかのう」

 飛空鎧の付近の森へと足を踏み入れるモリガンであったー。
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