274 / 464
モリガン一人旅(第17話)
しおりを挟む
「ひゃっほう!」
モリガンが、風を切りながら平原を飛行するー。
飛空船から降り、街から外に出たモリガンは、そのまま自身の飛行魔法で桐ケ谷楓のアトリエがある森を目指した。
「うーん、さっきまで座りっぱなしじゃったからのう・・・体を思い切り動かせて気持ちいいわい!」
ツインテールを風に激しく靡かせながら、特に障害物らしいものもない平原を飛び回るのは実際心地いいものだった。
モリガンが操る飛行魔法は、重力制御の応用によって実現している。大抵の魔法使いなら風属性の魔法で空を飛行するのだが、より高度な重力制御により飛行を可能にしている辺り、モリガンが卓越した魔法の使い手であるということが窺い知れた。
「この分じゃと、楓のアトリエまでそうかからんじゃろう。まあ、急ぐ必要もないし、少し速度を落とすとするかのう」
楓との待ち合わせまでまだ時間的余裕がある。モリガンは、少しスピードを落とし、この浮遊大陸から見える空の眺めを楽しむことにした。
「そう言えば、この惑星は外殻がいびつな形をしとったな・・・それで、日の当たる場所とそうでない場所が鮮明に分かれるわけか」
惑星Σ-11は、例えるなら回転ジャングルジムのような形をしており、その中に人々が暮らしているこの浮遊大陸が内包されている。回転ジャングルジムのような外殻のため、日中でも陽の光が遮られる部分とそうでない部分が鮮明になり、広大なまだら模様になるのだった。
「・・・そのうち他の惑星も覗いてみたいものじゃな・・・」
幼いころ、母エレオノーラに連れられて、他の惑星に行ったこともある。光を透過する特殊な外殻で覆われた惑星で、まるで地球の中にさらに小さな地球が存在しているかのような光景だった。
その他、巨大な鎖のような衛星群によって繋がれたかのように見える双子の惑星も見たことがある。赤と青の色彩の惑星で、周辺の衛星で暮らしていた住民たちからは「連結惑星」と呼ばれていたようだった。この双子の惑星は鉱石型ではなく、気体型(ガス状)であるため、さすがに内部に進入することはできないが、その光景は、一度目にしたら忘れられないインパクトを与えること必至である。
「あの連結惑星は・・・さすがに忘れられんのう・・・いつかもう一度見に行ってみたいものじゃ」
ちょうど、外殻の影になっているエリアに降りて、少し休むことにする。まだまだ余裕はある。多少羽根を伸ばしても罰は当たるまい。
おもむろに腰を下ろし、何とはなしに天空世界に目を向けた。
「大樹から見える景色もいいが、やはり浮遊大陸ならではの眺望もありじゃな」
天空世界特有の強い風が、モリガンの金色のツインテールを靡かせる。風は強いが、不思議と息苦しくはない・・・むしろ、どこか「秋の領域」で吹く風に似ているところがあり、モリガンはこの浮遊大陸に対して親近感を覚えた。
「さて・・・そろそろ休憩も終わりにするか・・・遅れることは無いとは思うが、万が一遅れたら遅れたで、あやつも口うるさいからのう」
友人に対して軽く愚痴をこぼしつつ、モリガンはお尻に着いた土や草を掃いながら立ち上がり、再び飛行魔法を使い始めたー。
モリガンが、風を切りながら平原を飛行するー。
飛空船から降り、街から外に出たモリガンは、そのまま自身の飛行魔法で桐ケ谷楓のアトリエがある森を目指した。
「うーん、さっきまで座りっぱなしじゃったからのう・・・体を思い切り動かせて気持ちいいわい!」
ツインテールを風に激しく靡かせながら、特に障害物らしいものもない平原を飛び回るのは実際心地いいものだった。
モリガンが操る飛行魔法は、重力制御の応用によって実現している。大抵の魔法使いなら風属性の魔法で空を飛行するのだが、より高度な重力制御により飛行を可能にしている辺り、モリガンが卓越した魔法の使い手であるということが窺い知れた。
「この分じゃと、楓のアトリエまでそうかからんじゃろう。まあ、急ぐ必要もないし、少し速度を落とすとするかのう」
楓との待ち合わせまでまだ時間的余裕がある。モリガンは、少しスピードを落とし、この浮遊大陸から見える空の眺めを楽しむことにした。
「そう言えば、この惑星は外殻がいびつな形をしとったな・・・それで、日の当たる場所とそうでない場所が鮮明に分かれるわけか」
惑星Σ-11は、例えるなら回転ジャングルジムのような形をしており、その中に人々が暮らしているこの浮遊大陸が内包されている。回転ジャングルジムのような外殻のため、日中でも陽の光が遮られる部分とそうでない部分が鮮明になり、広大なまだら模様になるのだった。
「・・・そのうち他の惑星も覗いてみたいものじゃな・・・」
幼いころ、母エレオノーラに連れられて、他の惑星に行ったこともある。光を透過する特殊な外殻で覆われた惑星で、まるで地球の中にさらに小さな地球が存在しているかのような光景だった。
その他、巨大な鎖のような衛星群によって繋がれたかのように見える双子の惑星も見たことがある。赤と青の色彩の惑星で、周辺の衛星で暮らしていた住民たちからは「連結惑星」と呼ばれていたようだった。この双子の惑星は鉱石型ではなく、気体型(ガス状)であるため、さすがに内部に進入することはできないが、その光景は、一度目にしたら忘れられないインパクトを与えること必至である。
「あの連結惑星は・・・さすがに忘れられんのう・・・いつかもう一度見に行ってみたいものじゃ」
ちょうど、外殻の影になっているエリアに降りて、少し休むことにする。まだまだ余裕はある。多少羽根を伸ばしても罰は当たるまい。
おもむろに腰を下ろし、何とはなしに天空世界に目を向けた。
「大樹から見える景色もいいが、やはり浮遊大陸ならではの眺望もありじゃな」
天空世界特有の強い風が、モリガンの金色のツインテールを靡かせる。風は強いが、不思議と息苦しくはない・・・むしろ、どこか「秋の領域」で吹く風に似ているところがあり、モリガンはこの浮遊大陸に対して親近感を覚えた。
「さて・・・そろそろ休憩も終わりにするか・・・遅れることは無いとは思うが、万が一遅れたら遅れたで、あやつも口うるさいからのう」
友人に対して軽く愚痴をこぼしつつ、モリガンはお尻に着いた土や草を掃いながら立ち上がり、再び飛行魔法を使い始めたー。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スーパー忍者・タカシの大冒険
Selfish
ファンタジー
時は現代。ある日、タカシはいつものように学校から帰る途中、目に見えない奇妙な光に包まれた。そして、彼の手の中に一通の封筒が現れる。それは、赤い文字で「スーパー忍者・タカシ様へ」と書かれたものだった。タカシはその手紙を開けると、そこに書かれた内容はこうだった。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる