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ミケとポン太

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モリガン一人旅(第17話)

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「ひゃっほう!」

 モリガンが、風を切りながら平原を飛行するー。

 飛空船から降り、街から外に出たモリガンは、そのまま自身の飛行魔法で桐ケ谷楓のアトリエがある森を目指した。

「うーん、さっきまで座りっぱなしじゃったからのう・・・体を思い切り動かせて気持ちいいわい!」

 ツインテールを風に激しく靡かせながら、特に障害物らしいものもない平原を飛び回るのは実際心地いいものだった。

 モリガンが操る飛行魔法は、重力制御の応用によって実現している。大抵の魔法使いなら風属性の魔法で空を飛行するのだが、より高度な重力制御により飛行を可能にしている辺り、モリガンが卓越した魔法の使い手であるということが窺い知れた。

「この分じゃと、楓のアトリエまでそうかからんじゃろう。まあ、急ぐ必要もないし、少し速度を落とすとするかのう」

 楓との待ち合わせまでまだ時間的余裕がある。モリガンは、少しスピードを落とし、この浮遊大陸から見える空の眺めを楽しむことにした。

「そう言えば、この惑星は外殻がいびつな形をしとったな・・・それで、日の当たる場所とそうでない場所が鮮明に分かれるわけか」

 惑星Σ-11は、例えるなら回転ジャングルジムのような形をしており、その中に人々が暮らしているこの浮遊大陸が内包されている。回転ジャングルジムのような外殻のため、日中でも陽の光が遮られる部分とそうでない部分が鮮明になり、広大なまだら模様になるのだった。

「・・・そのうち他の惑星も覗いてみたいものじゃな・・・」

 幼いころ、母エレオノーラに連れられて、他の惑星に行ったこともある。光を透過する特殊な外殻で覆われた惑星で、まるで地球の中にさらに小さな地球が存在しているかのような光景だった。

 その他、巨大な鎖のような衛星群によって繋がれたかのように見える双子の惑星も見たことがある。赤と青の色彩の惑星で、周辺の衛星で暮らしていた住民たちからは「連結惑星」と呼ばれていたようだった。この双子の惑星は鉱石型ではなく、気体型(ガス状)であるため、さすがに内部に進入することはできないが、その光景は、一度目にしたら忘れられないインパクトを与えること必至である。

「あの連結惑星は・・・さすがに忘れられんのう・・・いつかもう一度見に行ってみたいものじゃ」

 ちょうど、外殻の影になっているエリアに降りて、少し休むことにする。まだまだ余裕はある。多少羽根を伸ばしても罰は当たるまい。

 おもむろに腰を下ろし、何とはなしに天空世界に目を向けた。

「大樹から見える景色もいいが、やはり浮遊大陸ならではの眺望もありじゃな」

 天空世界特有の強い風が、モリガンの金色のツインテールを靡かせる。風は強いが、不思議と息苦しくはない・・・むしろ、どこか「秋の領域」で吹く風に似ているところがあり、モリガンはこの浮遊大陸に対して親近感を覚えた。

「さて・・・そろそろ休憩も終わりにするか・・・遅れることは無いとは思うが、万が一遅れたら遅れたで、あやつも口うるさいからのう」

 友人に対して軽く愚痴をこぼしつつ、モリガンはお尻に着いた土や草を掃いながら立ち上がり、再び飛行魔法を使い始めたー。
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