テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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モリガン一人旅(第15話)

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 モリガンの乗った飛空船は、回転ジャングルジムのような外観の惑星Σ-11の圏内に進入していた。

「ふああ。よう寝たわい」

 盛大に欠伸をしながら、モリガンは窓の外に目をやった。

「おお、いよいよ目的の惑星じゃな・・・あやつと直接会うのも久しぶりじゃし、少しからかってやるかのう」

 悪戯っぽい笑みを浮かべながら、モリガンはこれから会う友人について思いを馳せた。

 桐ケ谷楓ー周辺の人物たちからはかなりの変人と言われている女性で、年上ではあるが、なぜかモリガンとは馬が合った。

 モリガン同様、人里離れた森の中にアトリエを構えて暮らしており、何やら独自に研究しているようだが、この辺りが似た者同士ということで、おそらく彼女とは親しくできるのだろう。

「まあ、あやつのことじゃし、相も変わらずといったところじゃろうがな」

 実のところ、単に連絡を取り合うだけならそれなりの頻度では行っている・・・が、こうやって直接会いに行くのは1年ぶりだ。

「後で、楓の家で使い魔からの映像内容を一緒に確認してみようかのう。あやつらがどうなったか気にはなるし」

 まあ、その後の光景は大体予測できる。おそらく、双方引き下がるはずだ。東方の女剣士も邪術師の少女も、満身創痍。彼女たちの下に駆け付けた空のチームの連中も、それ以前に強敵の害蟲と戦っていることから、無理に戦いを継続するようなことはするまい。お互い、痛み分けといったところでお開きとなるだろう。

 ただー。

「あの東方の輩の方じゃな・・・その後の動きが気になるのは」

 あの東方の女剣士は、邪術師と戦う前は、自身が撃墜した飛空鎧を追跡してこの惑星Σ-11にたどり着いたのだ。邪術師との戦いの後は、さすがに自身の体力の回復のため、いきなり動くということはないにしろ、おそらくはその追跡を再開するはず。

「あの東方の輩が、どれだけ邪術師を目の敵にしておろうが、さすがに5人相手にすぐ再戦を挑むとも思えんし・・・やはりそちらの追跡を再開しようとするじゃろうな・・・」

 モリガン個人としても、あの紫の機体の使い手相手に渡り合った飛空鎧の所在が気になっていた。今後、大樹だけでなく、天空世界でもチーム《ユグドラシル》が活動するようなことがあれば、ぜひとも参考にしなければならない。

 巨大機械を用いた空での戦いというものを。

「・・・咲那や鏡香辺りなら、例え生身であっても飛空鎧相手に立ち向かっていきそうじゃがのう」

 自分の言葉に苦笑しながら、モリガンは再び窓の外に目をやった。

 浮遊大陸は、もう目と鼻の先だ。あとは、この飛空船が街に降りてから、飛行魔法で楓のアトリエを目指すことにする。

「まあ、乗り物もいいんじゃが、今までずっと飛空船に乗ってきたからのう。今度は、自分の魔法で飛ばしたい気分じゃな」

 モリガンの重力制御魔法なら、あっという間に楓のアトリエまで飛行することができる。

「・・・魔女だからと言っても、箒なんぞは絶対に使わんぞ」

 ・・・誰も聞いていないのに、全力で箒跨ぎを否定するモリガン。

 うーん、と背伸びをしながら、モリガンは飛空船の着陸を待つことにしたー。
 
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