テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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モリガン一人旅(第9話)

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「あの紫の輩も、邪術師の存在に気付いたか・・・」

 使い魔の目を通して送られる立体投影を見ながら、ひとり零すモリガンー。

 もちろん、使い魔からもたらされる立体映像は、他の人間には知覚できないように細工を施されたものである。

「あの紫の機体は、おそらく東方のものじゃろうから、その搭乗者は、この邪術師をこのまま見逃すということもないじゃろうな・・・」

 これから始まるであろう邪術師と紫の機体の搭乗者との戦いを予見しながら、モリガンは再び使い魔に空のチームの方を確認させた。

「あの害蟲を屠ったのは見事じゃが・・・まあ、わしに言わせればまだまだじゃな」

 ふんっと鼻を鳴らして、害蟲を倒し喜び合う空のチームの面々の姿を確認した。

 構成メンバーは、金髪でツインテールの娘(皮肉なことに、モリガンと似たような容姿だった)、長い黒髪で眼鏡をかけた大人びた女性、あとは赤毛で背が低い少年と、対照的に青毛で背高い男性、そしてー。

 全身黒ずくめで、ウェーブのきつい黒髪を、天空世界の激しい風に靡かせるままにしている邪術師の少女ー。

 この邪術師の少女の周りには、まるで黒翼鳥が飛び立った後であるかのように、黒い羽根が舞い散っている。魔女であるモリガンなら、あの黒い羽根こそが彼女の魔力の実体であることくらいはすぐにわかる。

 この連中と直接対峙することになるとは思えないが、全くその可能性が無いとは言い切れない。一応は気に留めておいた方がいいだろう。

 使い魔に、可能な限りこの空のチームの連中の情報を探らせておくことにした。

「・・・まあ、個性的な連中ではあるがな」

 個性でいえば、うちのチームも負けてはいないだろう。まあ、中にはミケさんのように、果たしてチームの一員と言えるかどうかも怪しいのもいるが。

「さて・・・」

 空のチームの連中が、彼らの飛空船で回転ジャングルジムのような外殻だけの惑星を目指し始めた。外殻の隙間(と言っても、その間隙はかなりの規模のものなのだが)を通り、惑星内に内包された浮遊大陸に進入する。

 そして、モリガンの予想通り、紫の飛空鎧も彼らの後を追いかけ始めた。

「やはり、東方の連中にとっては邪術師は敵・・・見過ごすわけもないか」

 おそらく、この浮遊大陸で、あの邪術師の少女と戦うつもりなのだろう。

 モリガンは、ふとこの紫の飛空鎧の搭乗者の顔を見てみたいと思った。今、空のチームのことを探らせている使い魔を2体に分裂させ、片方を紫の機体の追跡に向かわせる。

「東方のことについては、わしら西方の魔女は専門外じゃからのう。この際じゃし、しっかりと確認させてもらうとするかのう」

 モリガン達西方の魔女の起源は、古くは前文明時代のグレートブリテンに端を発するとされている。かの大英帝国こそが、彼女らの起源というわけだ。

 もっとも、今となっては敬愛すべき女王陛下も存在しないが。

「さて・・・この機体の搭乗者はどんな顔をしているのか・・・」

 風を切り、浮遊大陸へと向かう紫の機体の後を、モリガンの使い魔が小刻みな空間転移を繰り返しながら追跡したー。

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