260 / 464
モリガン一人旅(第4話)
しおりを挟む
というわけで、
「やれやれ、久しぶりじゃのう、空の旅も」
目的の浮遊大陸がある惑星Σ-11行きの便ー。
飛空船の座席に座り、窓から外の景色を眺めながら、独り言ちるモリガン。もっとも、「秋の領域最大の魔女」である彼女なら、「空を飛ぶこと」自体は自分でも可能だが、こうして乗り物に乗っての空の旅というのも、たまには悪くないと思えた。
「ま、自分で飛ばんでもいい分楽ちんじゃしな・・・転送魔法陣であっという間に到着なんていうのは、あまりにも面白みがないしのう」
使い魔である執事君グレートは、晶たちに預けてある。万が一、何か起こった場合はすぐにモリガンに連絡がいくような手筈となっていた。
「地下世界に蟲憑きがいたくらいじゃからな・・・何もなければそれに越したことはないが・・・」
蟲憑きがうろついていた以上、用心するに越したことはない。まあ、晶たちならそうそう後れを取ることも無いだろうが・・・。
「・・・まあ、すぐに事が起こるというわけでもなし、ゆったりとくつろぐかの」
うーんと背伸びをして、背もたれに寄りかかるモリガン。なんだか、妙に眠かったりする。
「・・・ミケさんくらいは連れてくるべきじゃったかのう。あやつをいじくりまわしておれば眠気も吹き飛びそうじゃし」
最初、ミケさんと出会ったばかりの頃は、彼を追い掛け回して髭を引っ張ったりして遊んだものだが、最近ではさすがに控えている。
眠気をこらえつつ、窓の外を眺める。陽の光を浴びて輝く白銀の雲海と、どこまでも果てしなく続く蒼穹の空の世界ーモリガンも、自身の魔法で空を飛ぶことはあるが、やはりじっくりとこの光景を拝むのであれば、自分の力を消費せずとも済む乗り物の中からの方が適していた。
最初の空の旅は、母であるエレオノーラに連れられてのことだった。まだ3~4歳くらいだったが、今でも鮮明に思い出せる光景だ。
当たり前だが、まだ幼かったモリガンは、その当時はまだ「魔女の叡智」を引き継いでおらず、魔女としての素質はあったものの、今ほどの魔力もなかった。もっぱら、偉大なる魔女であるエレオノーラの魔術を見て育った。
自分の母親ながら、やはりエレオノーラは偉大な魔女であったと、今でも思う。顔を合わせれば反発することが多かったモリガンだが、自分は一生かかっても彼女には追い付けないだろうとも思っていた。
それは、「魔女の叡智」を母から受け継いだ今となっても変わらない。いや、受け継いだ後だからこそ、なおのこと彼女に追いつくことはできないということを、否が応でも実感させられたのだった。
「元気でやっておるかのう、うちの両親は」
父親の方は、魔法とはあまり縁のない人物で、母と熱烈な恋愛を経て結ばれたらしい。ほぼ駆け落ちに近かったと聞いている。
「まあ、あの万年バカップルなら心配は要らんか・・・」
我が親ながら、年齢や月日を全く感じさせないバカップルぶりに、思わず思い出し笑いをしてしまうモリガンであったー。
「やれやれ、久しぶりじゃのう、空の旅も」
目的の浮遊大陸がある惑星Σ-11行きの便ー。
飛空船の座席に座り、窓から外の景色を眺めながら、独り言ちるモリガン。もっとも、「秋の領域最大の魔女」である彼女なら、「空を飛ぶこと」自体は自分でも可能だが、こうして乗り物に乗っての空の旅というのも、たまには悪くないと思えた。
「ま、自分で飛ばんでもいい分楽ちんじゃしな・・・転送魔法陣であっという間に到着なんていうのは、あまりにも面白みがないしのう」
使い魔である執事君グレートは、晶たちに預けてある。万が一、何か起こった場合はすぐにモリガンに連絡がいくような手筈となっていた。
「地下世界に蟲憑きがいたくらいじゃからな・・・何もなければそれに越したことはないが・・・」
蟲憑きがうろついていた以上、用心するに越したことはない。まあ、晶たちならそうそう後れを取ることも無いだろうが・・・。
「・・・まあ、すぐに事が起こるというわけでもなし、ゆったりとくつろぐかの」
うーんと背伸びをして、背もたれに寄りかかるモリガン。なんだか、妙に眠かったりする。
「・・・ミケさんくらいは連れてくるべきじゃったかのう。あやつをいじくりまわしておれば眠気も吹き飛びそうじゃし」
最初、ミケさんと出会ったばかりの頃は、彼を追い掛け回して髭を引っ張ったりして遊んだものだが、最近ではさすがに控えている。
眠気をこらえつつ、窓の外を眺める。陽の光を浴びて輝く白銀の雲海と、どこまでも果てしなく続く蒼穹の空の世界ーモリガンも、自身の魔法で空を飛ぶことはあるが、やはりじっくりとこの光景を拝むのであれば、自分の力を消費せずとも済む乗り物の中からの方が適していた。
最初の空の旅は、母であるエレオノーラに連れられてのことだった。まだ3~4歳くらいだったが、今でも鮮明に思い出せる光景だ。
当たり前だが、まだ幼かったモリガンは、その当時はまだ「魔女の叡智」を引き継いでおらず、魔女としての素質はあったものの、今ほどの魔力もなかった。もっぱら、偉大なる魔女であるエレオノーラの魔術を見て育った。
自分の母親ながら、やはりエレオノーラは偉大な魔女であったと、今でも思う。顔を合わせれば反発することが多かったモリガンだが、自分は一生かかっても彼女には追い付けないだろうとも思っていた。
それは、「魔女の叡智」を母から受け継いだ今となっても変わらない。いや、受け継いだ後だからこそ、なおのこと彼女に追いつくことはできないということを、否が応でも実感させられたのだった。
「元気でやっておるかのう、うちの両親は」
父親の方は、魔法とはあまり縁のない人物で、母と熱烈な恋愛を経て結ばれたらしい。ほぼ駆け落ちに近かったと聞いている。
「まあ、あの万年バカップルなら心配は要らんか・・・」
我が親ながら、年齢や月日を全く感じさせないバカップルぶりに、思わず思い出し笑いをしてしまうモリガンであったー。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スーパー忍者・タカシの大冒険
Selfish
ファンタジー
時は現代。ある日、タカシはいつものように学校から帰る途中、目に見えない奇妙な光に包まれた。そして、彼の手の中に一通の封筒が現れる。それは、赤い文字で「スーパー忍者・タカシ様へ」と書かれたものだった。タカシはその手紙を開けると、そこに書かれた内容はこうだった。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる