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水無杏里の物語(第22話)
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その時、誰かからふいに声をかけられたー。
ーいったい、どこから話しかけてきているんだ?
カイトが辺りをきょろきょろ見回していると、杏里はくすくす笑いながら、
「ホルルさん、カイトがびっくりしてるわ・・・」
「え?杏里、誰なの?」
ますます声の主がどこにいるのかわからないカイトーすると、
「お主の頭の上じゃよ、少年」
その時、トスンという小気味いい音が頭の上で鳴り、何かが乗ったような感触・・・
「って、うわぁぁ!」
カイトが驚いて声を上げた。頭の上の声の主は、バサバサと翼をはためかせ、
「ホーホウ、ようこそ、少年・・・桐ケ谷楓のアトリエへ」
頭上ではなんともずんぐりむっくりとしたフクロウが羽ばたいていたー。
ーー
「カイト、彼はこの森に棲んでいる魔法フクロウのホルルさんよ。楓さんの執事でもあるの」
「ふ、フクロウ!?それに・・・執事って・・・」
喋るフクロウで、しかも桐ケ谷楓の執事だって!?
混乱して、何が何だかよくわからないといった感じで、口をパクパクさせながら、カイトは頭上の魔法フクロウことホルルを見上げた。
ホルルは、楽し気に首を傾けながら(当然ながら、人間では絶対回らない角度になっているが)、
「ご紹介の通り、わしは魔法フクロウのホルルじゃ・・・ま、正確に言えばフクロウというよりも益蟲なんじゃがのう」
「え、益蟲・・・」
聞いたことがある。この世界には、人間や周囲の環境に害をなす害蟲とは対照的に、人間や周囲の生物に好影響をもたらす益蟲と呼ばれる存在がいることを。
害蟲は、カイトも空のハンターである以上、何度も狩ったこともあるが、生憎益蟲に出会ったことは一度もなかった。つまり、カイトにとって、この邂逅こそが最初の益蟲とのご対面というわけである。
「わしは桐ケ谷楓の・・・一応は執事ということになっておる」
「なっているって・・・」
なんだか、表現が微妙に聞こえたので、思わず聞き返してしまうカイト。そんな彼の様子を心底面白がりながら、ホルルは、
「ここだけの話じゃが、桐ケ谷楓が森を散策していたわしを勝手に捕まえて、勝手に家に連れ込んで、勝手にわしを執事にしたのじゃ・・・まったく、長年楓には付き合って居るが、いまだによくわからんやつじゃわい」
ホウホウ・・・と、ため息なのか単なるフクロウの鳴き声なのかいまいち微妙な声を上げるホルル。彼の話を聞く限りでは(3回も「勝手に」という表現があることからもわかるように)、桐ケ谷楓という人物はかなり強引な女性らしい。
「・・・でも、なんだかんだ言ってもホルルさんは楓さんの下を離れる気はないんでしょう?二人とも仲がいいものね」
楓の家の中で、何度も楓とホルルのやり取りを見てきた杏里にとっては、この二人はいいコンビに思えた。
「わしがいないと楓はてんでだらしがないからのう・・・おおっと、もちろんじゃが、杏里、お前さんもじゃよ。お前さんが楓の世話をしてくれておらなんだら、家事どころの騒ぎではないからのう」
・・・フクロウ(正確には益蟲)にさえ私生活のだらしなさを嘆かれるくらいだから、おそらく相当ずぼらな人物であろうことは間違いないだろう。
「そう言えば、今日は他にも来客があったのう。何やら可愛らしいお嬢さんじゃったが・・・」
この後、杏里とカイトは、楓の友人である魔女とご対面することになるー。
ーいったい、どこから話しかけてきているんだ?
カイトが辺りをきょろきょろ見回していると、杏里はくすくす笑いながら、
「ホルルさん、カイトがびっくりしてるわ・・・」
「え?杏里、誰なの?」
ますます声の主がどこにいるのかわからないカイトーすると、
「お主の頭の上じゃよ、少年」
その時、トスンという小気味いい音が頭の上で鳴り、何かが乗ったような感触・・・
「って、うわぁぁ!」
カイトが驚いて声を上げた。頭の上の声の主は、バサバサと翼をはためかせ、
「ホーホウ、ようこそ、少年・・・桐ケ谷楓のアトリエへ」
頭上ではなんともずんぐりむっくりとしたフクロウが羽ばたいていたー。
ーー
「カイト、彼はこの森に棲んでいる魔法フクロウのホルルさんよ。楓さんの執事でもあるの」
「ふ、フクロウ!?それに・・・執事って・・・」
喋るフクロウで、しかも桐ケ谷楓の執事だって!?
混乱して、何が何だかよくわからないといった感じで、口をパクパクさせながら、カイトは頭上の魔法フクロウことホルルを見上げた。
ホルルは、楽し気に首を傾けながら(当然ながら、人間では絶対回らない角度になっているが)、
「ご紹介の通り、わしは魔法フクロウのホルルじゃ・・・ま、正確に言えばフクロウというよりも益蟲なんじゃがのう」
「え、益蟲・・・」
聞いたことがある。この世界には、人間や周囲の環境に害をなす害蟲とは対照的に、人間や周囲の生物に好影響をもたらす益蟲と呼ばれる存在がいることを。
害蟲は、カイトも空のハンターである以上、何度も狩ったこともあるが、生憎益蟲に出会ったことは一度もなかった。つまり、カイトにとって、この邂逅こそが最初の益蟲とのご対面というわけである。
「わしは桐ケ谷楓の・・・一応は執事ということになっておる」
「なっているって・・・」
なんだか、表現が微妙に聞こえたので、思わず聞き返してしまうカイト。そんな彼の様子を心底面白がりながら、ホルルは、
「ここだけの話じゃが、桐ケ谷楓が森を散策していたわしを勝手に捕まえて、勝手に家に連れ込んで、勝手にわしを執事にしたのじゃ・・・まったく、長年楓には付き合って居るが、いまだによくわからんやつじゃわい」
ホウホウ・・・と、ため息なのか単なるフクロウの鳴き声なのかいまいち微妙な声を上げるホルル。彼の話を聞く限りでは(3回も「勝手に」という表現があることからもわかるように)、桐ケ谷楓という人物はかなり強引な女性らしい。
「・・・でも、なんだかんだ言ってもホルルさんは楓さんの下を離れる気はないんでしょう?二人とも仲がいいものね」
楓の家の中で、何度も楓とホルルのやり取りを見てきた杏里にとっては、この二人はいいコンビに思えた。
「わしがいないと楓はてんでだらしがないからのう・・・おおっと、もちろんじゃが、杏里、お前さんもじゃよ。お前さんが楓の世話をしてくれておらなんだら、家事どころの騒ぎではないからのう」
・・・フクロウ(正確には益蟲)にさえ私生活のだらしなさを嘆かれるくらいだから、おそらく相当ずぼらな人物であろうことは間違いないだろう。
「そう言えば、今日は他にも来客があったのう。何やら可愛らしいお嬢さんじゃったが・・・」
この後、杏里とカイトは、楓の友人である魔女とご対面することになるー。
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