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水無杏里の物語(第20話)
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カイトの飛空鎧の不時着場所まで案内することになった。
杏里と技師であるギュンターとともに、牽引用の飛空艇へと乗り込み、不時着場所である森付近まで道案内するー。
「そう言えば、杏里にとっては久しぶりの空の旅かな」
飛空艇の操舵輪を動かしながら、ギュンターが傍らの杏里に尋ねた。
「そうね・・・最近はほとんどお空には行っていないから・・・やっぱりお空の上は気持ちがいいわね」
軽く背伸びをしながら、杏里は飛空艇の窓から見える光景に目を輝かせた。
眼下には、先ほど父やカイトと共に自動走行車で走った街道が見える。その他は草原と、東側の湖・・・そして、湖の端から流れ落ちる滝ーこの滝の下にも、やはり浮遊島は存在し、この滝の受け皿となっているのだ。おそらく、浮遊大陸の外側から見れば、その幻想的な光景に魅了されることだろう。
「まあ、旅といっても飛空鎧をけん引するまでの往復くらいだから、大した道のりにはならないんだけどね」
「それでも、久しぶりにお空を飛ぶのはやっぱり気持ちいいわ・・・このままずっと飛んでいたいなって思えてくるし」
空の上から地上を見渡すのは、いつもながら新鮮な気持ちになる。ますます、空のハンターとして暮らしてきたカイトのことがうらやましくなる杏里だった。
「このまま道なりにまっすぐですね、ギュンターさん」
カイトが、窓から眼下に見える街道を確認して道案内を行う。先ほど通った道だけに、この浮遊大陸のことをほとんど知らないカイトでも楽に案内ができた。
「わかった・・・ああ、あと、飛空鎧の近くまで来たら、君たち二人を先に降ろしてから牽引作業に取り掛かるから、先に桐ケ谷さんのところの用事を済ませてくるといいよ」
これから、町でも変わり者と有名の桐ケ谷楓に会いに行くことになっている。杏里やギュンターが変わり者というくらいだから、相当の変人であることに疑いの余地は無いだろう。
・・・大丈夫かな、と少々不安気味のカイトに、杏里は穏やかな笑みを浮かべながら、
「大丈夫よ、カイト。楓さんは、確かに変わり者なんだけれど本当はとてもいい人だから、何も心配することはないわ・・・」
「うん・・・」
「ただ、問題なのは私生活もずぼらってことよね・・・彼女の掃除洗濯とか、結構私がやったりしているから・・・」
ついでに言えば、食生活も大変だらしがなく、杏里が世話を焼かなければ毎食カップ麺やジャンクフードで終わりかねない状況であった。
「彼女、生活の乱れについては相変わらずのようだね・・・」
苦笑しながら、ギュンターはかつて楓と対面した時のことを思い出した。
足の踏み場もない部屋の惨状、下手すれば家の周りにまであふれかねないゴミの山ーギュンター自身も、部屋の片づけはあまり得意ではない方だが、それをさらに上回るーしかも、相手は女性だー有様に、思わず閉口したものだった。杏里がいなければ、今頃私生活はどうなっていたことだろうか。
「今日、片付けに行った時も結構ひどかったからね・・・まあすぐに汚れるということはさすがにないでしょうけど」
溜息交じりに呟く杏里。どうやら、これはかなりの変人だな・・・と、思わず身構えるカイトであったー。
杏里と技師であるギュンターとともに、牽引用の飛空艇へと乗り込み、不時着場所である森付近まで道案内するー。
「そう言えば、杏里にとっては久しぶりの空の旅かな」
飛空艇の操舵輪を動かしながら、ギュンターが傍らの杏里に尋ねた。
「そうね・・・最近はほとんどお空には行っていないから・・・やっぱりお空の上は気持ちがいいわね」
軽く背伸びをしながら、杏里は飛空艇の窓から見える光景に目を輝かせた。
眼下には、先ほど父やカイトと共に自動走行車で走った街道が見える。その他は草原と、東側の湖・・・そして、湖の端から流れ落ちる滝ーこの滝の下にも、やはり浮遊島は存在し、この滝の受け皿となっているのだ。おそらく、浮遊大陸の外側から見れば、その幻想的な光景に魅了されることだろう。
「まあ、旅といっても飛空鎧をけん引するまでの往復くらいだから、大した道のりにはならないんだけどね」
「それでも、久しぶりにお空を飛ぶのはやっぱり気持ちいいわ・・・このままずっと飛んでいたいなって思えてくるし」
空の上から地上を見渡すのは、いつもながら新鮮な気持ちになる。ますます、空のハンターとして暮らしてきたカイトのことがうらやましくなる杏里だった。
「このまま道なりにまっすぐですね、ギュンターさん」
カイトが、窓から眼下に見える街道を確認して道案内を行う。先ほど通った道だけに、この浮遊大陸のことをほとんど知らないカイトでも楽に案内ができた。
「わかった・・・ああ、あと、飛空鎧の近くまで来たら、君たち二人を先に降ろしてから牽引作業に取り掛かるから、先に桐ケ谷さんのところの用事を済ませてくるといいよ」
これから、町でも変わり者と有名の桐ケ谷楓に会いに行くことになっている。杏里やギュンターが変わり者というくらいだから、相当の変人であることに疑いの余地は無いだろう。
・・・大丈夫かな、と少々不安気味のカイトに、杏里は穏やかな笑みを浮かべながら、
「大丈夫よ、カイト。楓さんは、確かに変わり者なんだけれど本当はとてもいい人だから、何も心配することはないわ・・・」
「うん・・・」
「ただ、問題なのは私生活もずぼらってことよね・・・彼女の掃除洗濯とか、結構私がやったりしているから・・・」
ついでに言えば、食生活も大変だらしがなく、杏里が世話を焼かなければ毎食カップ麺やジャンクフードで終わりかねない状況であった。
「彼女、生活の乱れについては相変わらずのようだね・・・」
苦笑しながら、ギュンターはかつて楓と対面した時のことを思い出した。
足の踏み場もない部屋の惨状、下手すれば家の周りにまであふれかねないゴミの山ーギュンター自身も、部屋の片づけはあまり得意ではない方だが、それをさらに上回るーしかも、相手は女性だー有様に、思わず閉口したものだった。杏里がいなければ、今頃私生活はどうなっていたことだろうか。
「今日、片付けに行った時も結構ひどかったからね・・・まあすぐに汚れるということはさすがにないでしょうけど」
溜息交じりに呟く杏里。どうやら、これはかなりの変人だな・・・と、思わず身構えるカイトであったー。
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