テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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カルミナとブラーナ(第31話)

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 翔と卓の二人の男どもの鼻の下がだらしなく伸びている姿を見てー。

「野郎ども、サイテーね・・・」

 ブラーナが呆れ顔で愚痴をこぼした。ブラーナ自身は、黒羽のことを完全には信用していないーむしろ、ひどく警戒しているーので、なおのこと男どものだらしなさが滑稽に思えたのだ。

「まあ、黒羽が可愛いのは事実よ、ブラーナ。あんな顔されたら、男連中が骨抜きにされるのも無理はないかも」

 肩をすくめ、苦笑しながらカルミナが言う。

「あらあらぁ、カルミナさん、私を差し置いて黒羽に浮気かしら?」

 少し意地悪な声色で、ブラーナがカルミナの鼻の頭をツンツンとつつく。

「ちょ・・・んなわけないでしょ!」

 ブラーナの指をはらいながら、カルミナはブラーナの耳元で囁いた。

「あたしのはアンタだけよ、ブラーナ」

 顔を少し紅潮させ、もじもじしながら自らの想いを伝える。カルミナもブラーナも同性愛者だが、想い人は決まっている。たとえどれだけ美しい女性が目の前に現れたとしても、それが変わることは、決して・・・ない。

「うれしいこと言ってくれるわね、お姉さん嬉しいわ」

 わざとらしく両頬に手を当てながら、ブラーナが応えた。

「ああ、もう!アンタはすぐにそうやって・・・!」

 ブラーナが自分にじゃれているというのはよくわかるーそして、自分が乗せられやすい性格であるという自覚もあるが、結局は毎回毎回、ブラーナに弄ばれてしまうのだ。

 まあ、カルミナにとってはそのやり取りもまた心地よいのだが。

「とにかく、おふざけはもうやめ!あんまりやりすぎるとみんなから変な目で見られるよ、ブラーナ」

「はあい」

 確かに、あまりおふざけが過ぎると周りの連中に色々と勘ぐられるーおふざけもここまでにして、そろそろ害蟲の方に集中すべきだ。

 既に、害蟲は惑星の外殻の裂け目から浮遊大陸に進入を果たしたようだ。万が一にでも人里に降りられて被害を出されたとあってはたまったものではない。

 今度こそ、確実に仕留めるー。

 その時ー。

「害蟲は、ゼルキンス村の南方155の地点に降りました。武人さん、近くまでお願いできますか?」

 ちょうど、黒羽の方でも害蟲の所在を特定したようだ。いよいよ、大詰めとなるだろう。

「任せな、黒羽の嬢ちゃん。じゃあお前ら、改めて席に着けや」

 武人の荒っぽい声に、一同所定の位置に着く。

「南方155って、結構ちけえじゃん、やばいぞ、これ」

「ああ、すぐに行かないと、被害が出かねないぞ」

 翔と卓が慌て始める。確かに、その距離ではゼルキンス村は目と鼻の先だーもはや、一刻の猶予もないだろう。

 飛空船「白波号」は、惑星Σ-11めがけて舵を切ったー。




 

 

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