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カルミナとブラーナ(第11話)
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カルミナが操舵室へと向かって駆けだした後ー。
カルミナの姿が見えなくなったのを確認して、ふいにブラーナが、黒羽の真正面に立つ。長身のブラーナが、小柄な黒羽を見下ろす形となる。その表情は、非常に硬いものだった・・・。
「黒羽、この際だから、アンタに言っておくけど、私はアンタを完全に信用していないわ・・・」
いつも周囲に見せているような、どこかいたずら好きで余裕ぶったお姉さんーといった雰囲気はなく、黒羽をまるで目の敵であるかのように見下ろすブラーナの姿がそこにはあった。
「・・・」
黒羽は、そんなブラーナを静かに見返すだけだ。だが、その表情はいつもと変わらない・・・いや、冷酷に見下ろすブラーナに対し、全く動じることなく見返すその姿は、ある意味彼女の「余裕の表れ」ともいえるかもしれない。
「うちのマスターの指示だから、アンタをうちのメンバーとして扱っているけど・・・私は、アンタが過去に何をしてきたのか、少しは把握しているのよ」
「・・・なるほど」
黒羽がようやく口を開いた。可憐な少女に相応しい鈴のような声だが、なぜか今は聞く者に寒気を覚えさせるような、そんな冷気を帯びていた。
呼び名の由来でもある黒い羽根が、彼女の周りを舞う。その光景もまた、見る者に戦慄を覚えさせたー。
「私は、カルミナもブラーナも、翔も卓も武人も大好きですが・・・」
「そう言う話をしてるんじゃないわよ!」
ブラーナの声がわずかに怒気を帯びていた。
「・・・とにかく、アンタ自身に悪意があろうとなかろうと、もしうちのカルミナに害をなすようなことがあれば・・・」
ブラーナは、持っていた太刀を黒羽に向ける。もちろん、抜刀はしていないが、それでも刀を向けているということに違いはない。
抜刀されていないとはいえ、喉元に刀を突きつけられる形となった黒羽であったが、それすら動じた様子はなかった。
「迷わず・・・斬る」
しばし、沈黙が流れる。
「わかりました」
先に口を開いたのは、黒羽の方だった。
「もちろん、皆さんに害をなすつもりはありません・・・ただ」
そこで一旦言葉を区切る黒羽。少しだけうつむく。その結果、彼女の目元の部分が陰になり、表情がうかがい知れなくなる。
少ししてから、ブラーナを見上げる。その顔は、どこか寂しさを含ませた笑顔ー。
「もし、私が皆さんに害をなすようなことをしそうになった時は、あなたの手で終わらせてください、ブラーナ」
泣き笑いのような表情を浮かべて、ブラーナに懇願する黒羽。
「私も、皆さんを傷つけたくはありませんから」
カルミナの姿が見えなくなったのを確認して、ふいにブラーナが、黒羽の真正面に立つ。長身のブラーナが、小柄な黒羽を見下ろす形となる。その表情は、非常に硬いものだった・・・。
「黒羽、この際だから、アンタに言っておくけど、私はアンタを完全に信用していないわ・・・」
いつも周囲に見せているような、どこかいたずら好きで余裕ぶったお姉さんーといった雰囲気はなく、黒羽をまるで目の敵であるかのように見下ろすブラーナの姿がそこにはあった。
「・・・」
黒羽は、そんなブラーナを静かに見返すだけだ。だが、その表情はいつもと変わらない・・・いや、冷酷に見下ろすブラーナに対し、全く動じることなく見返すその姿は、ある意味彼女の「余裕の表れ」ともいえるかもしれない。
「うちのマスターの指示だから、アンタをうちのメンバーとして扱っているけど・・・私は、アンタが過去に何をしてきたのか、少しは把握しているのよ」
「・・・なるほど」
黒羽がようやく口を開いた。可憐な少女に相応しい鈴のような声だが、なぜか今は聞く者に寒気を覚えさせるような、そんな冷気を帯びていた。
呼び名の由来でもある黒い羽根が、彼女の周りを舞う。その光景もまた、見る者に戦慄を覚えさせたー。
「私は、カルミナもブラーナも、翔も卓も武人も大好きですが・・・」
「そう言う話をしてるんじゃないわよ!」
ブラーナの声がわずかに怒気を帯びていた。
「・・・とにかく、アンタ自身に悪意があろうとなかろうと、もしうちのカルミナに害をなすようなことがあれば・・・」
ブラーナは、持っていた太刀を黒羽に向ける。もちろん、抜刀はしていないが、それでも刀を向けているということに違いはない。
抜刀されていないとはいえ、喉元に刀を突きつけられる形となった黒羽であったが、それすら動じた様子はなかった。
「迷わず・・・斬る」
しばし、沈黙が流れる。
「わかりました」
先に口を開いたのは、黒羽の方だった。
「もちろん、皆さんに害をなすつもりはありません・・・ただ」
そこで一旦言葉を区切る黒羽。少しだけうつむく。その結果、彼女の目元の部分が陰になり、表情がうかがい知れなくなる。
少ししてから、ブラーナを見上げる。その顔は、どこか寂しさを含ませた笑顔ー。
「もし、私が皆さんに害をなすようなことをしそうになった時は、あなたの手で終わらせてください、ブラーナ」
泣き笑いのような表情を浮かべて、ブラーナに懇願する黒羽。
「私も、皆さんを傷つけたくはありませんから」
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