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一仕事終えて(第1話)

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 晶が蟲憑きにとどめを刺し、ゼクスたちが魔物を仕留めた後ー。

 モリガンの使い魔に導かれて、晶たちのもとにゼクスたちが現れた。

「イエーイ、やってやったぜ!」

 相変わらずの「グー」のポーズを決めて、自身の勝利を伝える眼帯シスター殿の姿がそこにはあった・・・。

「魔物の方は一掃したよ。お疲れだったね、晶たち」

 もともと、こちらが無理に手を貸してもらっただけに、ゼクスは晶たちを労うのを忘れなかった。

「ああ、こっちも何とかなったよ。ただ・・・」

 晶は足元に倒れている白いコートの男の方に視線を向ける。ついさっき、自分がとどめを刺した相手だ。

「・・・そうか、やったのか・・・」

 ゼクスも、蟲憑きがどのようなものなのか、そして、それに憑りつかれた相手がどうなるのか、それは十分わかっているつもりだ。救済することができない以上は、結局のところ殺すしかないー例え、相手が既に元の人格を失っていようが、やはり人を手にかけるという点では変わらないのだ。

 ゼクスの表情を見て取った晶は、何とかゼクスたちを心配させまいと、

「そんな心配するなよ・・・オレは大丈夫だ。そして、これからもこんなことはままあるだろうし、避けては通れない道さ・・・」

 平静を装って答える。実際、避けては通れない道なのだ。これからもこういうことは起こりうるゆえに、乗り越えていかなければならないー。

 少しの間の沈黙ーだが、それを破ったのはイリアだった。

「・・・あたしはシスターだ。その男の御霊を鎮めるくらいのことならできるかもな・・・」

 倒れている白いコートの傍により近寄り、目を閉じて両手を重ね、祈りを捧げるーその姿は、まごうことなき敬虔なるシスターそのものであった。

 イリアにもこんな一面があったのかー長年相棒を務めてきたゼクスも含め、普段の彼女との落差にみな驚きの色を隠せなかったが、誰一人として彼女を茶化す者などいなかったー。

ーー

 白いコートの男の冥福を祈った後、晶たちは公安局(警察に相当)に連絡し、この場で起こったことと蟲憑き、さらに処断しなければならなかった事情について説明した。

 もちろん、詳しい事情聴取については日を改めて行うこととなる。よって、当分はこの街に留まることになりそうだった。

 そして、それはゼクスとイリアも同様であったー。

 翌日ー。

「しっかし、ロリ魔女よ。お前のあの間抜けな使い魔は何だ?もう少しかっこいいの出せよ」

「やかましいわ!このヤンキーシスターめが!!」

「ああ、誰がヤンキーだとこら!!」

「そういうところがもろにヤンキーなのじゃ!」

 このお騒がせ魔女殿と眼帯シスター殿の犬猿の仲ぶりは相変わらずのことで、朝っぱらからケンカの真っ最中であった・・・。

「やれやれ、騒がしいのが増えたな・・・」

 これから事情聴取に向かう前に、二人の様子を確認しに来た晶が、愚痴をこぼす。

「おい、お前ら、これから公安局に行くんだから、さっさと準備しろよ」

 これからしばらくはこいつらの相手をしなければならないのか・・・と頭を抱えながら、晶は早苗とゼクスにも声をかけ、出かける準備を整えたー。

 
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