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チーム《ユグドラシル》と教会騎士たち(第21話)
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晶たちが、蟲憑きを倒したその頃ー。
「く、まだかかるのかよ、あっちの方は!!」
イリアが、もはや我慢の限界だと言わんばかりに喚き散らしている。相手は弱い魔物だけに、よほどのことがない限りはこちらが手傷を負わせられるということはないのだが、それでもこちらから手を出せないというのは、それだけでも十分負担がかかる。
「弱いやつ相手にただ逃げ回らなけりゃならんとは・・・全くやりにくいことこの上ねえな!」
少しでも、ストレスを発散するという意図もあるのだろう。相手の攻撃を回避しながら叫び散らすイリアーそんな彼女の様子を見て、ゼクスが諫めようとしたちょうどその時ー。
「・・・!イリア、あれを見て」
「ああ!?」
苛立ちを隠しきれない様子でゼクスに応じるイリアだったが、ゼクスが指示したものを見て、口元に笑みを浮かべた。
「あれは・・・ロリ魔女の使い魔か・・・ってことは!!」
「ああ、ようやくこちらから攻撃できるってことさ!」
モリガンが寄こした使い魔の姿を確認し、待ってましたと言わんばかりに、イリアはボウガンに「聖十字魔法」の魔力を込め始めた。
「今までさんざんかき回してくれやがったな・・・よぇぇくせに。これまでの分、一気にぶつけてやらあ!!」
イリアは、向かってくる魔物たちにボウガンの狙いを定めた。ボウガンに、「聖十字魔法」の白い光が収束していくー。
「喰らいやがれ!」
およそ、敬虔なシスターとは思えないような暴言とともに、ボウガンから「聖十字魔法」が放たれた。ボウガンから放たれた光の矢は、魔物の胴体に見事命中し、そのまま貫き、背後の木まで貫通した。木は幹に穴をあけられ、そのまま横に倒れた。
「よっしゃあ、まずは1匹!」
魔物の消滅を確認した時点で、親指を立てて「グー」のポーズを決めるイリア。ゼクスにとってはいつもの光景なので、余計に突っ込まないようにする・・・。
イリアは、残るもう1匹にも狙いを定めた。
「分裂した方もやらないとな・・・逃げられると思うなよ、この雑魚が!」
魔物は、このままではやられると見たのか、既に逃走を試みていた。だが、当然のことながら、それを許すようなイリアではなかった。
「くたばりな!!」
・・・やはり、どう考えてもシスターが口にしていいような言葉ではないが、イリアにそのことをいくら言っても無駄である。
ゼクスは、いつのことだったか、イリアが「ヤンキーシスター」と呼ばれていたことを思い出してしまった。もちろん、彼女にそれを言うと激怒されるのだが、彼女の日ごろの行いも含めて考えれば、残念ながら否定しきれない・・・。
2匹目の魔物にも、見事にボウガンの白い光の矢は命中した。言葉にもならない断末魔の叫びをあげて、残った魔物も消滅する・・・。
「どんなもんだ!」
得意げな笑みを浮かべてガッツポーズを決める眼帯シスター殿。
「これで、とりあえずは任務達成かな」
ふう、と一息ついて、ゼクスがFOに、念のために周辺の調査を行わせる。さすがにもう、敵性の魔力の波動は感知されなかったー。
「く、まだかかるのかよ、あっちの方は!!」
イリアが、もはや我慢の限界だと言わんばかりに喚き散らしている。相手は弱い魔物だけに、よほどのことがない限りはこちらが手傷を負わせられるということはないのだが、それでもこちらから手を出せないというのは、それだけでも十分負担がかかる。
「弱いやつ相手にただ逃げ回らなけりゃならんとは・・・全くやりにくいことこの上ねえな!」
少しでも、ストレスを発散するという意図もあるのだろう。相手の攻撃を回避しながら叫び散らすイリアーそんな彼女の様子を見て、ゼクスが諫めようとしたちょうどその時ー。
「・・・!イリア、あれを見て」
「ああ!?」
苛立ちを隠しきれない様子でゼクスに応じるイリアだったが、ゼクスが指示したものを見て、口元に笑みを浮かべた。
「あれは・・・ロリ魔女の使い魔か・・・ってことは!!」
「ああ、ようやくこちらから攻撃できるってことさ!」
モリガンが寄こした使い魔の姿を確認し、待ってましたと言わんばかりに、イリアはボウガンに「聖十字魔法」の魔力を込め始めた。
「今までさんざんかき回してくれやがったな・・・よぇぇくせに。これまでの分、一気にぶつけてやらあ!!」
イリアは、向かってくる魔物たちにボウガンの狙いを定めた。ボウガンに、「聖十字魔法」の白い光が収束していくー。
「喰らいやがれ!」
およそ、敬虔なシスターとは思えないような暴言とともに、ボウガンから「聖十字魔法」が放たれた。ボウガンから放たれた光の矢は、魔物の胴体に見事命中し、そのまま貫き、背後の木まで貫通した。木は幹に穴をあけられ、そのまま横に倒れた。
「よっしゃあ、まずは1匹!」
魔物の消滅を確認した時点で、親指を立てて「グー」のポーズを決めるイリア。ゼクスにとってはいつもの光景なので、余計に突っ込まないようにする・・・。
イリアは、残るもう1匹にも狙いを定めた。
「分裂した方もやらないとな・・・逃げられると思うなよ、この雑魚が!」
魔物は、このままではやられると見たのか、既に逃走を試みていた。だが、当然のことながら、それを許すようなイリアではなかった。
「くたばりな!!」
・・・やはり、どう考えてもシスターが口にしていいような言葉ではないが、イリアにそのことをいくら言っても無駄である。
ゼクスは、いつのことだったか、イリアが「ヤンキーシスター」と呼ばれていたことを思い出してしまった。もちろん、彼女にそれを言うと激怒されるのだが、彼女の日ごろの行いも含めて考えれば、残念ながら否定しきれない・・・。
2匹目の魔物にも、見事にボウガンの白い光の矢は命中した。言葉にもならない断末魔の叫びをあげて、残った魔物も消滅する・・・。
「どんなもんだ!」
得意げな笑みを浮かべてガッツポーズを決める眼帯シスター殿。
「これで、とりあえずは任務達成かな」
ふう、と一息ついて、ゼクスがFOに、念のために周辺の調査を行わせる。さすがにもう、敵性の魔力の波動は感知されなかったー。
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