155 / 464
チーム《ユグドラシル》と教会騎士たち(第19話)
しおりを挟む
晶の魔笛剣が、白いコートの男ー蟲憑きの心臓を貫いた。さすがの蟲憑きも、憑りついている本体を殺されてしまえば、もはや生きていくことはできなくなる。
蟲憑きは、完全に絶命したー。
「・・・!」
晶の顔に苦悶の色が浮かぶが、蟲憑きに憑りつかれた人間を救う術など存在しない。結局は、自ら手を下すしかないのだ。自分がやらなければ、結局は早苗やモリガンにやらせることになってしまう。さすがに、彼女たちに背負わせるのは酷というものだろう。
「晶・・・大丈夫か、お主」
「晶君・・・」
晶の表情を見て取ったモリガンが心配そうに尋ねてくる。隣にいる早苗も同様だ。仕方がないとはいえ、例え相手が人格を既に失っているとはいえ、人を手にかけたという点では違いはない・・・。
「大丈夫だ、モリガン、清野。どのみち、彼を本当の意味で救うには、こうするしかないんだ。オレは大丈夫だから、心配はするな、二人とも」
魔笛剣をしまい、半分は自分自身に言い聞かせるような感じで応じる晶。そんな彼の様子を、いまだ心配そうに見守る二人ではあったが・・・。
「これで、蟲憑きは倒したわけだし、あとはゼクスとイリアたちに任せておけば、魔物の方はけりが着くだろう。さっそく知らせに行くか」
そうだ、この蟲憑きを倒したから、これでようやく、ゼクスたちは魔物を倒すことができるようになる。
「知らせるなら、わしの使い魔を飛ばせばいいじゃろ。わしに任せておけい」
言うが早いか、モリガンは例の単眼蝙蝠の使い魔を生み出し、ゼクスたちが魔物と対峙しているであろう場所へと向かわせる。
「これで、あいつらが魔物を片付けてしまえば、とりあえず今回の一件は終わりというわけじゃな」
「そうだねえ、でも、大変だったよね。蟲憑きさんが相手なんて」
蟲憑きと戦うことは、つまりは憑りつかれた人間自身とも戦わなければならないということになる。害蟲駆除を専門としている以上、避けられない戦いではあるということは、十分わかっているのだが、それでも実際に最後人間にとどめを刺すということになるのは、なかなか慣れるものではない。
少なくとも、モリガンや早苗にはやらせたくない役回りである。
「確かに少し疲れたな・・・ゼクスたちが魔物を仕留めるまでは、しばらく待つか・・・」
もはや、仏さんとなってしまった白いコートの男に手を合わせて、その冥福を祈る。あとは、事情を公安局辺りに説明し、遺体の引き渡しを行うだけだ。身元が判明するのは、まだ先のことになりそうだがー。
蟲憑きは、完全に絶命したー。
「・・・!」
晶の顔に苦悶の色が浮かぶが、蟲憑きに憑りつかれた人間を救う術など存在しない。結局は、自ら手を下すしかないのだ。自分がやらなければ、結局は早苗やモリガンにやらせることになってしまう。さすがに、彼女たちに背負わせるのは酷というものだろう。
「晶・・・大丈夫か、お主」
「晶君・・・」
晶の表情を見て取ったモリガンが心配そうに尋ねてくる。隣にいる早苗も同様だ。仕方がないとはいえ、例え相手が人格を既に失っているとはいえ、人を手にかけたという点では違いはない・・・。
「大丈夫だ、モリガン、清野。どのみち、彼を本当の意味で救うには、こうするしかないんだ。オレは大丈夫だから、心配はするな、二人とも」
魔笛剣をしまい、半分は自分自身に言い聞かせるような感じで応じる晶。そんな彼の様子を、いまだ心配そうに見守る二人ではあったが・・・。
「これで、蟲憑きは倒したわけだし、あとはゼクスとイリアたちに任せておけば、魔物の方はけりが着くだろう。さっそく知らせに行くか」
そうだ、この蟲憑きを倒したから、これでようやく、ゼクスたちは魔物を倒すことができるようになる。
「知らせるなら、わしの使い魔を飛ばせばいいじゃろ。わしに任せておけい」
言うが早いか、モリガンは例の単眼蝙蝠の使い魔を生み出し、ゼクスたちが魔物と対峙しているであろう場所へと向かわせる。
「これで、あいつらが魔物を片付けてしまえば、とりあえず今回の一件は終わりというわけじゃな」
「そうだねえ、でも、大変だったよね。蟲憑きさんが相手なんて」
蟲憑きと戦うことは、つまりは憑りつかれた人間自身とも戦わなければならないということになる。害蟲駆除を専門としている以上、避けられない戦いではあるということは、十分わかっているのだが、それでも実際に最後人間にとどめを刺すということになるのは、なかなか慣れるものではない。
少なくとも、モリガンや早苗にはやらせたくない役回りである。
「確かに少し疲れたな・・・ゼクスたちが魔物を仕留めるまでは、しばらく待つか・・・」
もはや、仏さんとなってしまった白いコートの男に手を合わせて、その冥福を祈る。あとは、事情を公安局辺りに説明し、遺体の引き渡しを行うだけだ。身元が判明するのは、まだ先のことになりそうだがー。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説


喜んで地獄に行ったら、閻魔様に試供品にされました。〜異世界で森の中でサバイバル!?〜
NiE
ファンタジー
アラサー引きこもりニートが親不孝にも日頃の不摂生が祟り死亡。そりゃー地獄行きだろと思いながら、喜んで閻魔様の法廷に立つも地獄も人材不足、ブラック企業の役員も真っ青な激務で、すわっ!ストライキ!という瀬戸際だった。手間ばかりかかる魂に拘っている暇など無い!ということで、お手軽簡単に魂の整理をしようと、低位の世界に魂の大バーゲンセールを行なうことにした。「篁くん、この魂あそこの神に試供ひ・・・、下賜しとしてー。」かくして、四十九日も過ぎぬうちに異世界へGo!と相成りました。
いやいや・・・。やっと人生終わったのに、なんでまたすぐ生まれなきゃなんないのよ!異世界?魔法?そんなんどうでも・・・。え?義務はない?“お試し”で転生するだけでいい?特典もくれるの!?「・・・・。っ!!!森でサバイバルからなんて聞いてなーーーーーいっ!!!!」
※この作品はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。事柄や方法なども実際には則してないことがあります。
「作者のメンタルは豆腐です。応援よろしくお願いします。」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
スーパー忍者・タカシの大冒険
Selfish
ファンタジー
時は現代。ある日、タカシはいつものように学校から帰る途中、目に見えない奇妙な光に包まれた。そして、彼の手の中に一通の封筒が現れる。それは、赤い文字で「スーパー忍者・タカシ様へ」と書かれたものだった。タカシはその手紙を開けると、そこに書かれた内容はこうだった。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる