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チーム《ユグドラシル》と教会騎士たち(第16話)

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 早苗が生み出した無数の蝶が、蟲憑きに殺到していくー。

「む」

 蟲憑きも、相手の攻撃パターンが今までと変化したということに気が付いたようだ。おそらく、この白く輝く無数の蝶が攻撃の要となるのだろう。

 ただ、その正体がいまいちつかめない。

 個々の蝶から放たれる魔力の量は、さしたるものではない。はっきり言えば、今自身が操っている魔法球に比べてみても、格段に低いのはわかる。たとえ、この蝶から何らかの攻撃を受けたとしても、ダメージは微々たるものでしかないだろう。

 だがー。

 何かがあるーこれだけの無数の蝶を生み出し、こちらに向かわせるだけの理由が・・・それを考えると、ただの1羽でも蝶の攻撃を受けるとまずい事態になるのではないかー。

「その程度の魔力で我をどうにかできると思っているのか?小娘」

 蟲憑きは早苗を挑発し始めた。

 だが、早苗自身は悠然としており、

「綺麗なちょうちょさんがんだね、やっぱり」

と、静かな微笑みをたたえながら返事をしてきた。

 ことそれ自体が何らかの意味を持つのかー。

 蟲憑きは、目の前の少女の様子を探りながら、再び思案し始めたー。

ーー

「あいつの蝶が見えるってことは、それだけ元の人間の魔力の素質が高いってことだ。素質がないものには蝶そのものを見ることさえできない。そして・・・」

 晶は、隣にいるモリガンに小声で説明しながら、魔笛剣に魔力を集中し始めた。

「いつの間にか、清野によって行動不能にさせられる」

「なるほどのう。視認できない相手にとっては、確かにどうしてやられたのかすらわからないというわけか・・・それ自体が早苗と敵との実力差というわけじゃな。しかし・・・」

 モリガンは、早苗と蟲憑きを見比べながら、

「今回の蟲憑きは、見えておるんじゃろ?なら、対策されてしまうのではないか」

 確かにモリガンの言う通り、この蝶の群れが見えている相手なら、対策されてしまう恐れもある。そもそも、この蝶自体は魔法容量が低い。これなら、相手が結界を展開するだけで、阻まれてしまう可能性もある・・・だが。

「見えているなら見えているで、他にもやりようはあるのさ・・・清野が形作るのは、

「!」

 晶の一言に、モリガンはようやく気が付いた。そして、蟲憑きはまだ気が付いていなかった。蟲憑きの足元めがけて、地中をまるで泳ぐかのように伸びていく魔力の根っこが・・・。

「この勝負、早苗の勝ちじゃな・・・」

 モリガンは、早苗の勝利を確信したー。
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