テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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チーム《ユグドラシル》と教会騎士たち(第11話)

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 晶が再び蟲憑きに斬りかかるー。

 と、その時だった。

「なるほど・・・こちらの魔力を無効化できる技があるのか・・・」

 白いコートの男ー正確には、その男の口を借りて、憑りついていた蟲憑きが語り始めた。

「晶!こいつは・・・もしかすると」

 モリガンがみなまで話すまでもなくー。

 これで、確実だ。

 相手は、間違いなく知性を持った蟲憑きであるということがー。

 晶は、相手に斬りかかる寸前で踏み留まった。相手が喋り出したのを見て、迂闊に手を出してはいけない予感がしたからだ。

 いわゆるとは亜人種型デミヒューマンタイプ異なり、蟲憑き自体はそこまでの能力はない。

 ただ、憑りついている宿主の能力次第では、予想もつかない化け物となる可能性もある。それこそ、亜人種型デミヒューマンタイプに匹敵するくらいの実力を秘めることもあるのだ。

「へえ、アンタ、やはり知性持ちか」

 なるべく平静を装った上で、晶が蟲憑きに確認する。今は、少しでもこいつの能力や性質の情報が欲しい。いくらかでも「会話」をさせて、相手の能力の一端でも見極めなければー。

「その通りだ・・・この男の体が宿主に適していたのでな。この街に来た時にその体を頂いてやった」

 幾分、自慢げな口調で蟲憑きが答えた。体を頂くーつまりは、この人物の人格は喰われ、その能力も取り込まれてしまったということだ。そして、そのことを大したことでもないかのように語る蟲憑きーこいつにとっては、人間など、ただ自分が安全に憑依できればそれでいいだけの、体のいい器に過ぎなかった。

 尤も、蟲憑きや害蟲相手に人間社会における倫理や道徳など振りかざしても全く意味はない。最初から、人に害をなすために活動しているような連中である。己の欲のままに喰らいつくし、社会を混乱させるのが、こいつらの目的であった。

「ついでに、我の仲間も呼び寄せるつもりであったが、その前に、この林の中にあの魔物がいたので、仲間が来る前に少し利用してやったのだ」

 魔物ー今、ゼクスとイリアが対峙している個体のことである。

「弱い魔物ではあるが、我ーこの男の能力を活用すれば、例えどれだけの熟練の戦士であったとしても、手出しは一切できなくなる・・・まさに今のあの二人がそうではないか」

 得意げに、蟲憑きが語り掛けてくる。確かに、ゼクスとイリアは、今はまだ魔物に手出しできないだろう。少なくとも、こいつが生きている限りは、無理だ。

「なら、アンタをさっさと倒さないといけないな・・・オレたち害蟲駆除チームがいる限り、これ以上好き勝手なことはさせねえぞ」

 晶が魔笛剣の切っ先を、男ー蟲憑きに突きつける。それと同時に、モリガンは新たな術式を展開し始めた。早苗も、両手の鉄扇を再び構え直す。

 その様子を見て、蟲憑きが不敵な笑みを浮かべながら、

「いいだろう。ここで邪魔者を一掃して、その上で同志たちを呼ぶことにしよう」

 蟲憑きも、再び魔力を集中し始めたー。
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