テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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チーム《ユグドラシル》と教会騎士たち(第1話)

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 餅は餅屋だー。

 というわけで、ゼクスとイリアは、チーム《ユグドラシル》が宿泊しているベンジャミンの家を目指すこととなった。

「まあ、こんな晩に他人の家にお邪魔するというのも気がひけるけどね・・・」

「しゃーないだろ。相手が蟲憑きとあれば・・・あたしたちだけだと分が悪いのは確かだしな」

 もともと、魔物と害蟲とでは、その起源となるものが異なっているため、魔物に効くものが害蟲に効かなかったりする。もちろん、その逆も然りであった。

「今のところ、やつが追ってきている気配はない・・・が、放っておくわけにもいかないしね」

 二人は、夕方にゼクスたちが目撃した《ユグドラシル》のメンバーの魔力の痕跡をたどり、旧市街を目指していた。二人とも、その動きはかなり素早く、さすがの敵もそう簡単には追いつけないようだ。

 ただ、あまり引き離しすぎると、今度はこちらが見失う可能性もある。よって、FOだけは敵の付近で待機させている。

「逆に逃げられても困るしな・・・FOをステルスモードにして見張らせておくのが一番だ」

「蟲憑きを逃がすと厄介だぞ・・・他の人間に「感染」する恐れもあるしな・・・」

 イリアの言うとおりだ。蟲憑きは、早めに退治しないと集団感染ークラスター化する恐れもある・・・。

「急ぐぞ、ゼクス!」

「ああ!」

 二人は目的地へと急いだ。

 途中、公園を横切ることになる。夜ーというか、人工照明が太陽モードから月モードに入れ替わった公園には、相変わらずお化け型ドローンのオドローンが飛び回っている。

 ・・・せっかくの夜の公園が、これでは肝試しの場になってしまっている。きっと、地下世界のバカップルは決してここでいちゃつくことはないだろう。

「・・・地下世界の住人の考え方がいまいちわからん」

 ひゅ~どろどろ・・・というお決まりの効果音付きで、頭には三角巾、さらにはご丁寧にも青白い人魂のような照明を周囲に展開しながら、オドローン達は自分のお役目に努めているようだ。

 大変仕事熱心なのはいいのだが、それにしても異様な光景でもある・・・。

 破天荒な性格で知られるイリアも、さすがにこの光景と地下世界の住人達の価値観ばかりは全く理解できなかった。

「マジで成仏させたろうかい!」

 イリアが十字架を取り出しながら、近くのオドローンを威嚇した。オドローンの方は、気にした様子もなく、そのまま自分の仕事に向かっていった。

「やめなよ、こいつらは本物の霊じゃないんだから、そんなの効かないよ」

「ちっ・・・」

 舌打ちして、しぶしぶ十字架をしまう眼帯シスター殿であった。お行儀の悪さも、この眼帯シスター殿の「魅力」である。

 ・・・まあ、イリアの気持ちも理解できなくはなかったが、今はこいつらに構っている場合ではない。早く、《ユグドラシル》のメンバーと合流して、何とか蟲憑きを倒す算段をつけなければ・・・。

 目指す旧市街は、公園を抜ければもう間もなくだ。あとは、いかにして協力を頼むかという話になる。

 交渉事は僕の仕事だな・・・とイリアの方を少しだけ伺い、そして軽くため息をつくゼクスであったー。


 

 
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