テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

文字の大きさ
上 下
132 / 464

ゼクスとイリア(第3話)

しおりを挟む
「さて、獲物は見つかったかな・・・」

「だから、まだ獲物かどうかはわからないって!イリア」

 ゼクスとイリアが、FOから送られてきた映像を確認しながら、ああだこうだと言い合っている。

 ゼクスの言う通り、まだ相手がどんな奴なのか確認できないので、「獲物」と断じるのは早計である。しかし、この好戦的な眼帯シスターには、そんなことはお構いなしだった・・・。

「・・・!」

「どうしたんだよ、ゼクス」

 ゼクスが、何かに気が付いたらしく、息をのんだのを見て、イリアが尋ねた。

「・・・なるほど、まだ見えないのではなく、見えているけど「ごまかされていた」ってところかな」

「・・・?何を言っているんだ、ゼクス」

 イリアが、意味がさっぱりわからないといった感じで首をかしげる。

「保護色みたいなものかな・・・尤も、この場合は保護色とは言わないけどね」

「だから、どういう意味なんだよ」

 イリアが、わかりやすく言えと急かせてくる。

「この、今がFOが撮影している森・・・というか、林なんだけど、この林自体が、微弱な魔力を放っているんだ。そして、「獲物」は、そこに

 ゼクスがイリアにもわかりやすく説明する。そして、ゼクスもまた「獲物」と対象を表現した。

 つまりは、イリアにとっても彼にとっても、相手は狩りの対象というわけだった。

「もちろん、肉眼でも確認することはできないし、微弱な魔力波動を探るしかないが、この林がそれを阻害していた・・・」

「なるほど、だから保護色みたいだといったのか」

 ゼクスが「獲物」と呼んだことで、いよいよ自分にも出番が回ってきたということを確信したイリアは、舌なめずりをしながら林を見据えた。

「でも、この林の木の中に、1本だけ魔力の濃度勾配に違いが見られたんだよ。僕は、それを感知できる・・・といっても、かなりその差は小さいので、気が付かずに見落とす可能性もあったんだ」

「細かいことが大好きなお前らしい能力だな。まあ、そのおかげで気が付くことができたってわけか」

「そういうこと」

 ゼクスの話によると、相手はそんなに大きいわけではないらしい。ただ、ある程度自身の魔力波動をコントロールできるらしく、それにより、この魔力を放つ林に入り込んで「溶け込んだ」というわけだ。

 ただ、いくらコントロールできるといっても、機械ではないので、常に一定値を保つということは難しいらしく、それが多少の濃度勾配として現れているらしかった。

 多分、ゼクスでなければ気が付けなかっただろう。

「とにかく、獲物を見つけたんだ。さっさとやりに行こうぜ」

 今にも林の中へと駆け込まんとしているイリアを落ち着かせる。

「待って、慎重に。相手は自身の魔力波動をある程度はコントロールできる奴だ・・・もしかしたら、思わぬ強敵かもしれない」

「なら、それはそれで面しれえってことじゃねえか」

 言うが早いか、イリアは林へと駆け出した。

「ああ、だから待ってってば!」

 呼び止められて止まる彼女ではないことは、重々承知しているので、結局はゼクスも彼女の後を追いかける羽目になったー。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

スーパー忍者・タカシの大冒険

Selfish
ファンタジー
時は現代。ある日、タカシはいつものように学校から帰る途中、目に見えない奇妙な光に包まれた。そして、彼の手の中に一通の封筒が現れる。それは、赤い文字で「スーパー忍者・タカシ様へ」と書かれたものだった。タカシはその手紙を開けると、そこに書かれた内容はこうだった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...