テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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土竜の街を目指せ(第4話)

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 得体の知れないやつだとー。

 ベンジャミンの話に、職業柄か思わず耳を傾けてしまう晶たち。

「土竜たちの集落にも蟲がわくといったところかのう」

「まあ、蟲と決めつけるのはまだ早いだろうけど・・・ベンジャミン、その得体の知れないやつらってのは具体的にはどんなのだ?」

 実際のところ、目撃しなければわからないだろうが、モリガンの言う通り蟲である可能性もある。ここは、もう少しベンジャミンに詳しく訊いてみた方がいいだろう。

「それこそいろんなやつらだよ。なんか、地上にいる昆虫のでかくなったのもいれば、植物みたいなのが動き出す場合もある。さらには、人間に近い恰好してるけど、何かと悪さをするやつもいるな・・・」

「人間に近い恰好・・・じゃと?晶、もしかしてそ奴は・・・」

「もしそいつが害蟲だとすれば、おそらく亜人種型デミヒューマンタイプの可能性があるな・・・」

亜人種型デミヒューマンタイプか・・・確か咲那たちが遭遇したとかいう」

「ああ」

 害蟲の中でも上位種に当たる亜人種型デミヒューマンタイプともなれば、並の戦士では手も足も出ない。清野江紀や薬師寺咲那くらいの実力者でなければ、とても勝負にはならないだろう。

 こちらには、「秋の領域最大の魔女殿」がいるとはいえ、果たしてこのメンツで太刀打ちできるような相手なのかー。

「そんなにやばいのか、そのデミなんとか言うやつ?」

 ベンジャミンが尋ねてくる。さすがに、地下世界の住人には無縁の存在だったろう・・・今までは。

「害蟲の中でもかなり上位に位置する連中さ。しかも、蟲としての特性と、人間と同程度の知性と魔力を備えているから、蟲の中では最高にやばい連中だ」

「ちニャみに吾輩も、人間と同程度ニョ知性と魔力をそニャえておりますニャー」

「ああ、このただ飯喰らいで酒ばかり飲んで寝てるだけの穀潰しブサニャンコもどきなんぞ全く話にもならないほど次元の違う相手だ」

 得意げに話しに割り込んできたミケさんだったが、即座に晶によって否定されたー。

 またもがっくりと膝をつき、うなだれるミケさんであったが、これ以上相手にしても仕方がないので放っておくことにする。

「あらら、ミケさんがまた落ち込んじゃった・・・慰めてあげるね」

 その中で、早苗だけがミケさんを抱っこして頭をナデナデしてあげた。例によって、ミケさんが「ふふふ・・・」と不敵に笑いだすが、これもいつものことであった。

「・・・まあ、ともかく蟲の中では最もやばい連中だ。とにかく、集落に行って実際に確認してみないと何とも言えないが、もし亜人種型デミヒューマンタイプなら、かなり厄介だな」

 正直、今の戦力では厳しいことになりそうだ。

「のう、晶」

「む?何だ、モリガン」

「今日向荘におるのは、確か奏多と鏡香のはずじゃな。もし本当に亜人種型デミヒューマンタイプがいるなら、その時は・・・」

「お前の転送魔法で二人に助けを求めることも考えるべきかー。まあ、オレたちの実力では、確かに手に余る連中ではあるだろうしな」

「集落まで着いたら、そこと日向荘を結ぶ転送魔法陣を描いておけば、いざという時は何とかなるやもしれん」

 なるべく、二人の手を借りる羽目にならないことを祈りたいものだ。奏多も鏡香も、久しぶりに日向荘で姉弟仲良く休暇を満喫しているだろうし、可能ならあまり二人の手を煩わせるようなことはしたくはない。

「まあ、それは最後の手段としておこう。とりあえず、ベンジャミンの街を目指すぞ」

「うむ」

 目標ができたためか、以前よりは少しやる気が出てきたモリガンであったー。
 
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