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土竜の街を目指せ(第3話)
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ベンジャミンの集落まで、後3時間ー。
まあ、確かにただ巨大土竜の後をついていくだけの強行軍では、つまらないのも無理はないー。
さっそく、モリガンが音を上げ始めた。
「だあぁぁ~、何もない暗い一本道をただ歩き続けるなんぞつまらなさ過ぎて死にそうじゃ!」
この魔女殿、考えてみれば早苗の一個下の13歳。事あるごとに「秋の領域最大の魔女」を自称するが、精神的にはまだまだお子様であった。
「おいおい、しっかりしろよ、魔女殿。まだ1時間も歩いてないぞ・・・」
呆れ顔で窘める晶であった。
・・・それにしても、まだあと2時間以上もあるのにこのざまでは、果たしてベンジャミンの集落まで無事にたどり着くことができるのだろうか・・・?
段々不安になる晶であったが、ここまで来て引き返すというのもバカらしい。ここは、魔女殿に無理を言ってでも引っ張っていくしかないだろう。
「モリガン、あまりごねると、鏡香さんの「お尻ぺんぺん」が炸裂するぞ」
「な・・・!」
一気に顔が青ざめるモリガン。どうやら、前に鏡香にやられたことがかなりのトラウマになっているらしい。
「ひ、卑怯じゃぞ、晶!チクるのか!!」
「必要とあればな」
まあ、たかがこの程度のことをチクるつもり等毛頭ないのだが、モリガンにはこれが一番通用するようだ。
それにしても、鏡香さんは、普段は「お淑やかなお姉さん」そのものなのだが、怒らせるとマジで恐ろしいからな~。美人は怒らせると怖いとは言うが、彼女の場合それ以上の迫力があるー。
モリガンが、鏡香の背後に「般若の面」を見たと言っていたが、あながちあれも誇張表現とは言い切れないところもあるのだ。
結論から言えば、絶対あの人を怒らせてはいけないーの一言である・・・。
「というわけで、もう少しおとなしくしているんだ、モリガン」
「あうう・・・」
言葉もなく、うなだれるモリガンであった。
「鏡香さん、怒らせると怖いよね~、うんうん」
早苗が横から相槌を打つが・・・。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
晶、ミケさん、モリガン3人とも微妙な表情をしつつ、無言のまま彼女を見つめ返す。
「え、何々、みんなどうしたの?」
「いや・・・」
「なんというか・・・」
「無自覚というニョは本当に怖いもニョですニャー」
ただ一人、早苗だけがクエスチョンを頭に浮かべている。どうやら、前の毒舌ニャンドラゴラのことはもはや全く頭にないらしい。あれにより、彼女の「本性」があらわになったわけではあるが、本人にそもそも自覚がないので・・・。
「モリガン、ミケさん、絶対にこいつと鏡香さんだけは怒らせるなよ。咲那姉と違ってマジやばいからな」
「うむ・・・」
「それが一番ですニャー」
3人がこそこそと話し始めたので、一人蚊帳の外に置かれた形の早苗が不機嫌になる。
「もう、3人ともどうしたの!?」
腰に両手を当てて3人に強い口調で迫る早苗ーやばいな、これは。
「いや、打合せしてたんだよ、わりぃ。仲間外れにしたわけじゃないからな、清野」
とりあえず、早急にこの場を収めるべく、晶が適当にごまかす。
早苗は、まだ納得がいかなそうな表情をしていたが、あまり長引かせると本当にやばそうなので、何とか話題を変えることにした。
「ところでベンジャミン、集落にも蟲は現れることはあるのか?」
害蟲駆除チームの一員らしく、敢えて蟲についての話題に切り替えることにしたー。
「蟲って、この前のいがぐりみたいなやつか?」
「まあ、一言に蟲といっても、形が決まっているわけじゃない。いろんな形状のがいるよ」
「・・・おいら、よくわからんけど・・・」
少し考え事をしてから、ベンジャミンが答えた。
「たまに、得体の知れないやつが集落に出ることはあるぞ」
とー。
まあ、確かにただ巨大土竜の後をついていくだけの強行軍では、つまらないのも無理はないー。
さっそく、モリガンが音を上げ始めた。
「だあぁぁ~、何もない暗い一本道をただ歩き続けるなんぞつまらなさ過ぎて死にそうじゃ!」
この魔女殿、考えてみれば早苗の一個下の13歳。事あるごとに「秋の領域最大の魔女」を自称するが、精神的にはまだまだお子様であった。
「おいおい、しっかりしろよ、魔女殿。まだ1時間も歩いてないぞ・・・」
呆れ顔で窘める晶であった。
・・・それにしても、まだあと2時間以上もあるのにこのざまでは、果たしてベンジャミンの集落まで無事にたどり着くことができるのだろうか・・・?
段々不安になる晶であったが、ここまで来て引き返すというのもバカらしい。ここは、魔女殿に無理を言ってでも引っ張っていくしかないだろう。
「モリガン、あまりごねると、鏡香さんの「お尻ぺんぺん」が炸裂するぞ」
「な・・・!」
一気に顔が青ざめるモリガン。どうやら、前に鏡香にやられたことがかなりのトラウマになっているらしい。
「ひ、卑怯じゃぞ、晶!チクるのか!!」
「必要とあればな」
まあ、たかがこの程度のことをチクるつもり等毛頭ないのだが、モリガンにはこれが一番通用するようだ。
それにしても、鏡香さんは、普段は「お淑やかなお姉さん」そのものなのだが、怒らせるとマジで恐ろしいからな~。美人は怒らせると怖いとは言うが、彼女の場合それ以上の迫力があるー。
モリガンが、鏡香の背後に「般若の面」を見たと言っていたが、あながちあれも誇張表現とは言い切れないところもあるのだ。
結論から言えば、絶対あの人を怒らせてはいけないーの一言である・・・。
「というわけで、もう少しおとなしくしているんだ、モリガン」
「あうう・・・」
言葉もなく、うなだれるモリガンであった。
「鏡香さん、怒らせると怖いよね~、うんうん」
早苗が横から相槌を打つが・・・。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
晶、ミケさん、モリガン3人とも微妙な表情をしつつ、無言のまま彼女を見つめ返す。
「え、何々、みんなどうしたの?」
「いや・・・」
「なんというか・・・」
「無自覚というニョは本当に怖いもニョですニャー」
ただ一人、早苗だけがクエスチョンを頭に浮かべている。どうやら、前の毒舌ニャンドラゴラのことはもはや全く頭にないらしい。あれにより、彼女の「本性」があらわになったわけではあるが、本人にそもそも自覚がないので・・・。
「モリガン、ミケさん、絶対にこいつと鏡香さんだけは怒らせるなよ。咲那姉と違ってマジやばいからな」
「うむ・・・」
「それが一番ですニャー」
3人がこそこそと話し始めたので、一人蚊帳の外に置かれた形の早苗が不機嫌になる。
「もう、3人ともどうしたの!?」
腰に両手を当てて3人に強い口調で迫る早苗ーやばいな、これは。
「いや、打合せしてたんだよ、わりぃ。仲間外れにしたわけじゃないからな、清野」
とりあえず、早急にこの場を収めるべく、晶が適当にごまかす。
早苗は、まだ納得がいかなそうな表情をしていたが、あまり長引かせると本当にやばそうなので、何とか話題を変えることにした。
「ところでベンジャミン、集落にも蟲は現れることはあるのか?」
害蟲駆除チームの一員らしく、敢えて蟲についての話題に切り替えることにしたー。
「蟲って、この前のいがぐりみたいなやつか?」
「まあ、一言に蟲といっても、形が決まっているわけじゃない。いろんな形状のがいるよ」
「・・・おいら、よくわからんけど・・・」
少し考え事をしてから、ベンジャミンが答えた。
「たまに、得体の知れないやつが集落に出ることはあるぞ」
とー。
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