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さて、穴の方は?(第3話)
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モリガンの使い魔が消えた地点まで、あとわずかー。
とはいっても、所詮は穴の中なので、ただの一本道で特に迷うようなこともなく、灯り花の光を頼りにひたすら歩いていくだけのことだった。
「こうも代わり映えがしないと、つまらんもんじゃのう」
欠伸をしながら、モリガンが先頭を歩いている。実際のところ、特にやることもないので、つまらないといえばそうなるのだが・・・。
「一応何が起きてもすぐに対処できるようにはしておけよ。相手の正体がわからないんだからな」
晶の言う通り、相手の正体がつかめない以上は警戒は必要である。
「大丈夫じゃって。多分この穴を掘ったやつは、かなり先まで進んでおるし、仮に追いつくことができたとしてもまだまだ先の話じゃろうて」
「そりゃそうだけどな・・・でも、穴を掘ったやつばかり・・・とも限らないだろ?さっきのスライ蟲・ボス(仮)みたいなのがまたいたりしたら・・・」
「その時はまたぶっ飛ばしてやるぞい」
どうも、モリガンは単調な穴の探索に飽き飽きしているようだった。
「うーん、どこまで続くんだろうねぇ、この穴。やっぱり大きな土竜さんかな?掘ったのは」
地中を掘り進むといえば、やはり土竜というイメージが強いのだろうか・・・もっとも、人が立って歩けるだけの通路を掘るとなれば、とんでもなくでかい土竜・・・ということになりそうだが。
「魔力の波動はさして感じないから、おそらく害蟲ではないと思うが・・・かといって、このでかい穴を掘れる土竜というのもイメージがわかんな」
ちなみに、早苗のイメージでは、やたらと大きな土竜がせっせと通路を掘り進めているといった感じだった・・・ある意味微笑ましいともいえる光景である・・・。
「ここじゃな、使い魔が消えたのは」
そうこうしているうちに、使い魔の消滅地点へとたどり着いたようだ・・・とはいえ、結局はただ単調な穴の中なので、今まで歩いてきた通路をほとんど変わり映えがない。当たり前だが、奥へと続く暗闇と、土壁くらいしか見るものはなかった。
「さて、また使い魔を飛ばすかのう・・・」
モリガンが、再び単眼の蝙蝠を生み出した。本人の趣味なのか、えらく可愛らしい使い魔である。
「モリガンちゃん、使い魔くん可愛いねぇ」
早苗には好評だったようだ。
「あっはっはー!まあ、わしもこいつらのことは気に入っておる」
「また使い魔を先行させて、灯り花を撒くんだよな」
晶が手順を確認した。
「そうじゃな、それを繰り返していけば、いつかはこの穴の主までたどり着けるはずじゃが・・・待てよ」
モリガンは少し思案顔になると、
「ここに転移するための魔法陣もついでに作っておくかのう。そうすれば、一旦穴から出ても一瞬で転移できるから、またここから探索を再開できる」
それは名案だ。こんな何もない穴の中を行ったり来たりするのもさすがに不毛である・・・。
もし、そのような転移魔法陣が作れるなら、それに越したことはないだろう。
「その上で、使い魔を先行させて、また使い魔が消滅した地点で魔法陣を作り脱出する・・・そんなところかな」
「そういうことじゃ」
モリガンが木の枝によく似た魔道具を取り出し、それを用いて地面に何やら描き始める・・・これが転移用の魔法陣なのだろう。
「よし、ミケさんも待っているし、一旦地上へと戻るか」
「そうじゃな、ただ歩くだけで面白くもないしのう。これ以上は」
「歩くの疲れたし、帰ろうよ」
3人は、一旦地上へと戻ることにしたー。
ーー
一方、地上ではミケさんが例の如く酒を飲んで眠りこけていたー彼の身に危険が迫っているとも知らず!どうなる、ミケさん!!
とはいっても、所詮は穴の中なので、ただの一本道で特に迷うようなこともなく、灯り花の光を頼りにひたすら歩いていくだけのことだった。
「こうも代わり映えがしないと、つまらんもんじゃのう」
欠伸をしながら、モリガンが先頭を歩いている。実際のところ、特にやることもないので、つまらないといえばそうなるのだが・・・。
「一応何が起きてもすぐに対処できるようにはしておけよ。相手の正体がわからないんだからな」
晶の言う通り、相手の正体がつかめない以上は警戒は必要である。
「大丈夫じゃって。多分この穴を掘ったやつは、かなり先まで進んでおるし、仮に追いつくことができたとしてもまだまだ先の話じゃろうて」
「そりゃそうだけどな・・・でも、穴を掘ったやつばかり・・・とも限らないだろ?さっきのスライ蟲・ボス(仮)みたいなのがまたいたりしたら・・・」
「その時はまたぶっ飛ばしてやるぞい」
どうも、モリガンは単調な穴の探索に飽き飽きしているようだった。
「うーん、どこまで続くんだろうねぇ、この穴。やっぱり大きな土竜さんかな?掘ったのは」
地中を掘り進むといえば、やはり土竜というイメージが強いのだろうか・・・もっとも、人が立って歩けるだけの通路を掘るとなれば、とんでもなくでかい土竜・・・ということになりそうだが。
「魔力の波動はさして感じないから、おそらく害蟲ではないと思うが・・・かといって、このでかい穴を掘れる土竜というのもイメージがわかんな」
ちなみに、早苗のイメージでは、やたらと大きな土竜がせっせと通路を掘り進めているといった感じだった・・・ある意味微笑ましいともいえる光景である・・・。
「ここじゃな、使い魔が消えたのは」
そうこうしているうちに、使い魔の消滅地点へとたどり着いたようだ・・・とはいえ、結局はただ単調な穴の中なので、今まで歩いてきた通路をほとんど変わり映えがない。当たり前だが、奥へと続く暗闇と、土壁くらいしか見るものはなかった。
「さて、また使い魔を飛ばすかのう・・・」
モリガンが、再び単眼の蝙蝠を生み出した。本人の趣味なのか、えらく可愛らしい使い魔である。
「モリガンちゃん、使い魔くん可愛いねぇ」
早苗には好評だったようだ。
「あっはっはー!まあ、わしもこいつらのことは気に入っておる」
「また使い魔を先行させて、灯り花を撒くんだよな」
晶が手順を確認した。
「そうじゃな、それを繰り返していけば、いつかはこの穴の主までたどり着けるはずじゃが・・・待てよ」
モリガンは少し思案顔になると、
「ここに転移するための魔法陣もついでに作っておくかのう。そうすれば、一旦穴から出ても一瞬で転移できるから、またここから探索を再開できる」
それは名案だ。こんな何もない穴の中を行ったり来たりするのもさすがに不毛である・・・。
もし、そのような転移魔法陣が作れるなら、それに越したことはないだろう。
「その上で、使い魔を先行させて、また使い魔が消滅した地点で魔法陣を作り脱出する・・・そんなところかな」
「そういうことじゃ」
モリガンが木の枝によく似た魔道具を取り出し、それを用いて地面に何やら描き始める・・・これが転移用の魔法陣なのだろう。
「よし、ミケさんも待っているし、一旦地上へと戻るか」
「そうじゃな、ただ歩くだけで面白くもないしのう。これ以上は」
「歩くの疲れたし、帰ろうよ」
3人は、一旦地上へと戻ることにしたー。
ーー
一方、地上ではミケさんが例の如く酒を飲んで眠りこけていたー彼の身に危険が迫っているとも知らず!どうなる、ミケさん!!
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