テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

文字の大きさ
上 下
79 / 464

毒舌ニャンドラゴラをなんとかしろ(第2話)

しおりを挟む
 その後も、毒舌ニャンドラゴラは「毒を吐き」続けたー。

「・・・こいつは・・・」

「晶、わしはもう限界じゃ」

 毒舌ニャンドラゴラ・・・毒舌というのは、歯に衣着せぬ発言を言うが、こいつの場合は、「単にデリカシーがない」というだけの話だった。

 さらには、素材に使われた毒キノコパワーによって、より質の悪いものとなっていたりする・・・まあ、「毒」の性質や意味合いは全く異なっているような気がするが・・・。

「ぶっ飛ばしてもええかのう?晶」

「まあ、止める気も起こらん。この際だから、一緒にやるか、モリガン」

「我輩も止めるつもりはありませんニャー」

 珍しく、ミケさんも腹が立ったのか、晶とモリガンに同意した・・・もっとも、ミケさん自身は戦うことができないので、結局できることは何もないのだが・・・。

 唯一、早苗だけが、まだ何かぶつぶつ言っている。「ボブ扇」と言われただけでなく、やはり様々な「毒舌攻撃」を受けて、相当ショックだったようだ・・・。

 早苗は、この際そっとしておいた方がいいかもしれない・・・。

「よし、それじゃあ、思い切って片付けるか」

「当たり前じゃ!!」

「やるニョだ、二人とも」

 ーここから先は、一方的な二人によるリンチ状態となった。基本的にこいつは戦闘能力を持っていないようなので、もはやバトルと呼べるような代物ではなかったー。

「ぎゃふん」

 毒舌ニャンドラゴラが、早苗の足元までぶっ飛ばされてきた。そして、これ幸いにと、早苗に対して助けを求めた。

「おお、ボブ扇のお姉さん。なあ、助けてくれよ。あんた、優しそうだし何とかしてくれ」

 ・・・あれだけさんざん他人を馬鹿にしたような発言をしてきたというのに、なんとも打たれ弱いやつである。

「うーん」

 早苗は、そんな毒舌ニャンドラゴラを一目見て、それからにっこりと満面の笑みを浮かべながら、

「ここで私に扇で100回叩かれるのと、地中深くに埋められるのと、どっちがいいかな?」

 ・・・ヒュ~。

 なんとも言えない寒々しい風が辺りを吹き抜けていく。

 そして、晶もモリガンも、そしてミケさんですら、今の早苗の姿に、背筋が寒くなるのを感じた。

「ちょうど、近くに大きな穴があったよねぇ。その穴の中なら君も居心地がいいかな?ただし、誰にも引っこ抜かれないように、何かの入れ物に詰めて埋めてあげるね」

 早苗の笑顔は変わらない・・・が、逆にその笑顔が却って怖い。そして、「二度と」という言葉に、やけに力が入っていた気が・・・する。さらには・・・目もなんだか危険な光を放っているような・・・。

 モリガンは、たまに和泉鏡香の背後に般若の面を見ることがあるが(イメージではあるのだが)、なんというか、今の早苗はその状態に近いものを感じる・・・。

「それとも、やっぱり扇100叩きかなぁ?これ鉄扇だし、よ?」

 そういって、自らの鉄扇を毒舌ニャンドラゴラに対して示す早苗。毒舌ニャンドラゴラが言葉にならない悲鳴を上げた。

「のう、晶。早苗ってもしかして・・・?」

 モリガンがたじたじになって晶に確認しようとする。

「ああ、あんまり深く考えない方がいいと思うぞ、モリガン。世の中には知らない方がいいこともあるんだ」

 普段優しそうな女性が怒った時ほど、恐ろしいものはないという話がある。

「鏡香さんといい、清野といい、うちのチームの女性陣は怒らせるととてもやばいからな・・・まだしも咲那ねえの方が常識人に思えてくるぞ」

 まあ、逆に姉御肌で気さくな薬師寺咲那であれば、ある程度怒りの方向性とかもわかりやすく、それゆえまだ理解できるのだが・・・。

「まあ、この一件については、あいつの自業自得としか言いようがない・・・せめて安らかに眠ってくれ」

「・・・そうじゃな」

「哀れニャやつニャ・・・」

 晶は、毒舌ニャンドラゴラに対して合掌した。モリガンとミケさんもそれに倣う。

 ついさっきまでリンチ状態にしていた晶たちであったが、それすらも忘れたかのように、心底毒舌ニャンドラゴラに同情した晶たちであったー。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

スーパー忍者・タカシの大冒険

Selfish
ファンタジー
時は現代。ある日、タカシはいつものように学校から帰る途中、目に見えない奇妙な光に包まれた。そして、彼の手の中に一通の封筒が現れる。それは、赤い文字で「スーパー忍者・タカシ様へ」と書かれたものだった。タカシはその手紙を開けると、そこに書かれた内容はこうだった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...