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スライ蟲退治(第5話)
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穴自体はそんなに大きいものではなかった。かろうじて晶が立って歩けるくらいの高さである。さすがに森林内のトンネルらしく、ところどころに、木の根っこらしきものを確認できる。
さすがに真っ暗だが、モリガンが照明の魔法を使ってくれたため、何とか進むことができた。モリガンの右掌の少し上に、蛍光灯くらいの明るさを放つ魔法の球が浮かんでいる。これにより、中の様子を容易に確認することができた。
最初、穴は一本道かと思っていたが、進んでみると、途中で二又に分かれていた。
さて、左と右、どっちに進もうか・・・。
「さあ、赤い線か青い線か、間違った方を切れば大爆発ニャ!」
ミケさんが何やら意味不明なことを喚いているが、この際無視することにする。
「さて、どっちが正解かな・・・」
「ふむ」
モリガンが顎に手を当てて思案しながら、
「この穴は、少なくとも動物系害蟲による掘削でできたもののようじゃ。となると・・・」
モリガンは、何者かが掘り進むことでできた通路の土壁に手を触れて、魔力の痕跡を確認しているようだ。
「少なくとも、魔力ではなく力技で掘り進めているようなので、魔力の痕跡を追うのは難しいのう」
「これだけの穴を力技だけで掘り進めるというのも、考えてみればかなりやばい相手なんじゃないか」
晶の言う通り、人が立って歩けるだけの高さの通路を魔力なしで掘り進められるというのは、それだけパワーがある存在であるといえる。今の4人・・・というか、完全に戦力外のミケさんを除いて、果たして3人だけでどうにかできる相手なのか・・・。
「うっかりこの先で出くわしても、果たしてオレたちだけで対処できるかどうかわからん相手だろ?ここは一旦穴の外に出た方がよくないか」
確かに、この場所でそんな相手と遭遇しても、勝てる見込みはほとんどないだろう。
「それもそうじゃな」
勝気な魔女にしては珍しく引き下がった。
「ただ、万が一のために、ここに目印は残しておこうかのう」
「目印って?モリガンちゃん」
早苗の問いかけに、魔女殿はいたずら好きな子供が浮かべるような笑顔で、
「なに、ここにちょっとしたわしのしもべを配置するのじゃ。そ奴らに、この先を追跡させる。さすがにこのままわしら自身が追跡するのは危険そうじゃからな」
モリガンが、今度は左手に魔力を集め始めた。それは、やがて複数の小さな蝙蝠の形を取り、モリガンから離れて、左右それぞれの穴をめがけて飛んでいった。蝙蝠というか、可愛らしい姿をした単眼の魔物といった感じだ。ぱたぱたと小さな翼をはためかせながら飛んでいく姿は微笑ましくもある。
「これで、この先何かを見つければ、わしのもとにこ奴らの見た映像が届くというわけじゃ。まあ、即席で作った使い魔みたいなものかのう」
得意げにモリガンが説明する。
「オレが笛で一部の蟲を操れるのと似たようなものか」
晶は、自身の笛の音でごく一部の蟲を使役することができる。時としては、害蟲でさえ操ることができるのだ。まさに、「毒を以て毒を制す」ことが可能である。
「ちと違うのう。わしの場合は自身の魔力そのものを擬生物化することができるのじゃ」
なるほど、いうなれば、モリガンの魔力そのものというわけか。
「これで追跡に関しては危険はなくなった。とりあえず、穴の外に向かおう」
4人は、一旦穴の外に出て、モリガンの使い魔たちからの情報を待つこととしたー。
さすがに真っ暗だが、モリガンが照明の魔法を使ってくれたため、何とか進むことができた。モリガンの右掌の少し上に、蛍光灯くらいの明るさを放つ魔法の球が浮かんでいる。これにより、中の様子を容易に確認することができた。
最初、穴は一本道かと思っていたが、進んでみると、途中で二又に分かれていた。
さて、左と右、どっちに進もうか・・・。
「さあ、赤い線か青い線か、間違った方を切れば大爆発ニャ!」
ミケさんが何やら意味不明なことを喚いているが、この際無視することにする。
「さて、どっちが正解かな・・・」
「ふむ」
モリガンが顎に手を当てて思案しながら、
「この穴は、少なくとも動物系害蟲による掘削でできたもののようじゃ。となると・・・」
モリガンは、何者かが掘り進むことでできた通路の土壁に手を触れて、魔力の痕跡を確認しているようだ。
「少なくとも、魔力ではなく力技で掘り進めているようなので、魔力の痕跡を追うのは難しいのう」
「これだけの穴を力技だけで掘り進めるというのも、考えてみればかなりやばい相手なんじゃないか」
晶の言う通り、人が立って歩けるだけの高さの通路を魔力なしで掘り進められるというのは、それだけパワーがある存在であるといえる。今の4人・・・というか、完全に戦力外のミケさんを除いて、果たして3人だけでどうにかできる相手なのか・・・。
「うっかりこの先で出くわしても、果たしてオレたちだけで対処できるかどうかわからん相手だろ?ここは一旦穴の外に出た方がよくないか」
確かに、この場所でそんな相手と遭遇しても、勝てる見込みはほとんどないだろう。
「それもそうじゃな」
勝気な魔女にしては珍しく引き下がった。
「ただ、万が一のために、ここに目印は残しておこうかのう」
「目印って?モリガンちゃん」
早苗の問いかけに、魔女殿はいたずら好きな子供が浮かべるような笑顔で、
「なに、ここにちょっとしたわしのしもべを配置するのじゃ。そ奴らに、この先を追跡させる。さすがにこのままわしら自身が追跡するのは危険そうじゃからな」
モリガンが、今度は左手に魔力を集め始めた。それは、やがて複数の小さな蝙蝠の形を取り、モリガンから離れて、左右それぞれの穴をめがけて飛んでいった。蝙蝠というか、可愛らしい姿をした単眼の魔物といった感じだ。ぱたぱたと小さな翼をはためかせながら飛んでいく姿は微笑ましくもある。
「これで、この先何かを見つければ、わしのもとにこ奴らの見た映像が届くというわけじゃ。まあ、即席で作った使い魔みたいなものかのう」
得意げにモリガンが説明する。
「オレが笛で一部の蟲を操れるのと似たようなものか」
晶は、自身の笛の音でごく一部の蟲を使役することができる。時としては、害蟲でさえ操ることができるのだ。まさに、「毒を以て毒を制す」ことが可能である。
「ちと違うのう。わしの場合は自身の魔力そのものを擬生物化することができるのじゃ」
なるほど、いうなれば、モリガンの魔力そのものというわけか。
「これで追跡に関しては危険はなくなった。とりあえず、穴の外に向かおう」
4人は、一旦穴の外に出て、モリガンの使い魔たちからの情報を待つこととしたー。
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