テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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吾妻晶と清野早苗(第18話)

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ーー日向荘に帰ってからーー

 夕方近くになって、ようやく晶と早苗は日向荘にたどり着いた。「春の領域」での「野外公演」の結果、まさか蟲を連れて帰ることになるとは夢にも思わなかった。

 先刻、晶が和泉姉弟にミケさんのことを連絡したところ、二人とも興味津々といった様子で、とにかく一度ミケさんに会ってみたいので、連れてきてくれないかと言われたのだ。

「ただいまー」

 元旅館の日向荘は、玄関もなかなか凝った作りをしていた。中は広々としており、正直、《ユグドラシル》のメンバーだけでは部屋を余していたところだ。

 ちなみに、今までまともな寝床がなかったミケさんは、日向荘の外観を見るなり「ふふふ・・・」と不敵な笑みを浮かべ、そして中に入った途端、「ニャはははは!」とそれはそれはとても嬉しそうに大笑いしていた・・・。

 そんな様子を涼し気な目で窺っていた晶だったが、まあ、こいつが今更ここで何かやらかすとはとても思えないので、とりあえず無視することにした・・・。

「あら、おかえりなさーい」

「お帰りなのじゃ、二人とも」

 和泉鏡香とモリガンが出迎えてくれた。

「あれ、二人だけですか?」

 他に、和泉奏多、清野江紀、薬師寺咲那がいるはずだが・・・。

「3人なら今、近くで蟲が出現したので、様子を見に行ってますよ」

 ちょうど入れ違いになったようだ。まあ、あの3人であればどんな蟲が相手だろうと心配は要らないだろう。

 ミケさんのことは、後で紹介すればいい。

「蟲の方は江紀にぃ達に任せておけば十分ですね。それでは・・・」

 早苗が前に出て、抱きかかえたミケさんを二人に見せた。

 ・・・何となくだが、ミケさんの糸目が光った・・・ような気がした。もちろん、全くと言っていいほど危険な気配はない。

「あら、その猫さんがミケさんですね」

「おお!これはまた丸っこいやつじゃのう」

 二人とも、ミケさんを見るなり顔をほころばせた。モリガンに至っては、さっそくミケさんの体をあちこち引っ張っていたりする。

「ウニャー、引っ張らニャいでほしいニャー」

「おお、喋りおったぞ、この猫!あっはっはー」

 何が楽しいのか、モリガンはミケさんをいじくりまわしながら笑っていたりする。魔女にとっても珍しい存在・・・でもないと思うのだが。

「あらあら、可愛らしい猫さんですねぇ」

 鏡香は鏡香で、両手を合わせながら微笑んでいる。

 女性陣にはおおむね人気のミケさんであったが、晶にはこいつの何がいいのかいまいちよくわからなかった・・・。

「さあ、今日はもう疲れたでしょう。3人が帰ったらみんなで食事にしましょうか」

 実際、晶は色々な意味で疲れていた・・・主にミケさんが原因なのだが。

「おお、久々においしいごはんにありつけそうニャー」

 ・・・さっそくご相伴に預かる気満々のミケさんであった。この厚かましさも、生き残るために必要だったのだろうか・・・と、晶は頭を抱えながら思った。

「言っとくがな、お前にはまだ面談が待っているんだぞ」

 一応、ミケさんに釘を刺しておくことにする。

「万が一、お前に邪気があるなら駆除の対象だ。それだけは覚えておけよ」

「晶君、駄目だよミケさんを脅かしちゃ」

 早苗にたしなめられてしまった。そして、その腕の中でミケさんが「ふふふ・・・」と不敵に笑っている。

 ・・・何か納得できないものがあるのだが、今は敢えて我慢することにしよう。

「まあまあ、面談についてはそんなに緊張しなくてもいいですよ。それではミケさんを広間にご案内します」

 こうして、ミケさんを連れて広間でみんなが揃うまで待つことになったー。



 
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