47 / 464
吾妻晶と清野早苗(第10話)ーーミケさん登場( `ー´)ノ
しおりを挟む
2人は、不意に声をかけられたーその追跡者に。
果たしてその正体はー。
ーー晶視点ーー
「若人達よ、ニャかニャか頑張っているようですニャー」
・・・。
池のほとりのベンチで休んでいると、突然声をかけられたー人外の者に。
要するに、蟲だ。それは、目の前のこいつから放たれる微弱な魔力の波動を探っていけばすぐに分かった。だが・・・。
その姿は、一言で言えば「不細工な糸目ニャンコもどき」といった感じだ。猫に似ているといえばそうだが、しかし本物の猫よりも明らかにかっこ悪い容姿である。
猫という動物は、もともと胴長短足だが、こいつの場合はさらに輪をかけて足が短く見えた。おそらく、人間と同じく二足歩行しているからだろう。ただし、体のバランスが悪いためなのか、歩みは驚異的に遅く、よちよち歩きに近い。
さらに言えば、胴体もまるで団子のようにでっぷりとしているためか、猫類のようなしなやかさもない。人間でいえばメタボ確定なのは、まず間違いなかろう。
開いているのか閉じているのかよくわからん糸目は釣り上がっており、ナ行の発音が苦手なのか、その発音のたびに「ニャ」と訛っている。
腰-あくまで人間に例えれば腰の位置というべきなのだろうが、何かの巾着袋らしき物があり、シャレのつもりか、まさに「腰巾着」といった感じである・・・全然意味が違うが。
「うわあぁぁ~可愛い!」
清野が、目を輝かせながら、近寄ってきた「ブサニャンコもどき」を抱きかかえた・・・というか、本当に可愛いのか、こいつは?
「猫さん、お名前は?」
自分の体に擦りつけながら、清野が名前を尋ねた。
「吾輩は猫である。名前は・・・」
多分、「まだない」と答えるのだろうと思った。前文明時代の有名小説に、そういう一節で始まる作品があったからだ。
「ミケと申しますニャー」
ガクっと、オレは一瞬コケそうになった。名前あるんかい!しかも、ミケとはまたわかりやすくて何のひねりもない名前だ。まあ、確かによく見ればこいつは三毛猫のような体毛をしているが・・・。
「ミケさんって言うんだねぇ、うん、可愛い可愛い」
ミケこと「ブサニャンコもどき」を抱きかかえ、頬擦りする清野に対し、まんざらでもなさそうなこいつは「ニャッハッハ」と不敵に笑っている。
・・・しかし、こいつは本当に「可愛い」のか?
清野の感覚がズレているのか、オレがその可愛さとやらを理解できないだけなのかと、オレが頭を抱えていると、
「どうした、少年よ。ニャにをそんニャにニャやんでおるニャ」
・・・お前のせいなんだがな。
しかも、ニャーニャーとやたらと猫らしさをこれ見よがしにアピールするかのような、胡散臭さの漂う喋り方も気に食わん・・・。
「晶君、この子可愛いよ、ほら」
そう言いながら、清野は「ブサニャンコもどき」を抱きかかえてこちらに示した。
「いや、そう言われても・・・」
こっちは困るだけなんだが・・・。
「ふっふっふ、お嬢さんには、吾輩ニョキュートさが理解できたようですニャー」
自分で自分をキュートとか言うな、この「ブサニャンコもどき」めが。
相手にするだけ疲れそうなやつではあるが、清野はしばらくこいつを離さないだろう。
どうやら、しばらくこいつの相手をしなければならないようだ。
やれやれ・・・と、オレはかぶりを振ると、とりあえずこいつがオレたちにどんな用事があるのか、確認してみることにした。
まあ、少なくとも・・・こいつが発している魔力の波動をたどれば、害蟲ではないことだけは間違いない。少なくとも、駆除の必要はないだろう。
ただ、どんな奴なのかは今のところ計りかねるというのは本当だ。とりあえず、油断せずに「職務質問」を行うことにしようー。
果たしてその正体はー。
ーー晶視点ーー
「若人達よ、ニャかニャか頑張っているようですニャー」
・・・。
池のほとりのベンチで休んでいると、突然声をかけられたー人外の者に。
要するに、蟲だ。それは、目の前のこいつから放たれる微弱な魔力の波動を探っていけばすぐに分かった。だが・・・。
その姿は、一言で言えば「不細工な糸目ニャンコもどき」といった感じだ。猫に似ているといえばそうだが、しかし本物の猫よりも明らかにかっこ悪い容姿である。
猫という動物は、もともと胴長短足だが、こいつの場合はさらに輪をかけて足が短く見えた。おそらく、人間と同じく二足歩行しているからだろう。ただし、体のバランスが悪いためなのか、歩みは驚異的に遅く、よちよち歩きに近い。
さらに言えば、胴体もまるで団子のようにでっぷりとしているためか、猫類のようなしなやかさもない。人間でいえばメタボ確定なのは、まず間違いなかろう。
開いているのか閉じているのかよくわからん糸目は釣り上がっており、ナ行の発音が苦手なのか、その発音のたびに「ニャ」と訛っている。
腰-あくまで人間に例えれば腰の位置というべきなのだろうが、何かの巾着袋らしき物があり、シャレのつもりか、まさに「腰巾着」といった感じである・・・全然意味が違うが。
「うわあぁぁ~可愛い!」
清野が、目を輝かせながら、近寄ってきた「ブサニャンコもどき」を抱きかかえた・・・というか、本当に可愛いのか、こいつは?
「猫さん、お名前は?」
自分の体に擦りつけながら、清野が名前を尋ねた。
「吾輩は猫である。名前は・・・」
多分、「まだない」と答えるのだろうと思った。前文明時代の有名小説に、そういう一節で始まる作品があったからだ。
「ミケと申しますニャー」
ガクっと、オレは一瞬コケそうになった。名前あるんかい!しかも、ミケとはまたわかりやすくて何のひねりもない名前だ。まあ、確かによく見ればこいつは三毛猫のような体毛をしているが・・・。
「ミケさんって言うんだねぇ、うん、可愛い可愛い」
ミケこと「ブサニャンコもどき」を抱きかかえ、頬擦りする清野に対し、まんざらでもなさそうなこいつは「ニャッハッハ」と不敵に笑っている。
・・・しかし、こいつは本当に「可愛い」のか?
清野の感覚がズレているのか、オレがその可愛さとやらを理解できないだけなのかと、オレが頭を抱えていると、
「どうした、少年よ。ニャにをそんニャにニャやんでおるニャ」
・・・お前のせいなんだがな。
しかも、ニャーニャーとやたらと猫らしさをこれ見よがしにアピールするかのような、胡散臭さの漂う喋り方も気に食わん・・・。
「晶君、この子可愛いよ、ほら」
そう言いながら、清野は「ブサニャンコもどき」を抱きかかえてこちらに示した。
「いや、そう言われても・・・」
こっちは困るだけなんだが・・・。
「ふっふっふ、お嬢さんには、吾輩ニョキュートさが理解できたようですニャー」
自分で自分をキュートとか言うな、この「ブサニャンコもどき」めが。
相手にするだけ疲れそうなやつではあるが、清野はしばらくこいつを離さないだろう。
どうやら、しばらくこいつの相手をしなければならないようだ。
やれやれ・・・と、オレはかぶりを振ると、とりあえずこいつがオレたちにどんな用事があるのか、確認してみることにした。
まあ、少なくとも・・・こいつが発している魔力の波動をたどれば、害蟲ではないことだけは間違いない。少なくとも、駆除の必要はないだろう。
ただ、どんな奴なのかは今のところ計りかねるというのは本当だ。とりあえず、油断せずに「職務質問」を行うことにしようー。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
スーパー忍者・タカシの大冒険
Selfish
ファンタジー
時は現代。ある日、タカシはいつものように学校から帰る途中、目に見えない奇妙な光に包まれた。そして、彼の手の中に一通の封筒が現れる。それは、赤い文字で「スーパー忍者・タカシ様へ」と書かれたものだった。タカシはその手紙を開けると、そこに書かれた内容はこうだった。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる