テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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吾妻晶と清野早苗(第10話)ーーミケさん登場( `ー´)ノ

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 2人は、不意に声をかけられたーその追跡者に。

 果たしてその正体はー。

ーー晶視点ーー

「若人達よ、ニャかニャか頑張っているようですニャー」

 ・・・。

 池のほとりのベンチで休んでいると、突然声をかけられたー人外の者に。

 要するに、蟲だ。それは、目の前のこいつから放たれる微弱な魔力の波動を探っていけばすぐに分かった。だが・・・。

 その姿は、一言で言えば「不細工な糸目ニャンコもどき」といった感じだ。猫に似ているといえばそうだが、しかし本物の猫よりも明らかにかっこ悪い容姿である。

 猫という動物は、もともと胴長短足だが、こいつの場合はさらに輪をかけて足が短く見えた。おそらく、人間と同じく二足歩行しているからだろう。ただし、体のバランスが悪いためなのか、歩みは驚異的に遅く、よちよち歩きに近い。

 さらに言えば、胴体もまるで団子のようにでっぷりとしているためか、猫類のようなしなやかさもない。人間でいえばメタボ確定なのは、まず間違いなかろう。

 開いているのか閉じているのかよくわからん糸目は釣り上がっており、ナ行の発音が苦手なのか、その発音のたびに「ニャ」と訛っている。

 腰-あくまで人間に例えれば腰の位置というべきなのだろうが、何かの巾着袋らしき物があり、シャレのつもりか、まさに「腰巾着」といった感じである・・・全然意味が違うが。

「うわあぁぁ~可愛い!」

 清野が、目を輝かせながら、近寄ってきた「ブサニャンコもどき」を抱きかかえた・・・というか、本当に可愛いのか、こいつは?

「猫さん、お名前は?」

 自分の体に擦りつけながら、清野が名前を尋ねた。

「吾輩は猫である。名前ニャまえは・・・」

 多分、「まだない」と答えるのだろうと思った。前文明時代の有名小説に、そういう一節で始まる作品があったからだ。

「ミケと申しますニャー」
 
 ガクっと、オレは一瞬コケそうになった。名前あるんかい!しかも、ミケとはまたわかりやすくて何のひねりもない名前だ。まあ、確かによく見ればこいつは三毛猫のような体毛をしているが・・・。

「ミケさんって言うんだねぇ、うん、可愛い可愛い」

 ミケこと「ブサニャンコもどき」を抱きかかえ、頬擦りする清野に対し、まんざらでもなさそうなこいつは「ニャッハッハ」と不敵に笑っている。

 ・・・しかし、こいつは本当に「可愛い」のか?

 清野の感覚がズレているのか、オレがその可愛さとやらを理解できないだけなのかと、オレが頭を抱えていると、

「どうした、少年よ。ニャにをそんニャにニャやんでおるニャ」

 ・・・お前のせいなんだがな。

 しかも、ニャーニャーとやたらと猫らしさをこれ見よがしにアピールするかのような、胡散臭さの漂う喋り方も気に食わん・・・。

「晶君、この子可愛いよ、ほら」

 そう言いながら、清野は「ブサニャンコもどき」を抱きかかえてこちらに示した。

「いや、そう言われても・・・」

 こっちは困るだけなんだが・・・。

「ふっふっふ、お嬢さんには、吾輩ニョキュートさが理解できたようですニャー」

 自分で自分をキュートとか言うな、この「ブサニャンコもどき」めが。

 相手にするだけ疲れそうなやつではあるが、清野はしばらくこいつを離さないだろう。

 どうやら、しばらくこいつの相手をしなければならないようだ。

 やれやれ・・・と、オレはかぶりを振ると、とりあえずこいつがオレたちにどんな用事があるのか、確認してみることにした。

 まあ、少なくとも・・・こいつが発している魔力の波動をたどれば、害蟲ではないことだけは間違いない。少なくとも、駆除の必要はないだろう。

 ただ、どんな奴なのかは今のところ計りかねるというのは本当だ。とりあえず、油断せずに「職務質問」を行うことにしようー。
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