テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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吾妻晶と清野早苗(第2話)

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 というわけで、さっそく花見のため「春の領域」と呼ばれる場所を目指すことにする。

 この「日向荘」からは歩いて2時間くらいの距離だ。移動手段はあるものの、2人とも散策も兼ねて歩くことにする。

 そういえば、「秋の領域」で鏡香さんがモリガンを連れて来たんだったな・・・晶はふと、チームに新しく入ってきた自称「秋の領域最大の魔女」ことモリガンのことを思い出した。

 見た目は、はっきり言って早苗よりも年下のただのツインテールの少女だ。とてもではないが、本人が言うような大魔女様には見えない。やたらと「あっはっはー!」と笑うやつで、生意気でもある。なぜか古風な喋り方も含めて何かと目立つ奴でもあった。

 だが、内に秘めた魔力の潜在量を探れば、確かに「最大の魔女」を自称するだけの力を感じ取ることはできた。その年齢くらいでそれだけの魔力があるということは、確かに魔女としての才能があるといえる。鏡香さんもそれゆえに彼女をスカウト(半ば強制的だったらしいが)したのだろう。

 くせの多い《ユグドラシル》の女性陣に、さらに個性的な奴が加わったというわけだ。

 この世界ーというか、大樹《ユグドラシル》には4つの「四季領域」が存在する。晶はまだ、春と秋の領域しか訪れたことはないが、いずれ時間が許せば他の領域も見て回りたいと思っていた。

 ちなみに、《ユグドラシル》というチームは、当然ながら大樹《ユグドラシル》から由来する。晶たちが住んでいるのは、大樹《ユグドラシル》の葉の部分ー居住エリアだ。大樹《ユグドラシル》には数千万の人間たちが居住しており、それぞれ葉や幹内部、枝内部等で街をつくり暮らしているのだ。大樹《7ユグドラシル》とは それ自体が巨大な国家に例えられるのだ。

 大樹の周りはー晶は実際に見たことはないもののー見渡す限りの砂漠であると聞かされている。そして、この大樹の上層部を無数の浮島ー《ラピュタ》が浮かんでおり、その浮島にもやはり人は住んでいるのだ。浮島の規模や大きさにもよるが、大きなものになると大樹《ユグドラシル》と同じくらいの人口を誇り、都市化している場合もある。当然ながら、《ユグドラシル》と《ラピュタ》の間での民間交流はある。

 何もかもが前文明時代と比べて様変わりした世界であり、ある程度継承している部分を除いては、前文明時代と今の時代には直接のつながりはないらしい。そもそも、前文明時代には《ラピュタ》や《ユグドラシル》等存在しなかったーあるいは神話や架空の存在として扱われていたくらいだ。魔法に関しても同様である。

 歴史家の間でも、なぜこれだけ前文明時代と今とでは差がありすぎるのか、しばしば議論にはなるが、結論が出る見通しはない。

 目指す「春の領域」まで大体あと半分くらいといったところかー。「日向荘」からだと、一旦枝内部に入り、そこから幹内部を通過して、「春の領域」がある葉を目指すことになる。今は枝内部だが、枝内部の上部には一部巨大な天窓もあり、外である葉のエリアと遜色ないくらいに明るい。ちらほらと集合住宅も見え、ちょっとした都市空間と化していた。

 たまには《ユグドラシル》内部を散策するのも悪くはない。

 晶は早苗とともに、しばらく枝内部を寄り道してみることにしたー。
 
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