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清野江紀と薬師寺咲那(第5話)
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ーー咲那視点ーー
「江紀のやつ、行ったみたいだな」
大型の個体については、あいつに任せておけば問題ないだろう。あたしはこのまま亜人種型を目指すだけだ。
ところどころはがれた壁材や割れたリノリウムが散乱した廊下を駆け抜ける。中庭に通じる扉は壊れて空きっぱなしとなっていた。
おそらく相手はこちらの動きに気が付いてはいるだろうが、それでもいきなり中庭に突っ込むのはやはり短絡的だろう。とりあえず、近くの窓の下に身を潜め、中庭の様子を確認するべく、あたしは蟲の魔力の波動を追ってみた。
やはり、亜人種型はここに潜んでいる。抑えても隠し切れない魔力の波動ーといったところか。
「いいねえ、威圧感たっぷりって感じだ」
思わず口元に笑みが浮かんでしまう。今までは亜人種型が江紀の担当だったが、今回こいつを仕留めることができれば、いよいよあたしもA級とやり合えるだけの実力を備えたことを証明できる。そうなれば、亜人種型はもはや江紀だけの専売特許ではなくなるだろう。
今までにやり合ってきたのは、どれもB級ランクの大型の蟲ばかりだ。例外なく、どいつもグロいのばかりである。
・・・一応あたしも女だ。そんなあたしにグロいのばかり回すというのもどうなのか。
「あいつ、あたしのこと女だと認識してんのか」
・・・緊張を紛らわすためとはいえ、変なことを考えてしまった。いかん、集中しなければ。
深呼吸して高ぶった感情を少しでも抑える。気持ちを落ち着け、相手の様子を十分確認してから・・・、
「いつまでも隠れているわけにもいかないよな・・・」
覚悟を決めて、中庭に入ることにする。もちろん、戦闘に備えて、魔力はいつでも解放できるようにしておいた。
「待ってろよ、蟲けら」
そして、待ち受けていた蟲と相対することとなった。
ーー
「やあ、人間のお嬢さん」
やたらとフレンドリーな口調に一瞬呆気にとられたが、すぐに気を引き締める。目の前にいるのが、A級と謳われる害蟲ー亜人種型だ。
相手の容姿は、人間に極めて近いーが、あくまでもそれは蟲としてはーの話だ。頭部には昆虫の触覚に似たものがあり、目は全部黒目のみ。背中には翼-というよりもその骨格がむき出しになったようなものが生えている。上半身は人間の男性と同じか多少華奢で、下半身は鱗のようなもので覆われていた。
「これが亜人種型か・・・」
今までは、亜人種型の姿を確認する前に江紀が片付けてしまっていたので、ろくに姿を拝む機会もなかったが、他の亜人種型も多分こいつに近い姿をしているのだろうか。
少なくとも「デミヒューマン」と呼ばれるくらいなのだから、確かに人間には近いのだろうーあくまでも他の蟲と比べればということだろうがー。
「確か、もう一人ここに来ていたようだけど、そっちは屋上の仲間のところかな」
亜人種型が笑みを浮かべつつ訪ねてきた。余裕しゃくしゃくといった感じでなんとも癪に障る相手だ・・・別にシャレではないが。
「なんだ、お前ら蟲けらどもに仲間意識なんてものがあるのか」
「おやおや、全生物界において、自己中心の代表である人間風情に仲間意識がある方が、僕らにとっては不思議なことだよ」
くくく・・・と笑いながら、まるでいたずらっこのような少年口調で返された。余裕を見せつつも、魔力を攻撃用に集中しているのがわかる。すでに臨戦態勢というわけか。
もっとも、それはあたしも同じなのだが。
「さて、出会ったばかりですまないが、生憎僕は人間風情と戯れるつもりはなくてね、上の同胞とともに、この辺り一帯を早く僕らの縄張りにしたいんだ。悪いが死んでもらうよ」
笑顔なのは変わらないが、その瞳には殺意が満ちており、そしてその指先にはかなりの魔力が集中していた。おそらくは、指先からビーム状に放つタイプの魔法が来るはずだ。威力よりも速射性に優れている・・・とはいえ、何の力も持たない人間が食らえば体に風穴が空くくらいの威力は誇っているはず。心臓を狙われれば間違いなくお陀仏である。
「ほざけ蟲けらが」
あたしも自身の魔力を解放し始めた。
「お前らを駆除するのがあたしらの生業なんでね。こっちも蟲けらと戯れるつもりなんざこれっぽっちもねえよ!」
あたしは叫びつつ、自分の剣を召喚し始めた。
あたしの通り名は「刀剣士」ー敵と用途に応じて、片手剣と刀を使い分けることができる。片手剣は直接魔力を込めて「魔法剣」として用い、刀は天元一刀流(破門された身ではあるが、あたしが学んだ流派だ)の使い手として駆使する。これがあたしの戦闘スタイルだ。
ただ、用途に応じて使い分けているということからもわかる通り、二刀流ではない。そもそも片手剣と刀では全く使い勝手が異なる。片手剣か刀かー使うのはどちらか一方だけだ。ここが江紀の「双剣」とは異なる点だ。
今回は刀ではなく片手剣を使う。あたしの勘がそっちを推していた。
「ふうん、威勢がいいね、お嬢さん。だけど、蛮勇は身を亡ぼすよ」
亜人種型の声色が変わった。今までの、どこかふざけたようでこちらを見下しているようなものとは違う。どうやら、そろそろ本格的におっぱじめるつもりのようだ。
「蛮勇かどうか、てめえ自身の身で試してみやがれ!」
あたしも負けじと相手をにらみ返す。幽世より召喚されたあたしの剣ーエクセリオンーに魔力を込めて魔法剣とする。
「図に乗るな、人間風情が」
「それはこっちのセリフだ、蟲けらが」
双方共に戦いの準備は整った。あとはーどちらかが倒れるまで戦うのみだ!
「行くよ」「行くぜ!」
そして、戦いの幕が切って落とされたー。
「江紀のやつ、行ったみたいだな」
大型の個体については、あいつに任せておけば問題ないだろう。あたしはこのまま亜人種型を目指すだけだ。
ところどころはがれた壁材や割れたリノリウムが散乱した廊下を駆け抜ける。中庭に通じる扉は壊れて空きっぱなしとなっていた。
おそらく相手はこちらの動きに気が付いてはいるだろうが、それでもいきなり中庭に突っ込むのはやはり短絡的だろう。とりあえず、近くの窓の下に身を潜め、中庭の様子を確認するべく、あたしは蟲の魔力の波動を追ってみた。
やはり、亜人種型はここに潜んでいる。抑えても隠し切れない魔力の波動ーといったところか。
「いいねえ、威圧感たっぷりって感じだ」
思わず口元に笑みが浮かんでしまう。今までは亜人種型が江紀の担当だったが、今回こいつを仕留めることができれば、いよいよあたしもA級とやり合えるだけの実力を備えたことを証明できる。そうなれば、亜人種型はもはや江紀だけの専売特許ではなくなるだろう。
今までにやり合ってきたのは、どれもB級ランクの大型の蟲ばかりだ。例外なく、どいつもグロいのばかりである。
・・・一応あたしも女だ。そんなあたしにグロいのばかり回すというのもどうなのか。
「あいつ、あたしのこと女だと認識してんのか」
・・・緊張を紛らわすためとはいえ、変なことを考えてしまった。いかん、集中しなければ。
深呼吸して高ぶった感情を少しでも抑える。気持ちを落ち着け、相手の様子を十分確認してから・・・、
「いつまでも隠れているわけにもいかないよな・・・」
覚悟を決めて、中庭に入ることにする。もちろん、戦闘に備えて、魔力はいつでも解放できるようにしておいた。
「待ってろよ、蟲けら」
そして、待ち受けていた蟲と相対することとなった。
ーー
「やあ、人間のお嬢さん」
やたらとフレンドリーな口調に一瞬呆気にとられたが、すぐに気を引き締める。目の前にいるのが、A級と謳われる害蟲ー亜人種型だ。
相手の容姿は、人間に極めて近いーが、あくまでもそれは蟲としてはーの話だ。頭部には昆虫の触覚に似たものがあり、目は全部黒目のみ。背中には翼-というよりもその骨格がむき出しになったようなものが生えている。上半身は人間の男性と同じか多少華奢で、下半身は鱗のようなもので覆われていた。
「これが亜人種型か・・・」
今までは、亜人種型の姿を確認する前に江紀が片付けてしまっていたので、ろくに姿を拝む機会もなかったが、他の亜人種型も多分こいつに近い姿をしているのだろうか。
少なくとも「デミヒューマン」と呼ばれるくらいなのだから、確かに人間には近いのだろうーあくまでも他の蟲と比べればということだろうがー。
「確か、もう一人ここに来ていたようだけど、そっちは屋上の仲間のところかな」
亜人種型が笑みを浮かべつつ訪ねてきた。余裕しゃくしゃくといった感じでなんとも癪に障る相手だ・・・別にシャレではないが。
「なんだ、お前ら蟲けらどもに仲間意識なんてものがあるのか」
「おやおや、全生物界において、自己中心の代表である人間風情に仲間意識がある方が、僕らにとっては不思議なことだよ」
くくく・・・と笑いながら、まるでいたずらっこのような少年口調で返された。余裕を見せつつも、魔力を攻撃用に集中しているのがわかる。すでに臨戦態勢というわけか。
もっとも、それはあたしも同じなのだが。
「さて、出会ったばかりですまないが、生憎僕は人間風情と戯れるつもりはなくてね、上の同胞とともに、この辺り一帯を早く僕らの縄張りにしたいんだ。悪いが死んでもらうよ」
笑顔なのは変わらないが、その瞳には殺意が満ちており、そしてその指先にはかなりの魔力が集中していた。おそらくは、指先からビーム状に放つタイプの魔法が来るはずだ。威力よりも速射性に優れている・・・とはいえ、何の力も持たない人間が食らえば体に風穴が空くくらいの威力は誇っているはず。心臓を狙われれば間違いなくお陀仏である。
「ほざけ蟲けらが」
あたしも自身の魔力を解放し始めた。
「お前らを駆除するのがあたしらの生業なんでね。こっちも蟲けらと戯れるつもりなんざこれっぽっちもねえよ!」
あたしは叫びつつ、自分の剣を召喚し始めた。
あたしの通り名は「刀剣士」ー敵と用途に応じて、片手剣と刀を使い分けることができる。片手剣は直接魔力を込めて「魔法剣」として用い、刀は天元一刀流(破門された身ではあるが、あたしが学んだ流派だ)の使い手として駆使する。これがあたしの戦闘スタイルだ。
ただ、用途に応じて使い分けているということからもわかる通り、二刀流ではない。そもそも片手剣と刀では全く使い勝手が異なる。片手剣か刀かー使うのはどちらか一方だけだ。ここが江紀の「双剣」とは異なる点だ。
今回は刀ではなく片手剣を使う。あたしの勘がそっちを推していた。
「ふうん、威勢がいいね、お嬢さん。だけど、蛮勇は身を亡ぼすよ」
亜人種型の声色が変わった。今までの、どこかふざけたようでこちらを見下しているようなものとは違う。どうやら、そろそろ本格的におっぱじめるつもりのようだ。
「蛮勇かどうか、てめえ自身の身で試してみやがれ!」
あたしも負けじと相手をにらみ返す。幽世より召喚されたあたしの剣ーエクセリオンーに魔力を込めて魔法剣とする。
「図に乗るな、人間風情が」
「それはこっちのセリフだ、蟲けらが」
双方共に戦いの準備は整った。あとはーどちらかが倒れるまで戦うのみだ!
「行くよ」「行くぜ!」
そして、戦いの幕が切って落とされたー。
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