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ユグドラシルの双子の主・和泉奏多(第8話)
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ーー奏多視点ーー
僕は、あることに気が付いた。この文字を食う蟲の性質について、何らかの「魔力」が関係している可能性があるという点だ。
この蟲は、魔導書の類の文字は食っていない。それ以外の書物の文字だけを食っているようだ。おそらくだが、魔導書に書かれている文字とこの蟲が司る魔力において、何らかの相容れない作用が働いているのかもしれない。魔力を一切含まない文字だけを食うことからも、おそらく間違った推測ではないはずだ。
ただ、ここで一つ問題がある。一言に魔導書といっても、種類はかなり豊富だ。単に、この屋敷にあった魔導書だけが、この蟲と合わない性質のものばかりだったのか、それとも他に要因があるのか。
こればかりは、現状では判断するのは難しいだろう。とはいっても、この蟲を結界の中に閉じ込めておけるのも時間の問題だ。ならば、思いつく限りの手で対処するしかない。
とりあえず、可能性の一つとして考えられるのは、こいつは「魔力を帯びている文字は食わない。また、写真や絵の類にも一切手を出さず、狙うのはただの文字」ということだ。
もし、魔力を帯びている文字そのものを食えないのであれば、このように考えられる。
「魔力を帯びていない文字だけを取り込み、自身の魔力を送り込むことで自身の体と化して支配するタイプなのかな」
今更ながら、変わった性質の蟲である。こんな奴は初めてお目にかかった気がする。
「魔力を帯びていない文字・・・ですか?」
晶君が尋ねてくる。
「ああ、君の家の書籍の中で、唯一こいつに文字を食われていないのが魔導書の類だったんだ。だから、その可能性が高いかなと」
「そういえば・・・」
晶君もそのことに気が付いたようだ。
「だとすれば、魔力の競合の恐れがない文字だけしか食えないということになりますね」
おそらくそういうことだろう。多分、自身が取り込み、体の一部とするのに、魔導書のように、それ自体が魔力を帯びているものでは、それ自体がこいつの食事の障害となるのではないか。だから魔導書の文字は食べ残した・・・というわけだ。
少しずつではあるが、突破口は見えてきた気がする。こいつに対して有効な手立ては・・・。
「文字を攻撃して消し去るのではなく、逆に相手に競合する可能性のある魔力を送り込んで制御不能に追い込んでいく」
晶君は気が付いたらしい。
「こいつの文字「達」の制御を不可能にしてしまえば、あとは丸裸の「核」だけが残るはずだ。晶君、僕がしばらくの間こいつを引き付けておくから、屋敷にある魔導書を何冊かもってきてくれないか」
こうなれば話は早い。あとは、僕がいかにしてこいつを引き付けておくかということだけだ。とはいっても、結局は逃げ回るしかないが・・・それでもかすかな希望は見えてきた分、先ほどよりはるかにましだ。
「じゃあ、魔導書の方は頼んだよ」
「わかりました」
晶君が屋敷の方にかけていくのを確認した上で、僕は改めて蟲の方に向き直ったー
僕は、あることに気が付いた。この文字を食う蟲の性質について、何らかの「魔力」が関係している可能性があるという点だ。
この蟲は、魔導書の類の文字は食っていない。それ以外の書物の文字だけを食っているようだ。おそらくだが、魔導書に書かれている文字とこの蟲が司る魔力において、何らかの相容れない作用が働いているのかもしれない。魔力を一切含まない文字だけを食うことからも、おそらく間違った推測ではないはずだ。
ただ、ここで一つ問題がある。一言に魔導書といっても、種類はかなり豊富だ。単に、この屋敷にあった魔導書だけが、この蟲と合わない性質のものばかりだったのか、それとも他に要因があるのか。
こればかりは、現状では判断するのは難しいだろう。とはいっても、この蟲を結界の中に閉じ込めておけるのも時間の問題だ。ならば、思いつく限りの手で対処するしかない。
とりあえず、可能性の一つとして考えられるのは、こいつは「魔力を帯びている文字は食わない。また、写真や絵の類にも一切手を出さず、狙うのはただの文字」ということだ。
もし、魔力を帯びている文字そのものを食えないのであれば、このように考えられる。
「魔力を帯びていない文字だけを取り込み、自身の魔力を送り込むことで自身の体と化して支配するタイプなのかな」
今更ながら、変わった性質の蟲である。こんな奴は初めてお目にかかった気がする。
「魔力を帯びていない文字・・・ですか?」
晶君が尋ねてくる。
「ああ、君の家の書籍の中で、唯一こいつに文字を食われていないのが魔導書の類だったんだ。だから、その可能性が高いかなと」
「そういえば・・・」
晶君もそのことに気が付いたようだ。
「だとすれば、魔力の競合の恐れがない文字だけしか食えないということになりますね」
おそらくそういうことだろう。多分、自身が取り込み、体の一部とするのに、魔導書のように、それ自体が魔力を帯びているものでは、それ自体がこいつの食事の障害となるのではないか。だから魔導書の文字は食べ残した・・・というわけだ。
少しずつではあるが、突破口は見えてきた気がする。こいつに対して有効な手立ては・・・。
「文字を攻撃して消し去るのではなく、逆に相手に競合する可能性のある魔力を送り込んで制御不能に追い込んでいく」
晶君は気が付いたらしい。
「こいつの文字「達」の制御を不可能にしてしまえば、あとは丸裸の「核」だけが残るはずだ。晶君、僕がしばらくの間こいつを引き付けておくから、屋敷にある魔導書を何冊かもってきてくれないか」
こうなれば話は早い。あとは、僕がいかにしてこいつを引き付けておくかということだけだ。とはいっても、結局は逃げ回るしかないが・・・それでもかすかな希望は見えてきた分、先ほどよりはるかにましだ。
「じゃあ、魔導書の方は頼んだよ」
「わかりました」
晶君が屋敷の方にかけていくのを確認した上で、僕は改めて蟲の方に向き直ったー
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