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男子寮の女王様が卒業したら誰にも見向きもされなくなって執着攻めに囚われる話
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学生時代は夜毎皆で集まってはこの身体を貪っていった。
「好きだ」
「愛してる」
「世界で一番美しい」
賛美の言葉を浴び続けて受けも悪い気はせず、後ろでの愉悦を覚えてからは女王のように振る舞った。
男だけの特殊な環境は感覚をおかしくさせた。
短い交際を繰り返して、自分は選ぶ側だとずっと思っていた。
なのに、一歩外の世界に踏み出した途端、誰もこの足を舐めなくなった。
賛美を送らなくなった。
久しぶりに集まっても、皆が口にするのは女の話ばかり。
この身を貪ったことなどなかったかのように、どれほど自分の彼女が素晴らしいかを語り続け、誰も受けを見もしない。
夜の誘いも当然無い。
受けは自分がとても無価値なものに成り下がったような、侮辱を受けたような気持ちになった。
特殊な環境にいた間は言い寄るなどしたこともないのに、試しに熱心に自分に声をかけてきたヤツを誘ってみた。
なのに、鼻で嗤われた。
「学校出てまで男を相手にするなんておかしいだろ」
足元がガラガラと崩れ落ちるのを感じた。
どうして?
みんなあれほどオレを求めたのになんで?
女がいる環境では自分は無価値だと突きつけられ、家に籠もるようになった。
けれど、男を知った身体は疼いては受けを苦しめる。
また皆で集まろうと連絡があり、受けは断ったが「攻めが帰ってきたんだよ」と言われ、嫌々参加した。
攻めは自分を貪った一人ではあるが、いつも大人びた仕草でこちらに興味もないそぶりをするヤツだった。
付き合いで自分を抱いていると隠しもしなくて、嫌いだった。
けれどメチャクチャ巧くて、男から得られる悦びを最初に教えたのも彼に抱かれた時だったのを思い出す。
その事実に苛立って、文句を言うつもりで参加したが、はやり誰も受けを見ようとはせず、変わらず自分の彼女の話ばかりで気落ちする。
悔しくて情けなくて、帰ろうとした時、攻めが店に入ってきた。
「久しぶりだな」
言葉数の少ない攻めに今まで溜めてた気持ちがぶわっと湧きあがって、ギッと睨めつけて隣をすり抜けた。
本当は肩でもぶつけてやろうと思ったが頭一つ分違ってはそれもできない。
酷い態度を取ったのに、なぜか店を出た受けを追いかけてきた。
「どうした、何かあったのか?」
「お前にはカンケー……もういいっ!」
「そうは見えないが」
「うっせーんだよっ!」
どうせこいつも彼女の自慢をするんだろう、そう思ったら悔しくて悲しくて、勝手に涙が溢れ出た。
「ゆっくり話せるところに行こう」
連れて行かれたのは攻めの部屋だった。
「何があったんだ?」
目の前にアルコールの瓶を置かれ、受けは苛立ちのままそれを煽った。空になればすぐに次のが出される。
ペースも考えずに飲んだ受けは、心のたがが緩みポロポロと心の内を零しだしていた。
涙までポロポロと出てしまう。
「お前、女王様だったからな。オレからしたら高嶺の花だった」
「はっ、何言ってんだよ……オレになんか興味ないって顔してたくせに」
澄ました顔して終わったらさっさと部屋を出て行ったじゃないかと続けようとして、悔しくて口を噤む。
言ったらまるで自分が彼を欲してずっと見ていたようじゃないか。
「噛むな。傷になる」
「……大体お前が巧すぎたのがいけないんだ、オレ男じゃないと満足できなくなったんだぞ! お前サイテーッ!」
「オレが原因か……なら責任取らないとな」
ツンと胸を押され、アルコールが回った身体は簡単にラグの上に転がった。
当たり前のように攻めがのしかかってくる。
キスされ服を脱がされて、抵抗なんてできなかった。
久しぶりに与えられた愉悦が身体も脳も支配して、貪ることしかできず、長大なものが挿ってきたときは、一度も触れられなかった分身から白濁が飛び散った。
それでも感じることを止められず、攻めから与えられるすべてに悦び、何も出なくなっても感じ続けた。
「誰も見向きもしないか……ならオレだけのものだな」
奥を拓かれ嬌声を放つだけになっている受けの耳元に囁きかけられた。
「オレだけのものになれ、いいな。もうこの身体を誰にも抱かせるな。できるか、受け」
「あっあ!」
「……返事しないなら、これはお預けだな」
ずるりと長大なものを抜かれそうになって慌ててしがみ付いた。
「オレのものになるか? 返事は?」
「なる……なる!」
「オレ以外に抱かせるな、わかったか?」
「わかったから……あっ!」
復唱のように返事をして、快楽に飢えていた身体が満ちるほど抱かれた。
翌朝、目を覚ました受けは温かいものに包まれている安心感に熱源に頬を擦り付けた。
「起きたのか」
攻めの声を聞いてビクリと身体を跳ね上がらせる。
「なっなんでおまえここにいるんだよっ!」
「オレの家だからな」
見回せば知らない部屋だった。
どろりと身体の中から何かが零れる感触にまたビクリとなる。
「悪い、そのまま寝ちまったな。掻き出さないと腹を壊す……なんだ、まだ満足してなかったのか」
挿ってきた指をギュウギュウに締め付けたら勘違いされてまた抱かれた。
中のものを出す名目で風呂場で洗われ、また抱かれ。
もう自力で歩くこともできなくなった受けはそのまま泊まることになる。
だが次の朝、攻めの絶倫ぶりと満足している自分に腹を立てた受けは、眠っている攻めに何も告げず部屋を出た。
自宅に戻り、また籠もる。
しばらく抱かれなかった後の満ちる程の快楽が忘れられない。
何日経っても中が疼くし、夢では自分にのしかかり必死に腰を振る攻めの顔を思い出しては分身を膨らませて、朝大変なことになる。
やっぱりあいつは悪の権化だ。
自分をおかしくさせるために存在しているのかと恨みが肥大していく。
もう二度とあいつになんか会うものか!
決意し、引き籠もっていたのが嘘のように日常生活を送る。大学に通い家に帰るだけだが、卒業したらこの街を離れ、誰も知らないところでやり直そうと気力が湧いた。
ある日、いつものように講義を終え家に帰ろうとした時、痛いほどに腕を掴まれた。
攻めだ。
「なっ!なんでお前いるんだよ」
「ずっと捜していたからだ。なぜ勝手に帰った。連絡先ぐらい置いていってくれ」
「なんでだよ。離せって」
振り払おうにも力が強すぎてできない。
なによりも何事にも無関心な顔がデフォルトの攻めが必死な形相でこちらを見ていることに驚く。
「オレだけのものになったんだろ! 何勝手にフラフラしてるんだ」
「……なにそれ?変なことを言うな!」
「お前も誓ったじゃないか、これからはオレだけだって」
「んなこと言う分けねーだろっ!どこで言ったんだよ」
「ベッドの中!離れようとしたらしがみ付いてきて誓ったじゃないか」
「そっそんなの、知らない!」
拒否すればするだけ腕を掴む手の力が増す。
業を煮やした攻めがずるずると受けを引きずってまたしても自分の家に連れ帰り、あの日のことを思い出させるように抱き始めた。
「やめっ……やめろって……そこだめっ」
「こうして結腸突かれて悦んでるときに誓ったんだよ。ほらっ!」
「ひぃっ!やめろ……あっ」
「オレのものだよな」
散々愉悦を与えた後にまたしても引き抜こうとして、受けはあの日と同じようにしがみ付いてそれを拒み、「なるっなるから……奥っ!」
「こうか?」
「いくっ……あっ!」
なんて深夜になっても啼き続けては、翌朝ヒーヒー言いながら逃げて。
数度繰り返したあと、なぜか足に拘束具が着けられ逃げられなくなってしまった。
「なっなんだよこれ!」
「……お前ってさ、逃げるのは追いかけて欲しいからなんだろ。でもいちいち付き合ってらんねーから、オレのものだって自覚するまで閉じ込める」
「ちっ違う!」
「嘘つけ。いつだってたいした抵抗しないくせに。女王様はわがままで困る」
ちゅっと頬にキスして、形の良い耳殻を噛まれた。
「いたっ!」
「お前だけだ。女なんか目に入らないくらい、お前のことが好きなんだ」
「……何言ってんだよ、お前だってその内女が良いって言うんだ」
「なら、信じて貰えるまでここに閉じ込めてたっぷりと可愛がって信じて貰うしかないな」
「やめ……あっ」
組み敷かれ暴かれ、嫌だと口にしても受けは身体だけじゃなく心が満ちていくのを感じた。
同時に自分が本当は攻めの事を欲しがっていたのに気付く。
けれど、嫌いだ止めろと口にして相手の心を測ってしまうのだった。
おしまい
「好きだ」
「愛してる」
「世界で一番美しい」
賛美の言葉を浴び続けて受けも悪い気はせず、後ろでの愉悦を覚えてからは女王のように振る舞った。
男だけの特殊な環境は感覚をおかしくさせた。
短い交際を繰り返して、自分は選ぶ側だとずっと思っていた。
なのに、一歩外の世界に踏み出した途端、誰もこの足を舐めなくなった。
賛美を送らなくなった。
久しぶりに集まっても、皆が口にするのは女の話ばかり。
この身を貪ったことなどなかったかのように、どれほど自分の彼女が素晴らしいかを語り続け、誰も受けを見もしない。
夜の誘いも当然無い。
受けは自分がとても無価値なものに成り下がったような、侮辱を受けたような気持ちになった。
特殊な環境にいた間は言い寄るなどしたこともないのに、試しに熱心に自分に声をかけてきたヤツを誘ってみた。
なのに、鼻で嗤われた。
「学校出てまで男を相手にするなんておかしいだろ」
足元がガラガラと崩れ落ちるのを感じた。
どうして?
みんなあれほどオレを求めたのになんで?
女がいる環境では自分は無価値だと突きつけられ、家に籠もるようになった。
けれど、男を知った身体は疼いては受けを苦しめる。
また皆で集まろうと連絡があり、受けは断ったが「攻めが帰ってきたんだよ」と言われ、嫌々参加した。
攻めは自分を貪った一人ではあるが、いつも大人びた仕草でこちらに興味もないそぶりをするヤツだった。
付き合いで自分を抱いていると隠しもしなくて、嫌いだった。
けれどメチャクチャ巧くて、男から得られる悦びを最初に教えたのも彼に抱かれた時だったのを思い出す。
その事実に苛立って、文句を言うつもりで参加したが、はやり誰も受けを見ようとはせず、変わらず自分の彼女の話ばかりで気落ちする。
悔しくて情けなくて、帰ろうとした時、攻めが店に入ってきた。
「久しぶりだな」
言葉数の少ない攻めに今まで溜めてた気持ちがぶわっと湧きあがって、ギッと睨めつけて隣をすり抜けた。
本当は肩でもぶつけてやろうと思ったが頭一つ分違ってはそれもできない。
酷い態度を取ったのに、なぜか店を出た受けを追いかけてきた。
「どうした、何かあったのか?」
「お前にはカンケー……もういいっ!」
「そうは見えないが」
「うっせーんだよっ!」
どうせこいつも彼女の自慢をするんだろう、そう思ったら悔しくて悲しくて、勝手に涙が溢れ出た。
「ゆっくり話せるところに行こう」
連れて行かれたのは攻めの部屋だった。
「何があったんだ?」
目の前にアルコールの瓶を置かれ、受けは苛立ちのままそれを煽った。空になればすぐに次のが出される。
ペースも考えずに飲んだ受けは、心のたがが緩みポロポロと心の内を零しだしていた。
涙までポロポロと出てしまう。
「お前、女王様だったからな。オレからしたら高嶺の花だった」
「はっ、何言ってんだよ……オレになんか興味ないって顔してたくせに」
澄ました顔して終わったらさっさと部屋を出て行ったじゃないかと続けようとして、悔しくて口を噤む。
言ったらまるで自分が彼を欲してずっと見ていたようじゃないか。
「噛むな。傷になる」
「……大体お前が巧すぎたのがいけないんだ、オレ男じゃないと満足できなくなったんだぞ! お前サイテーッ!」
「オレが原因か……なら責任取らないとな」
ツンと胸を押され、アルコールが回った身体は簡単にラグの上に転がった。
当たり前のように攻めがのしかかってくる。
キスされ服を脱がされて、抵抗なんてできなかった。
久しぶりに与えられた愉悦が身体も脳も支配して、貪ることしかできず、長大なものが挿ってきたときは、一度も触れられなかった分身から白濁が飛び散った。
それでも感じることを止められず、攻めから与えられるすべてに悦び、何も出なくなっても感じ続けた。
「誰も見向きもしないか……ならオレだけのものだな」
奥を拓かれ嬌声を放つだけになっている受けの耳元に囁きかけられた。
「オレだけのものになれ、いいな。もうこの身体を誰にも抱かせるな。できるか、受け」
「あっあ!」
「……返事しないなら、これはお預けだな」
ずるりと長大なものを抜かれそうになって慌ててしがみ付いた。
「オレのものになるか? 返事は?」
「なる……なる!」
「オレ以外に抱かせるな、わかったか?」
「わかったから……あっ!」
復唱のように返事をして、快楽に飢えていた身体が満ちるほど抱かれた。
翌朝、目を覚ました受けは温かいものに包まれている安心感に熱源に頬を擦り付けた。
「起きたのか」
攻めの声を聞いてビクリと身体を跳ね上がらせる。
「なっなんでおまえここにいるんだよっ!」
「オレの家だからな」
見回せば知らない部屋だった。
どろりと身体の中から何かが零れる感触にまたビクリとなる。
「悪い、そのまま寝ちまったな。掻き出さないと腹を壊す……なんだ、まだ満足してなかったのか」
挿ってきた指をギュウギュウに締め付けたら勘違いされてまた抱かれた。
中のものを出す名目で風呂場で洗われ、また抱かれ。
もう自力で歩くこともできなくなった受けはそのまま泊まることになる。
だが次の朝、攻めの絶倫ぶりと満足している自分に腹を立てた受けは、眠っている攻めに何も告げず部屋を出た。
自宅に戻り、また籠もる。
しばらく抱かれなかった後の満ちる程の快楽が忘れられない。
何日経っても中が疼くし、夢では自分にのしかかり必死に腰を振る攻めの顔を思い出しては分身を膨らませて、朝大変なことになる。
やっぱりあいつは悪の権化だ。
自分をおかしくさせるために存在しているのかと恨みが肥大していく。
もう二度とあいつになんか会うものか!
決意し、引き籠もっていたのが嘘のように日常生活を送る。大学に通い家に帰るだけだが、卒業したらこの街を離れ、誰も知らないところでやり直そうと気力が湧いた。
ある日、いつものように講義を終え家に帰ろうとした時、痛いほどに腕を掴まれた。
攻めだ。
「なっ!なんでお前いるんだよ」
「ずっと捜していたからだ。なぜ勝手に帰った。連絡先ぐらい置いていってくれ」
「なんでだよ。離せって」
振り払おうにも力が強すぎてできない。
なによりも何事にも無関心な顔がデフォルトの攻めが必死な形相でこちらを見ていることに驚く。
「オレだけのものになったんだろ! 何勝手にフラフラしてるんだ」
「……なにそれ?変なことを言うな!」
「お前も誓ったじゃないか、これからはオレだけだって」
「んなこと言う分けねーだろっ!どこで言ったんだよ」
「ベッドの中!離れようとしたらしがみ付いてきて誓ったじゃないか」
「そっそんなの、知らない!」
拒否すればするだけ腕を掴む手の力が増す。
業を煮やした攻めがずるずると受けを引きずってまたしても自分の家に連れ帰り、あの日のことを思い出させるように抱き始めた。
「やめっ……やめろって……そこだめっ」
「こうして結腸突かれて悦んでるときに誓ったんだよ。ほらっ!」
「ひぃっ!やめろ……あっ」
「オレのものだよな」
散々愉悦を与えた後にまたしても引き抜こうとして、受けはあの日と同じようにしがみ付いてそれを拒み、「なるっなるから……奥っ!」
「こうか?」
「いくっ……あっ!」
なんて深夜になっても啼き続けては、翌朝ヒーヒー言いながら逃げて。
数度繰り返したあと、なぜか足に拘束具が着けられ逃げられなくなってしまった。
「なっなんだよこれ!」
「……お前ってさ、逃げるのは追いかけて欲しいからなんだろ。でもいちいち付き合ってらんねーから、オレのものだって自覚するまで閉じ込める」
「ちっ違う!」
「嘘つけ。いつだってたいした抵抗しないくせに。女王様はわがままで困る」
ちゅっと頬にキスして、形の良い耳殻を噛まれた。
「いたっ!」
「お前だけだ。女なんか目に入らないくらい、お前のことが好きなんだ」
「……何言ってんだよ、お前だってその内女が良いって言うんだ」
「なら、信じて貰えるまでここに閉じ込めてたっぷりと可愛がって信じて貰うしかないな」
「やめ……あっ」
組み敷かれ暴かれ、嫌だと口にしても受けは身体だけじゃなく心が満ちていくのを感じた。
同時に自分が本当は攻めの事を欲しがっていたのに気付く。
けれど、嫌いだ止めろと口にして相手の心を測ってしまうのだった。
おしまい
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