ツイノベ置き場

椎名サクラ

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【お題】「しば……いぬ?」

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「しば……いぬ……?」

「そう、柴犬」

のしかかってくる男が嬉しそうに話す。

「君は似ているね。気まぐれでちっとも構ってくれないのに、こちらが見ていないときにじっと見つめてくるところ。なのに目を合わせた途端に怒り出すんだ」

クスクスと笑いながら服に手を伸ばされた。ボタンを一つ一つ丁寧に外されては、恥ずかしさが募り顔を背けてしまう。

「今の仕草もそっくりだ」

「違う……べつにそういうんじゃ……」

「そうかな?今から君の身体にいやらしいことをしようとしているのに、興味のないフリをして受け入れて、後で怒るんだ」

その通りで、唇を噛んで顔を背けた。

本当は、嬉しい。同時に、恥ずかしい。二つが綯い交ぜになって行き場を失って、怒りで隠す。貴方が好きだと叫びたい気持ちを。

カリッと唇を噛んで視線彷徨わせた。

彼の部屋の調度はもう嫌と言うほど見て覚えてしまうほど、こんな風に視線を逸らしてはこの身を任せる。貪るだけ愉悦を貪って、愛されているんだと何度もその熱を確かめて、だが突然やってくる羞恥心に襲われて思ってもいないことを口走ってしまうんだ。毎回、毎回。

そんな自分が恥ずかしくてまた、視線を彷徨わせた。

「ふっ、君のそういう所が可愛くて、どんどんのめり込んでしまうんだ」

「……物好き」

「そうだね。おかしいのはわかっているよ、でも君を手放せないんだ」

「あっ」

「猫みたいに冷たい態度を取るのに、尻尾だけは好きだ好きだと思い切り振ってくれるんだ。一度でも知ってしまったら溺れずにはいられない」

気持ちいいことを繰り返され、自然と腰が揺れてしまう。そう、淫らに、彼にだけ。肌に何度も唇が落とされ刻印が刻まれる。彼の物だと、彼だけの物だと。

この瞬間が好きだと言えば、もう飽きて捨てられてしまうだろうか。

それが怖くて本音を口に出すことができず、ただ身体だけで彼への愛情を訴えた。
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