ツイノベ置き場

椎名サクラ

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【リクエスト】RPGの世界に転生した受けの話

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RPGゲームの世界に転生した受け。

ずっと推しだった主人公が目の前にいるのに大興奮だが、自分の立ち位置が裏切る親友ポジ。

やばい、死亡フラグしか立っていない。

受けは必死にフラグ回避のためにパーティに参加しないようにしたり、主人公と白魔道士のお姫様の時間を邪魔しないようにした。

だがとにかく主人公が格好いい。

バトルの間に庇ってくれたり、なかなかレベルが上がらなくて落ち込んでいるときに励ましてくれたり。

旅の途中もずっと隣にいて様々な未来図を語ってくれる。

「この旅が終わったら二人で遠いところに行こう」なんて夢のある未来に受けの心も浮き立ってくる。

「そうだな、早くあいつらを倒して行こうか」

そんな未来はないとわかっている。

この旅で主人公はお姫様と恋に落ち、二人で新しい世界を統べるために王国を立ち上げるムービーで終わるのだから。

希望くらいは持ってもいいよなとこっそりと呟き、自分が男なのに主人公に惹かれていくのを自覚する。

好きな気持ちはドンドンと大きくなり、お姫様と主人公が一緒にいるのを見るのが辛くなる。

そろそろストーリーも中盤、主人公とお姫様が恋に落ちるタイミングで受けのキャラが敵に捕まる。

仕方ない、フラグ回避できなかったんだからと諦めて大人しく捕まれば、ゲームのストーリー上では明かされなかった時間、受けは敵の幹部に弄ばれてしまう。

嫌なのに魔法で体を拘束され無理矢理の行為に心が毀れていく。

自分は主人公が好きだったんだと自覚すればするだけ、ボロボロになっていった。

こんな自分ではもう元の関係に戻れない。

快楽だけを植え付けられ、代わる代わる犯しに来る男たちの手に、苦しみながら悶えていった。

恭順に身体を差し出すようになると、受けはまたパーティに戻された。

内偵として。

自分の気持ちを自覚しているから、ひたすら苦しかった。

主人公のために自分は不要だと思うようになった。

なるべく彼を苦しめたくなくて、話しかけてきても素っ気ない反応しか返せない。

きっともう主人公とお姫様は恋仲で、二人は世界のために固く心を通わせているに違いない。

夜、一人の寝台でこっそり泣いた。

同時に疼く身体を持て余して悶えた。

ついに来た最終決戦。

受けの仕事はラスボスとの戦いで主人公たちを後ろから攻撃することだ。

このラスボスは捕まっている間、一番多く、そして乱暴に受けを犯した存在だ。

怖くて逆らうことができない。

逆らったらどうなるか、捕まっている間に嫌と言うほど教え込まれた身体は、嫌だと思うのにニヤリと嗤う顔を目にすれば竦んでしまう。

(ああそうだ、俺がいなくなればいいんだ)

誰も傷つけたくなかった、特に好きになった主人公を。

受けは剣を自分に向けて突き刺した。

だがそれを止めたのは戦っている最中の主人公とラスボスだった。

「何をしている!」

「何をしようとしたんだ、受け!」

二人が同時に声を荒げた。

今まであんなに死闘を繰り返していたのに、自分など見ている暇はないはずなのになぜと驚き、剣が手を離れた。

カランと落ちる音が妙に大きくて、立っていられず座り込んだ。

「貴様、受けに何をしたんだ!」

主人公が怒鳴り上げ、「お前こそ我の物に何をした!」と怒鳴りつけた。

なぜこの場面で口げんか始めるんだよ……と思っても、受けは何もできないで見守るしかなかった。

そのうち一騎打ちになり、しかもルール決めなんかしてきちんと決闘方式になる。

おかしいだろそれ……ストーリー的には仲間を苦しめると間に覚醒した受けが、ラスボスの急所を狙おうとして殺されるんだ。

ラスボスの急所を見つけた事によって戦いが優位になり勝利する流れのはずなのに、なぜという気持ちがずっと残る。

決闘に勝った方が受けを所有するとかわけの分からないルールになってるし、誰も突っ込まないしで受けは困惑したまま成り行きを見守るしかなかった。

他のメンバーも呆れ顔で二人のやりとりを眺めている。

どういうことだ?

勝ったのは主人公で、負けたラスボスは打ち拉がれていた。

「勝利のキスをくれ、受けよ!」

それ、普通は女性に求めることだろうと言いたかったが、主人公は受けを抱き上げると容赦なくキスをしてきた。

「なんだそれは!」

ラスボスが吠えるが、キスに夢中になってる二人は返答できない。

代わりに説明をしたのは、頭脳明晰な黒魔道士だった。

「これはですね、愛を確かめ合う行為の一つでして……」

懇切丁寧に説明し、なぜかラスボスはうむうむと頷きながら説明を聞いている。

「まあそんなわけで負けた貴方は封印させていただきますね」

黒魔道士はこの機会を逃さずラスボスを魔法で縛り上げると、地獄の沼と呼ばれるマグマの中に縛り付けた。

簡単には解けない魔法をかけ、蓋をするように大岩を落として出られなくさせた。

当然本ストーリーとは大きく異なっている。

全てが終わってもまだ主人公はキスを止めてはくれない。

しかもかなりのディープなヤツでキス処女(転生前は見事な魔法使い)の受けはドロドロに溶かされている。

「戦いも終わったし、約束通り二人で遠くへ行こう」

主人公は受けを抱き上げると、パーティの面々に手を振った、見ればお姫様の腰を抱いているのは途中から仲間に加わった武闘家だった。

うそん、なんで? えっ、これどういうシチュエーション?

しかも自分、お姫様抱っこされてるのにどうして誰も突っ込まないの?

疑問符たっぷりな受けをよそに、主人公は歩き続ける。

この旅で世界中を回った主人公が一番気に入った緑豊かな土地に瞬間移動すると、小さな一軒家へと入っていった。

「お前が戻ってきてから苦しんでいるのは知っていた。助けてやれなくてすまない」

鎧を脱いだ主人公はまた受けをキスで解かすと、当たり前のように抱いてきた。

敵に嫌と言うほど慣らされた身体はすぐにドロドロに溶けてしまう。

合間にたくさんキスして、たくさん「好き」だと言って貰った受けは嬉しくて「自分もずっと好きだった」と告白した。

平和になった世界で、二人は小さな畑を耕しのんびりと暮らしている。

魔法も剣も使える二人には農耕作業は簡単で、たっぷりとできた余暇に主人公はひたすら受けを甘やかす。

人目を憚らず抱きしめてくるし、キスもしてくる。

受けはそれがちょっと恥ずかしくて止めろと言うが、ちっとも主人公には届かない。

「あの時、傍を離れなければ良かった」

主人公は何度も後悔し告げてくる。

「そうすればお前の初めては全部私だっただろう」

そう言われると拒むことができず、全てを受け入れてしまうのは惚れた弱み。

主人公もわかっていて口にするのだが、脳みそまでドロドロに溶けるほど愛されてしまった受けは気付かず。

今夜も夕食が終わればきっとベッドでたっぷりと可愛がられるんだと想像して、顔を真っ赤にするのだった。


おしまい
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