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愛されたがりなビッチ受けの話
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受けはピッチだった。
彼氏ができても三ヶ月と続かない。
その日も彼氏と別れたからと、行きつけのゲイバーにやってきた。
「彼氏に怪我させられたとかウケる。マッチングですぐに付き合うからそーなるんだよ」
翌顔を合わせるメンバーに笑われて、悲しんでるのに無理に笑顔を作る。
「じゃあ行こうか」とホテルに連れて行かれ複数で相手をさせられる。
嫌なのに嫌と言えない受け。
ビッチではあるが、心から愛してくれる人を求めていた。
すぐに身体を許すのは、相手に全部を差し出したいだけなのに、誰も理解してくれない。
ボロボロの心と身体を引きずって、腰怠げに始発の電車に乗る。
愛されたいのに身体の関係だけか疑われるかの繰り返しに疲弊していた。
一人でいるのが淋しくてついつい相手を求めてマッチングアプリを開いてしまう。
写真を載せているのですぐに相手は見つかるが、長続きしない現状を打破しようと普段のビッチな部分を隠して会う。
攻めは会社員の硬そうな男だった。
元彼と似た雰囲気に一瞬怯む、前回も真面目そうだから長続きするだろうと付き合ったのに刃傷沙汰に発展してしまった。
今回は止めようかと思ったが攻めが食事に誘ってくる。
一回くらいは……とずるずるとホテルまで行ってしまう。
また身体だけの関係になるのかなとやってしまうが、めちゃくちゃ巧い!
今までにないくらい感じてしまい、朝になっても起き上がれない。
「大丈夫?ごめんな、無理させちゃって」
攻めが甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。立てない受けに肩を貸し、ホテルの前からタクシーでマンションまで送り届けてくれた。
今回きりなのがもったいないなと頭を過るのに、入ったのは受けの隣の部屋。
あれ、あれれ?
そう、攻めはお隣さんだった。
甲斐甲斐しい攻めはベッドに寝かしつけてくれ、水を持ってきてくれたりご飯を用意してくれたり。
「好きになってしまった、付き合ってくれ」
正座で告白され、何も考えず頷く。
付き合いが始まると本当に甲斐甲斐しかった。
仕事から帰ってくると食事に誘ってくれ、それが手料理で美味しくて、受けは身体と胃袋を掴まれてしまう。
攻めと一緒にいるのが心地よくて、このまま続けばいいなといつものように求められたら応えてしまう。
けれどどこかで「どうせ今回もダメだろう」と思っていた。
もって三ヶ月だろうなと勝手に思い、別れたら引っ越さないとと賃貸情報サイトを眺めてしまう。
なるべく好きにならないようにと思うのに、甘やかされ好き好き言ってくる攻めにどんどんとのめり込んでしまう。
あっという間に三ヶ月が経ち、そろそろ時期かなと思っても、相変わらず「受けは美人で自慢の恋人」とか甘い言葉を並べてはたくさん愛してくる。
この人なら大丈夫かな?本当に好きになってくれるかな?と警戒していた心が緩んでしまいそうになる。
別れてもすぐに引っ越せるように準備だけはしっかりとする受け。
その相談をバーの知り合いと電話でしていると攻めが部屋へとやってきた。
「引っ越しって聞こえたけど?」
「あ……」
怒った攻めの顔に「やっぱり三ヶ月以上は持たないんだな」と諦めモードの受け。
理由を聞かれて素直に話してしまう。
「三ヶ月以上持たないの、知ってる。好きって言われたら誰にでも足開くのも」
笑顔でそう言って攻めは受けの両腕を縛った。
「でも安心してくれ、放すつもりはないから」
ニッコリ笑って攻めは受けをベッドに繋いだ。
「本当、受けは男を見る目がないな。俺が諦められるレベルの男と付き合わないんだもんな」
攻めは受けのストーカーだった。
彼が付き合う男を片っ端から調査して、少しでも気に入らなかったら別れさせてきたのだ。
隣に住んだのも偶然ではなく、ずっと空くのを待っていた。
引っ越ししてからマッチングアプリを使って接触したのだった。
「もう不安にならなくていいように、縛り付けるよ」
受けは怯えたが、縛られたまま抱かれてめちゃくちゃ興奮した。
ペットのように部屋に閉じ込められ一歩も出ないまま、世界が攻めを中心に回っていく。
嫌なはずなのに自由を奪われてしまった受けの心は安らいでいた。
仕事以外はずっと受けの傍にいて、ずっと見てくれているのが嬉しかった。
狂ったような愛を向けられているのに、陶酔する。
自分の全てを捧げているのに、いつも中途半端な愛情しか返されないことに不安を感じていた受けは、それ以上の愛情を受けて喜んでしまう。
攻めも逃げずにずっといてくれる受けにもっともっと愛情を注ぐのだった。
おしまい
彼氏ができても三ヶ月と続かない。
その日も彼氏と別れたからと、行きつけのゲイバーにやってきた。
「彼氏に怪我させられたとかウケる。マッチングですぐに付き合うからそーなるんだよ」
翌顔を合わせるメンバーに笑われて、悲しんでるのに無理に笑顔を作る。
「じゃあ行こうか」とホテルに連れて行かれ複数で相手をさせられる。
嫌なのに嫌と言えない受け。
ビッチではあるが、心から愛してくれる人を求めていた。
すぐに身体を許すのは、相手に全部を差し出したいだけなのに、誰も理解してくれない。
ボロボロの心と身体を引きずって、腰怠げに始発の電車に乗る。
愛されたいのに身体の関係だけか疑われるかの繰り返しに疲弊していた。
一人でいるのが淋しくてついつい相手を求めてマッチングアプリを開いてしまう。
写真を載せているのですぐに相手は見つかるが、長続きしない現状を打破しようと普段のビッチな部分を隠して会う。
攻めは会社員の硬そうな男だった。
元彼と似た雰囲気に一瞬怯む、前回も真面目そうだから長続きするだろうと付き合ったのに刃傷沙汰に発展してしまった。
今回は止めようかと思ったが攻めが食事に誘ってくる。
一回くらいは……とずるずるとホテルまで行ってしまう。
また身体だけの関係になるのかなとやってしまうが、めちゃくちゃ巧い!
今までにないくらい感じてしまい、朝になっても起き上がれない。
「大丈夫?ごめんな、無理させちゃって」
攻めが甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。立てない受けに肩を貸し、ホテルの前からタクシーでマンションまで送り届けてくれた。
今回きりなのがもったいないなと頭を過るのに、入ったのは受けの隣の部屋。
あれ、あれれ?
そう、攻めはお隣さんだった。
甲斐甲斐しい攻めはベッドに寝かしつけてくれ、水を持ってきてくれたりご飯を用意してくれたり。
「好きになってしまった、付き合ってくれ」
正座で告白され、何も考えず頷く。
付き合いが始まると本当に甲斐甲斐しかった。
仕事から帰ってくると食事に誘ってくれ、それが手料理で美味しくて、受けは身体と胃袋を掴まれてしまう。
攻めと一緒にいるのが心地よくて、このまま続けばいいなといつものように求められたら応えてしまう。
けれどどこかで「どうせ今回もダメだろう」と思っていた。
もって三ヶ月だろうなと勝手に思い、別れたら引っ越さないとと賃貸情報サイトを眺めてしまう。
なるべく好きにならないようにと思うのに、甘やかされ好き好き言ってくる攻めにどんどんとのめり込んでしまう。
あっという間に三ヶ月が経ち、そろそろ時期かなと思っても、相変わらず「受けは美人で自慢の恋人」とか甘い言葉を並べてはたくさん愛してくる。
この人なら大丈夫かな?本当に好きになってくれるかな?と警戒していた心が緩んでしまいそうになる。
別れてもすぐに引っ越せるように準備だけはしっかりとする受け。
その相談をバーの知り合いと電話でしていると攻めが部屋へとやってきた。
「引っ越しって聞こえたけど?」
「あ……」
怒った攻めの顔に「やっぱり三ヶ月以上は持たないんだな」と諦めモードの受け。
理由を聞かれて素直に話してしまう。
「三ヶ月以上持たないの、知ってる。好きって言われたら誰にでも足開くのも」
笑顔でそう言って攻めは受けの両腕を縛った。
「でも安心してくれ、放すつもりはないから」
ニッコリ笑って攻めは受けをベッドに繋いだ。
「本当、受けは男を見る目がないな。俺が諦められるレベルの男と付き合わないんだもんな」
攻めは受けのストーカーだった。
彼が付き合う男を片っ端から調査して、少しでも気に入らなかったら別れさせてきたのだ。
隣に住んだのも偶然ではなく、ずっと空くのを待っていた。
引っ越ししてからマッチングアプリを使って接触したのだった。
「もう不安にならなくていいように、縛り付けるよ」
受けは怯えたが、縛られたまま抱かれてめちゃくちゃ興奮した。
ペットのように部屋に閉じ込められ一歩も出ないまま、世界が攻めを中心に回っていく。
嫌なはずなのに自由を奪われてしまった受けの心は安らいでいた。
仕事以外はずっと受けの傍にいて、ずっと見てくれているのが嬉しかった。
狂ったような愛を向けられているのに、陶酔する。
自分の全てを捧げているのに、いつも中途半端な愛情しか返されないことに不安を感じていた受けは、それ以上の愛情を受けて喜んでしまう。
攻めも逃げずにずっといてくれる受けにもっともっと愛情を注ぐのだった。
おしまい
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