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獣の王の花嫁になった受けの話(副題:チャウチャウは可愛い)
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受けは伯爵家の四男だが虐げられていた。
双子の妹は蝶よ花よで育てられたが、双子は縁起が悪く一人間引くのが当たり前で、受けは使用人の子にされた。
兄弟たちが何不自由なく過ごしている中、使用人として働いていた。
伯爵は使用人に厳しく家族甘いので、使用人たちの鬱憤はすべて受けにぶつけられた。
仕事を押し付けられ、失敗すれば殴られ飯抜きにされる毎日だった。
ある日、王の使者が屋敷にやってきた、妹が地の王の花嫁に決まったと告げに。
妹は大泣きで嫁ぎたくないと騒ぎ、次の日には出奔した。
王命に逆らえば反逆罪で一家は断頭台に立たされる。
伯爵は妹にそっくりな受けにすぐさま花嫁衣装を着せ王に差し出した。
受けはすぐに地の王の下に嫁いだ。
だが地の王とは獣の王を指し、花嫁と聞こえはいいが実際には生け贄だった。
受けは森の奥に置き去りにされる。
運のなかった受け、しくしく泣いてると声をかけられた。
森の奥だというのにイケメン(攻め)がそこにいた。
事情を説明して「もうすぐ獣が僕を食べに来ます。一緒にいたらあなたも巻き込まれるので逃げてください」と伝えたが、攻めは可哀想なものを見る目で見つめてくる。
けれど受けはそんな目に慣れていた。
伯爵の子なのに使用人にされたことは、屋敷に出入りしてる商人たちの誰もが知っている。
みんなこんな目で受けを見ていた。
「俺と来い」
受けを引きずって攻めはもっと森の奥へと入る。
そこには存在してることが不思議なくらい立派な屋敷があった。
攻めの屋敷だった、使用人はおらず薄暗い外に反して屋敷の中は明るかった。
不思議に思っていると食事も何もかも勝手に出てくる。
絵本の中の世界のようで受けは驚いた。
攻めはきっと高尚な魔法使いなんだろうと納得した。
誰もいない屋敷はとても心地よかった。
攻めは珍しい話をたくさん教えてくれ、あるものを受けに渡した。
「これを持っていればどこにいても獣はお前を襲いはしない」
疑う余地はなかった。
森を散策して獣に出会っても、皆が綺麗におすわりして受けが通り過ぎるのを待つのだ。
小動物は貢ぐように受けの足元に木の実を置いていく。
不思議な光景であった。
森の生活が好きになり、煩わしい街の生活のことはすっかり忘れてしまった。
ただ月に一度、満月の夜だけは決して部屋から出てはいけないと強く言われた。
恐ろしいことが起きるからと。
忠実に攻めとの約束を守った。
半年が経った。
その日はひどく蒸し暑く眠れなかった。
のどが渇いたので少しだったらいいかと水を汲みに部屋を出た。
台所で樽から水を掬い飲んでいるとどこかから苦しげな呻き声が聞こえてきた。
攻めが苦しんでいるのではと慌ててからの部屋に入っていった。
カーテンの引いていない部屋は月光が差し込み、攻めは苦しそうに喉元を引っ掻いていた。
助けようと思ったが、だんだんと彼の姿が変わっていった。
「見たな、なぜ大人しく部屋にいなかった‼️」
獣に姿を変えた攻めは怒鳴ったが受けは動けなかった。
苛立ちに攻めが受けを襲いかかった。
巨体に押し倒されても受けはぽかんとしている。
「恐ろしくはないのか!お前を食い殺すかもしれないんだぞ、なぜ逃げない!」
いや、無理だろうと受けは思った。
自分を押し倒してるのは長い毛にくしゃくしゃの顔をしたチャウチャウなのだから。
つぶらな瞳がくしゃっとした顔に埋もれてて愛嬌しかない。
押し倒されてるのに、受けは「可愛い」と呟いた。
遠慮なく獣と化した攻めをわしゃわしゃしまくった。
あんまりに嬉しそうに撫で回されて、本能で攻めもアフアフとお腹を出してしまう。
「違うちがーう!」
慌てて現状を伝えようとしても、気持ちいいところをもふもふされて、あふんとなってしまう。
「攻めはこんな可愛い犬に変身するんだ」
森では誰もが恐れる王だというのに飼い慣らされた犬のようになってしまった攻めはびっくりしてしまう。
「お前たちが恐れてる地の王とは私のことだ、怖いだろ」
「怖くないです、可愛いな可愛いな」
また気持ちいいところをわっしゃわしゃされ気持ちよくなってしまう。
受けに怖がられることを最も恐れてた攻めだったが、ありのまま受け入れられ受けのことをもっとすきになる。
だがさすがに雄同士だしと悩み始める。
そんな攻めの気持ちも知らずに受けは森で小動物と遊びに、攻めと仲睦まじくし、伸び伸びとしたスローライフを満喫。
だがそんな受けを見つけたのはたまたま森に入った木こり。
不思議な子がいると自分の村に帰り話すと、噂は瞬く間に王とまで届いた。
花嫁が生きてるとは何事だー‼️と王様激怒。
すぐに父伯爵が呼び出されるが、父伯爵にもわかるはずがなく。
きっと魔女に違いないと貴族会で噂されるようになった。
これには父伯爵ピンチ。
魔女を出した一家という汚名は避けたくて、討伐軍より先に受けを見つけようと森の中を一家総出で探し回った。
獣に襲われる息子たち、虫に刺される妻、どんどんと脱落していく中、父伯爵はついに森の奥の屋敷に辿り着いた。
そこには攻めと一緒に花を育ててる受けの姿があった。
父伯爵激怒。
「お前がおとなしく死なないから我が家は汚名を着せられたのだぞ‼️」
持っていた銃で受けを殺そうとしたが、それよりも早く攻めに腕を切り落とされてしまった。
悲鳴に森に入った討伐軍が集まってくる。
受けと攻めを見つけて「魔女を見つけたぞ」と殺そうとしたが、攻めの魔法で鉄砲玉は跳ね返り、剣も折れていく。
「お前たちが地の王である我に捧げた花嫁ではないか。誰の許し得て奪おうとしているのだ!」
おどろおどろしい声に討伐軍は慌てて引き返し腕を失った父伯爵も逃げていった。
受けは助けてもらったお礼とともに頭下げた。
「ごめんなさい、花嫁と言いながら男なんです。本当にごめんなさい」
「知っている、お前が男などはじめから。だがお前が嫌でなければ花嫁になってくれ……好きなんだ」
攻めの告白にびっくりするが、自分のすべてを受け入れた攻めのことを受けます気になっていた。
顔を真っ赤にして「両思いですね」と返すと、今まで我慢していた攻めに速攻ベッドに連れて行かれて全身嘗め回されて気持ちよくなって、大きすぎるものを受け入れてアンアン啼いてしまう。
その間に屋敷の周りの汚物は王の配下の獣たちによって片付けられるのだが受けが部屋から出てこられたのはそれから一週間も過ぎた後だったので知るよしもない。
それから受けは地の王である攻めとのんびりスローライフを送っては、月に一度のもふもふを堪能し、ほかの日は自分がアンアン言わされるが幸せな日々を過ごすのだった。
なお、討伐軍を派遣した王様は死ぬ直前までガクブルしてましたとさ。
おしまい
双子の妹は蝶よ花よで育てられたが、双子は縁起が悪く一人間引くのが当たり前で、受けは使用人の子にされた。
兄弟たちが何不自由なく過ごしている中、使用人として働いていた。
伯爵は使用人に厳しく家族甘いので、使用人たちの鬱憤はすべて受けにぶつけられた。
仕事を押し付けられ、失敗すれば殴られ飯抜きにされる毎日だった。
ある日、王の使者が屋敷にやってきた、妹が地の王の花嫁に決まったと告げに。
妹は大泣きで嫁ぎたくないと騒ぎ、次の日には出奔した。
王命に逆らえば反逆罪で一家は断頭台に立たされる。
伯爵は妹にそっくりな受けにすぐさま花嫁衣装を着せ王に差し出した。
受けはすぐに地の王の下に嫁いだ。
だが地の王とは獣の王を指し、花嫁と聞こえはいいが実際には生け贄だった。
受けは森の奥に置き去りにされる。
運のなかった受け、しくしく泣いてると声をかけられた。
森の奥だというのにイケメン(攻め)がそこにいた。
事情を説明して「もうすぐ獣が僕を食べに来ます。一緒にいたらあなたも巻き込まれるので逃げてください」と伝えたが、攻めは可哀想なものを見る目で見つめてくる。
けれど受けはそんな目に慣れていた。
伯爵の子なのに使用人にされたことは、屋敷に出入りしてる商人たちの誰もが知っている。
みんなこんな目で受けを見ていた。
「俺と来い」
受けを引きずって攻めはもっと森の奥へと入る。
そこには存在してることが不思議なくらい立派な屋敷があった。
攻めの屋敷だった、使用人はおらず薄暗い外に反して屋敷の中は明るかった。
不思議に思っていると食事も何もかも勝手に出てくる。
絵本の中の世界のようで受けは驚いた。
攻めはきっと高尚な魔法使いなんだろうと納得した。
誰もいない屋敷はとても心地よかった。
攻めは珍しい話をたくさん教えてくれ、あるものを受けに渡した。
「これを持っていればどこにいても獣はお前を襲いはしない」
疑う余地はなかった。
森を散策して獣に出会っても、皆が綺麗におすわりして受けが通り過ぎるのを待つのだ。
小動物は貢ぐように受けの足元に木の実を置いていく。
不思議な光景であった。
森の生活が好きになり、煩わしい街の生活のことはすっかり忘れてしまった。
ただ月に一度、満月の夜だけは決して部屋から出てはいけないと強く言われた。
恐ろしいことが起きるからと。
忠実に攻めとの約束を守った。
半年が経った。
その日はひどく蒸し暑く眠れなかった。
のどが渇いたので少しだったらいいかと水を汲みに部屋を出た。
台所で樽から水を掬い飲んでいるとどこかから苦しげな呻き声が聞こえてきた。
攻めが苦しんでいるのではと慌ててからの部屋に入っていった。
カーテンの引いていない部屋は月光が差し込み、攻めは苦しそうに喉元を引っ掻いていた。
助けようと思ったが、だんだんと彼の姿が変わっていった。
「見たな、なぜ大人しく部屋にいなかった‼️」
獣に姿を変えた攻めは怒鳴ったが受けは動けなかった。
苛立ちに攻めが受けを襲いかかった。
巨体に押し倒されても受けはぽかんとしている。
「恐ろしくはないのか!お前を食い殺すかもしれないんだぞ、なぜ逃げない!」
いや、無理だろうと受けは思った。
自分を押し倒してるのは長い毛にくしゃくしゃの顔をしたチャウチャウなのだから。
つぶらな瞳がくしゃっとした顔に埋もれてて愛嬌しかない。
押し倒されてるのに、受けは「可愛い」と呟いた。
遠慮なく獣と化した攻めをわしゃわしゃしまくった。
あんまりに嬉しそうに撫で回されて、本能で攻めもアフアフとお腹を出してしまう。
「違うちがーう!」
慌てて現状を伝えようとしても、気持ちいいところをもふもふされて、あふんとなってしまう。
「攻めはこんな可愛い犬に変身するんだ」
森では誰もが恐れる王だというのに飼い慣らされた犬のようになってしまった攻めはびっくりしてしまう。
「お前たちが恐れてる地の王とは私のことだ、怖いだろ」
「怖くないです、可愛いな可愛いな」
また気持ちいいところをわっしゃわしゃされ気持ちよくなってしまう。
受けに怖がられることを最も恐れてた攻めだったが、ありのまま受け入れられ受けのことをもっとすきになる。
だがさすがに雄同士だしと悩み始める。
そんな攻めの気持ちも知らずに受けは森で小動物と遊びに、攻めと仲睦まじくし、伸び伸びとしたスローライフを満喫。
だがそんな受けを見つけたのはたまたま森に入った木こり。
不思議な子がいると自分の村に帰り話すと、噂は瞬く間に王とまで届いた。
花嫁が生きてるとは何事だー‼️と王様激怒。
すぐに父伯爵が呼び出されるが、父伯爵にもわかるはずがなく。
きっと魔女に違いないと貴族会で噂されるようになった。
これには父伯爵ピンチ。
魔女を出した一家という汚名は避けたくて、討伐軍より先に受けを見つけようと森の中を一家総出で探し回った。
獣に襲われる息子たち、虫に刺される妻、どんどんと脱落していく中、父伯爵はついに森の奥の屋敷に辿り着いた。
そこには攻めと一緒に花を育ててる受けの姿があった。
父伯爵激怒。
「お前がおとなしく死なないから我が家は汚名を着せられたのだぞ‼️」
持っていた銃で受けを殺そうとしたが、それよりも早く攻めに腕を切り落とされてしまった。
悲鳴に森に入った討伐軍が集まってくる。
受けと攻めを見つけて「魔女を見つけたぞ」と殺そうとしたが、攻めの魔法で鉄砲玉は跳ね返り、剣も折れていく。
「お前たちが地の王である我に捧げた花嫁ではないか。誰の許し得て奪おうとしているのだ!」
おどろおどろしい声に討伐軍は慌てて引き返し腕を失った父伯爵も逃げていった。
受けは助けてもらったお礼とともに頭下げた。
「ごめんなさい、花嫁と言いながら男なんです。本当にごめんなさい」
「知っている、お前が男などはじめから。だがお前が嫌でなければ花嫁になってくれ……好きなんだ」
攻めの告白にびっくりするが、自分のすべてを受け入れた攻めのことを受けます気になっていた。
顔を真っ赤にして「両思いですね」と返すと、今まで我慢していた攻めに速攻ベッドに連れて行かれて全身嘗め回されて気持ちよくなって、大きすぎるものを受け入れてアンアン啼いてしまう。
その間に屋敷の周りの汚物は王の配下の獣たちによって片付けられるのだが受けが部屋から出てこられたのはそれから一週間も過ぎた後だったので知るよしもない。
それから受けは地の王である攻めとのんびりスローライフを送っては、月に一度のもふもふを堪能し、ほかの日は自分がアンアン言わされるが幸せな日々を過ごすのだった。
なお、討伐軍を派遣した王様は死ぬ直前までガクブルしてましたとさ。
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