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一体なんなんだ。
玄は苛立ちが募ってどうしようもないのを必死に隠しながらパーティ会場に戻った。適当な相手に彼女を託して帰ると心に誓いながら、桐生の恋人だったという女性をエスコートする。
酷いことをしたのは桐生だと思う。いや、それ以外ないだろう。
散々その気にさせてやることやって、本社へ異動するからと捨てられては怒って当然だ。例え上流階級だとしてもアルファだとしても人としてやってはいけないことだ。下半身がだらしない男は、それだけで信用が失墜するとは考えなかったのだろうか、桐生は。
少なくとも、玄の中にある桐生へのわずかな信頼は失墜どころか地面に穴をあけてマグマの中に溶けだしていく。
たっぷりと足蹴にした桐生の姿を見てオリヴィアは吹っ切れたようで、玄を伴ってパーティ会場に戻ると楽しそうに近づいてくる男たちと話をし出した。それを傍で見ながら、玄はいつもの無表情に変わる。
思いのままに桐生を蹴ったが、それでも胸の痞えが取れずにいた。彼女に対しての態度に怒っていたはずなのに、ちっとも気持ちが晴れない。それどころか桐生に向けてというよりも親し気に桐生の手を取る彼女の態度が気に入らないと一瞬でも思った自分がいたことに苛立っていたことに気付く。なぜこんな苛立ちを感じるのかがわからない。しかも、何の罪もない彼女に対して抱く環状ではないと分かっているのに、どうしようもない。
『玄はこの後の予定はどうなの?』
話しかけてきたいかにも軟派そうなベータの男と話しながらオリヴィアが訊ねてくる。彼女の目がちらりと玄の指に視線をやる。アクセサリー関係が全くない指を見てどこか嬉しそうだ。すかさず、オリヴィアに色目を使っていたベータがたどたどしい英語で彼女の視線を遮る。
『菅原さんは結婚したばかりだよ』
『えっ、そうなの? でも指輪が……』
『実はそうなのです、レディ。アクセサリーの類が苦手なのでしていませんが、結婚をしています』
『まぁそうだったのね。この会場に奥様も来ているのね、とても失礼なことをしてしまったわ』
『気にしないでください。ではぜひお楽しみください』
丁度いいとばかりに男にオリヴィアのエスコートを代わってもらい、玄は再び会場に入ってきた桐生を視界の端で確認してから、用は済んだとばかりに会場を後にしようとした。が、面倒な相手に捕まってしまった。
キリュウ・コーポレーションの名物老害会長だ。
「なんだ、嫁。もう帰るのか」
「はい、長居する予定はありませんので」
「……相変わらずあの女に似て生意気だな」
それが絶対的支配者である母を指していると分かっていたが、相手をするのが面倒で適当にいなす。
「そうですね。では失礼します」
「待て! 腹の子はどうだ」
「どうと申されましても、大した変わりはありません。時折蹴ってくるくらいです」
「元気そうだな。生まれてくるのはいつ頃だ」
「そのうち生まれてくるでしょう」
「なんだ可愛くないな、少しは弟を見習え」
碧は可愛くていいのだと口に出かかって、だが敢えて口を噤む。自分に可愛さなど求めるのはこの世で桐生くらいだろう。桐生のことを思い出してまた玄の心が険しくなる。それと同時に少しだけお腹の張りが出てきた。
「無理でしょう。あの子は特別ですから」
早くこの場を去りたいとわざと煽るようなことを口にする。大抵の老人はこれで気分を害して退いてくれるはずだが、会長はどうしてかしつこく玄に絡んでくる。まるで昔の桐生のように無駄に威厳を振りかざしてうざったいことこの上ない。
「この様子ですとあと10年は生きられそうですね、残念です」
「減らず口が! もういい。篤繁はどこだ」
「さぁどこでしょうね。緩い下半身のままどこかの女性でも口説いているんじゃありませんか」
興味もないとばかりに吐き捨て、玄は会場を後にした。
イライラが募りすぎて感情を押さえつけることができない。なぜこんなにも桐生に対して、オリヴィアに対して自分が苛立っているのかが分からないし、どうだっていいと思っている人間相手にこれほどまでもの怒りが持続するのも珍しかった。
そう、玄は怒っているのだ、二人に対して。
桐生の過去になにがあるのかなど今まで全く興味もなかったはずなのに、現実を突きつけられ妙に腹が立つ。
あんなにも自分に愛を訴えてきたのに、ずっと想っていたなどと口にしていたのに、実際は欲望を慰める相手に不自由していなかった。桐生のことだ、相手はオリヴィアだけではないだろうと容易に想像がつく。あの容姿に社会的ステータス、遺伝子的に優位と言われるアルファであるのだから、どんな人間も放っておかないだろう。動物の本能として遺伝子的に優秀な相手の子を成したいと誘惑してきても当たり前だ。それに対し、元は傲慢な桐生である、据え膳を当然として食さないはずがない。
玄がその現実を、桐生を取り巻く周囲を見ようとはしなかっただけだ。
桐生があまりにも自分だけだと言い続けたから。初めて会った時から慕っていたと言ったから。どこかで自分が優位に立っている、そんな気持ちになっていた。
(傲慢なのは私だったのか……)
完全に桐生が向けてくる感情に胡坐をかいていた。ビッチングしてオメガにしたのだからこれから先、何があっても自分に尽くすのが当然で、自分のためだけに生きるのが当然だと思っていた。
番になったとしても、アルファの心が離れたら苦しむのはオメガだけだと知っていながら、傲慢になっていた。すべての責任は桐生にあると、こんな自分にしたのは桐生なのだから好き勝手にしていいと。生まれながらにオメガだったわけではないのだから、オメガにした桐生はずっと自分の言いなりになり愛を囁き続けて当然なのだと、思い込んでいた。
そう、桐生は自分の物なのだ。所有物にして、人として見てはいなかった。
むしろこんな関係になる前のほうが一人の人間として見ていたような気がする。
若くしてニューヨーク支社の支社長になり、今までで一番の売り上げを叩き出した敏腕ぶりにさすがだと頷いていた。彼になら大切で大切で本当なら自分の庇護下に一生閉じ込めておきたい碧を任せられると考えたのだ。
桐生は玄が同世代で高く評価した唯一の人間と言っても過言ではなかった。自分よりは劣るが。家族以外に愛情を向けたことがない玄には最大級の褒め言葉である。当然立ち居振る舞いもそれに見合ったものだったのだろうと、勝手に決めつけていた。
自分が認めた人間だ、他の人たちが認め惚れないわけがない。オリヴィアのように配偶者の座を手に入れようと必死になるのは当たり前なのだ。玄はその当たり前に気付かなかった。
(このまま気付かなければよかった)
気付かず、今までの通り好き勝手にやっていられれば、こんなにも感情が波打つことはなかっただろう。好きなだけ仕事にのみ意識を向けていられただろう。桐生が誰かに取られる可能性があると考えただけでこんなにも不快な気持ちになりはしなかっただろう。いや、誰かが彼に好意を向けることすら不快に感じているのだ。
自分にこんな感情を抱かせるのは碧以外いないと思っていた。世界で一番大切な碧だからこそ、こんな感情になるのだと思っていた。
だが違った。
桐生に対しても、この恐ろしい感情を抱いている。
もしこの感情に名前を付けるのだとしたら、「独占欲」だ。
(気付かなければ……)
何も知らないまま桐生に接し、好き勝手して、そしていつか玄の存在が窮屈になった桐生が離れていく。離婚届を突き付けられ、番となったことなどなかったかのように姿を見せなくなる。その時、苦しむのは玄だけ。死別以外で番を失ったオメガは狂うのだと聞く。満たされない身体と心を抱え、他で慰めることもできないまま生き地獄を味わい、狂って死ぬのだ。
玄は思わず両腕で自身を抱いた。そうしなければ震え出しそうになっていた。
思い出すのはどこまでも桐生を欲しがって狂った一週間だ。あの時は常にそばに桐生がいたからすぐに満たされたが、目覚めると同時に、乾いた大地が水を求めるようにどこまでも桐生を欲しがった。すぐに貫かれたいと思ったし、身体の奥に迸りを感じれば身体と同時に心が満たされた。それを失ったまま、狂ったような欲望だけを抱えて焦燥感を感じながら生きろというのか。
(そんなこと……許さない…)
だが、人の心は縛れない。どんなに周囲が言葉を尽くしても一度離れた心は戻らない。それは玄が一番よく知っている。あんなにも慈しんだ碧は、兄よりも天羽を選んだ。どんなに言葉を重ねて別れさせようとしてもその決意は固く、未だに一緒にいる。それと同じだろう。
きっと玄は、自分から心が離れ違う男を見つめ続ける弟を見て、より一層誰かを一途に想うことの悲しみを知った。
悲しむくらいなら割り切った関係のほうが良い。
あの辛さを再び味わうくらいなら誰にも興味を覚えなければいい。
碧は離れても弟であるからずっと繋がっていられるが、他人にはそれが存在しない。
だから桐生とも割り切った関係でいい。いつでも終わりにできる先輩後輩の関係で……。ただ子供の父親という役目だけを果たしてくれる人であればいい。そして自分も変わらず、何も変わらないままいれば、なにも傷つかない。結婚しても、子供ができても……。
そう思っていたはずなのに、どうしてこんなにも苦しいんだ。たかだか過去の女が現れたくらいで。
彼女が桐生を見つけこの上なく嬉しそうに微笑み、親し気にその腕を掴んだ時、玄は胸がざわついた。何度もこちらに来ようとする桐生を引き留める彼女を、親し気に話しかけることができるのが羨ましくて憎らしくて、同時になぜ振り払ってすぐに自分の元に来ないのだと桐生に怒りがこみ上げる。
玄は苛立ちが募ってどうしようもないのを必死に隠しながらパーティ会場に戻った。適当な相手に彼女を託して帰ると心に誓いながら、桐生の恋人だったという女性をエスコートする。
酷いことをしたのは桐生だと思う。いや、それ以外ないだろう。
散々その気にさせてやることやって、本社へ異動するからと捨てられては怒って当然だ。例え上流階級だとしてもアルファだとしても人としてやってはいけないことだ。下半身がだらしない男は、それだけで信用が失墜するとは考えなかったのだろうか、桐生は。
少なくとも、玄の中にある桐生へのわずかな信頼は失墜どころか地面に穴をあけてマグマの中に溶けだしていく。
たっぷりと足蹴にした桐生の姿を見てオリヴィアは吹っ切れたようで、玄を伴ってパーティ会場に戻ると楽しそうに近づいてくる男たちと話をし出した。それを傍で見ながら、玄はいつもの無表情に変わる。
思いのままに桐生を蹴ったが、それでも胸の痞えが取れずにいた。彼女に対しての態度に怒っていたはずなのに、ちっとも気持ちが晴れない。それどころか桐生に向けてというよりも親し気に桐生の手を取る彼女の態度が気に入らないと一瞬でも思った自分がいたことに苛立っていたことに気付く。なぜこんな苛立ちを感じるのかがわからない。しかも、何の罪もない彼女に対して抱く環状ではないと分かっているのに、どうしようもない。
『玄はこの後の予定はどうなの?』
話しかけてきたいかにも軟派そうなベータの男と話しながらオリヴィアが訊ねてくる。彼女の目がちらりと玄の指に視線をやる。アクセサリー関係が全くない指を見てどこか嬉しそうだ。すかさず、オリヴィアに色目を使っていたベータがたどたどしい英語で彼女の視線を遮る。
『菅原さんは結婚したばかりだよ』
『えっ、そうなの? でも指輪が……』
『実はそうなのです、レディ。アクセサリーの類が苦手なのでしていませんが、結婚をしています』
『まぁそうだったのね。この会場に奥様も来ているのね、とても失礼なことをしてしまったわ』
『気にしないでください。ではぜひお楽しみください』
丁度いいとばかりに男にオリヴィアのエスコートを代わってもらい、玄は再び会場に入ってきた桐生を視界の端で確認してから、用は済んだとばかりに会場を後にしようとした。が、面倒な相手に捕まってしまった。
キリュウ・コーポレーションの名物老害会長だ。
「なんだ、嫁。もう帰るのか」
「はい、長居する予定はありませんので」
「……相変わらずあの女に似て生意気だな」
それが絶対的支配者である母を指していると分かっていたが、相手をするのが面倒で適当にいなす。
「そうですね。では失礼します」
「待て! 腹の子はどうだ」
「どうと申されましても、大した変わりはありません。時折蹴ってくるくらいです」
「元気そうだな。生まれてくるのはいつ頃だ」
「そのうち生まれてくるでしょう」
「なんだ可愛くないな、少しは弟を見習え」
碧は可愛くていいのだと口に出かかって、だが敢えて口を噤む。自分に可愛さなど求めるのはこの世で桐生くらいだろう。桐生のことを思い出してまた玄の心が険しくなる。それと同時に少しだけお腹の張りが出てきた。
「無理でしょう。あの子は特別ですから」
早くこの場を去りたいとわざと煽るようなことを口にする。大抵の老人はこれで気分を害して退いてくれるはずだが、会長はどうしてかしつこく玄に絡んでくる。まるで昔の桐生のように無駄に威厳を振りかざしてうざったいことこの上ない。
「この様子ですとあと10年は生きられそうですね、残念です」
「減らず口が! もういい。篤繁はどこだ」
「さぁどこでしょうね。緩い下半身のままどこかの女性でも口説いているんじゃありませんか」
興味もないとばかりに吐き捨て、玄は会場を後にした。
イライラが募りすぎて感情を押さえつけることができない。なぜこんなにも桐生に対して、オリヴィアに対して自分が苛立っているのかが分からないし、どうだっていいと思っている人間相手にこれほどまでもの怒りが持続するのも珍しかった。
そう、玄は怒っているのだ、二人に対して。
桐生の過去になにがあるのかなど今まで全く興味もなかったはずなのに、現実を突きつけられ妙に腹が立つ。
あんなにも自分に愛を訴えてきたのに、ずっと想っていたなどと口にしていたのに、実際は欲望を慰める相手に不自由していなかった。桐生のことだ、相手はオリヴィアだけではないだろうと容易に想像がつく。あの容姿に社会的ステータス、遺伝子的に優位と言われるアルファであるのだから、どんな人間も放っておかないだろう。動物の本能として遺伝子的に優秀な相手の子を成したいと誘惑してきても当たり前だ。それに対し、元は傲慢な桐生である、据え膳を当然として食さないはずがない。
玄がその現実を、桐生を取り巻く周囲を見ようとはしなかっただけだ。
桐生があまりにも自分だけだと言い続けたから。初めて会った時から慕っていたと言ったから。どこかで自分が優位に立っている、そんな気持ちになっていた。
(傲慢なのは私だったのか……)
完全に桐生が向けてくる感情に胡坐をかいていた。ビッチングしてオメガにしたのだからこれから先、何があっても自分に尽くすのが当然で、自分のためだけに生きるのが当然だと思っていた。
番になったとしても、アルファの心が離れたら苦しむのはオメガだけだと知っていながら、傲慢になっていた。すべての責任は桐生にあると、こんな自分にしたのは桐生なのだから好き勝手にしていいと。生まれながらにオメガだったわけではないのだから、オメガにした桐生はずっと自分の言いなりになり愛を囁き続けて当然なのだと、思い込んでいた。
そう、桐生は自分の物なのだ。所有物にして、人として見てはいなかった。
むしろこんな関係になる前のほうが一人の人間として見ていたような気がする。
若くしてニューヨーク支社の支社長になり、今までで一番の売り上げを叩き出した敏腕ぶりにさすがだと頷いていた。彼になら大切で大切で本当なら自分の庇護下に一生閉じ込めておきたい碧を任せられると考えたのだ。
桐生は玄が同世代で高く評価した唯一の人間と言っても過言ではなかった。自分よりは劣るが。家族以外に愛情を向けたことがない玄には最大級の褒め言葉である。当然立ち居振る舞いもそれに見合ったものだったのだろうと、勝手に決めつけていた。
自分が認めた人間だ、他の人たちが認め惚れないわけがない。オリヴィアのように配偶者の座を手に入れようと必死になるのは当たり前なのだ。玄はその当たり前に気付かなかった。
(このまま気付かなければよかった)
気付かず、今までの通り好き勝手にやっていられれば、こんなにも感情が波打つことはなかっただろう。好きなだけ仕事にのみ意識を向けていられただろう。桐生が誰かに取られる可能性があると考えただけでこんなにも不快な気持ちになりはしなかっただろう。いや、誰かが彼に好意を向けることすら不快に感じているのだ。
自分にこんな感情を抱かせるのは碧以外いないと思っていた。世界で一番大切な碧だからこそ、こんな感情になるのだと思っていた。
だが違った。
桐生に対しても、この恐ろしい感情を抱いている。
もしこの感情に名前を付けるのだとしたら、「独占欲」だ。
(気付かなければ……)
何も知らないまま桐生に接し、好き勝手して、そしていつか玄の存在が窮屈になった桐生が離れていく。離婚届を突き付けられ、番となったことなどなかったかのように姿を見せなくなる。その時、苦しむのは玄だけ。死別以外で番を失ったオメガは狂うのだと聞く。満たされない身体と心を抱え、他で慰めることもできないまま生き地獄を味わい、狂って死ぬのだ。
玄は思わず両腕で自身を抱いた。そうしなければ震え出しそうになっていた。
思い出すのはどこまでも桐生を欲しがって狂った一週間だ。あの時は常にそばに桐生がいたからすぐに満たされたが、目覚めると同時に、乾いた大地が水を求めるようにどこまでも桐生を欲しがった。すぐに貫かれたいと思ったし、身体の奥に迸りを感じれば身体と同時に心が満たされた。それを失ったまま、狂ったような欲望だけを抱えて焦燥感を感じながら生きろというのか。
(そんなこと……許さない…)
だが、人の心は縛れない。どんなに周囲が言葉を尽くしても一度離れた心は戻らない。それは玄が一番よく知っている。あんなにも慈しんだ碧は、兄よりも天羽を選んだ。どんなに言葉を重ねて別れさせようとしてもその決意は固く、未だに一緒にいる。それと同じだろう。
きっと玄は、自分から心が離れ違う男を見つめ続ける弟を見て、より一層誰かを一途に想うことの悲しみを知った。
悲しむくらいなら割り切った関係のほうが良い。
あの辛さを再び味わうくらいなら誰にも興味を覚えなければいい。
碧は離れても弟であるからずっと繋がっていられるが、他人にはそれが存在しない。
だから桐生とも割り切った関係でいい。いつでも終わりにできる先輩後輩の関係で……。ただ子供の父親という役目だけを果たしてくれる人であればいい。そして自分も変わらず、何も変わらないままいれば、なにも傷つかない。結婚しても、子供ができても……。
そう思っていたはずなのに、どうしてこんなにも苦しいんだ。たかだか過去の女が現れたくらいで。
彼女が桐生を見つけこの上なく嬉しそうに微笑み、親し気にその腕を掴んだ時、玄は胸がざわついた。何度もこちらに来ようとする桐生を引き留める彼女を、親し気に話しかけることができるのが羨ましくて憎らしくて、同時になぜ振り払ってすぐに自分の元に来ないのだと桐生に怒りがこみ上げる。
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