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番外編
僕の大好きな不器用な人12
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昔、高位の遊女は誰にでも身体を許すが唇は決して許さなかったのを思い出す。キスは好きな人とだけするのだと、それが遊女としての唯一の操立てなのだと書かれていた。
今、目の前の遥人とキスができないのは同じなのかもしれない。
同じ人なのにキスをするのが怖かった。
本当に彼を裏切ってしまったような気になる。
ふふっと笑う声が聞こえた。
「いいですよ。その代わり何回でも達かせてあげます」
ズンッと奥を突かれて身体が跳ねた。
仕事に入ってから忘れてしまった感覚に、身体が震え悦ぶ。熱く硬い欲望に分身の裏の感じる場所を抉られて、嬌声を放って悦がった。同時に胸の飾りも弄られては抗うことができない。
長い時間をかけて遥人に仕込まれた身体は素直に悦び、何度も背筋に痺れを走らせた。
涙が溢れてくる。
「泣かないでくださいっ気持ちいいんでしょっ」
「やだぁぁ……そこっ」
「ここですね、隆則さんの気持ちいいところ、いっぱいして、あげますから」
中の刺激に加え胸を乱暴に弄られ、隆則は達ったばかりだというのにまた分身を大きくさせ、蜜を放った。
奥に遥人の熱が迸るのを感じる。
気持ちいい、のに何かが満たされない。
荒い息を繰り返しじっと遥人を見つめた。同じように肩で呼吸した彼がそれに気付いていつものように甘く微笑む。だが眼鏡があるだけでそれが少し冷たく感じる。
「気持ちよかったですか?」
隆則はゆるく首を振った。手を伸ばし、眼鏡を取る。いつもの遥人の顔が現れて、ぐしゃりと顔を歪ませた。
「どうしたんですか、隆則さん!」
「いつもの遥人がいいっ」
「でも眼鏡かけてる俺でも興奮したでしょ?」
興奮した。いつにない倒錯感に高揚し、いっぱい蜜を放った。けれど違うのだ。
眼鏡をベッドに転がし縛られたままの両手を彼の首に回す。
「した……けど、遥人がいい。いつもみたいにあそこ縛っていかせてぇぇ」
淫らなおねだりを泣きじゃくってする。涙を逞しい肩で拭いしがみ付く。もう普通に蜜を放つだけでは自分が満たされないのを知ってしまった。男として当たり前だった感覚を上回るほど、遥人にされることの方が気持ちよくて、求められ愛されているんだと感じられる。
「メス達きがいいんですか? もう普通のセックスじゃ気持ちよくなれない?」
「なれないっ……あれがいい……遥人に凄く欲しがられてるって思えるから……おねがい……」
何度も鼻を啜って訴えれば堪らないとばかりに遥人が抱きしめてくれた。
こうして力強く抱きしめられるのも嬉しい。自分から肉厚の唇に舌を伸ばした。気持ちいいキスをして欲しくて、舌をその口内に潜り込ませる。遥人の舌に絡めて擦り付ければ、すぐに求めて貪ってきた。
その一途でがむしゃらなのが嬉しい。
舌の根元まで擽るほど深く合わせる口づけに酔い、中にある欲望を自分から締め付けた。早く育ってくれと願い僅かな抽挿を試みる。
「んっんっ」
愛されていると自認するだけでこんなにも受け止める感覚が違うのかと思うほど、溶けてしまいそうになるほど甘い痺れが駆け上がっていく。
「こんな欲しがりな隆則さん、珍しい……嬉しいです」
チュッと唇を放してから遥人が身体を起こした。縛られたまま回している腕が一緒に引き起こされる。
「これ……外してくれ」
「どうしてですか? とても似合ってますよ。ほら、隆則さんの乳首と同じ色……こっちの方が少し濃いかな」
尖った飾りの先端を突いてきた。
「ひっ! ぃたっ」
眼鏡の遥人はしてくれなかった痛みを感じるほど乱暴に摘ままれて、上体を仰け反らせた。
先端を爪で引っかかれまた嬌声を放って仰け反る。
またギュッと欲望を締め付ければ、中で跳ねるのを感じた。嬉しくて自分から腰を揺らめかせる。
「煽んないでください、またひどいことされますよ」
「いい……遥人ならどんなことをしても、いいから……」
どこまでも恋人を甘やかすような言葉は、本音だ。彼になら何をされても受け止めたいと感じている。どこまでも愛しているから。
そしてされるすべてが気持ちいい。自分を求めて必死になっている彼だからすべてを許してしまえる。
「すぐそうやって俺を煽りますね。また気を失うまでやっちゃいますよ」
「それでもいいから……して」
ギュッと中を窄めて絞り込むように身体を動かす。愉悦を堪える男らしい顔に見蕩れて、もっと動きを激しくする。
「まったく貴方って人は……ここ縛って欲しいんですよね。メス達きしかさせられませんよ、本当にいいんですか?」
「いい……嬉しいから」
「どんだけ俺を夢中にさせたら気が済むんですか……もうっ!」
荒々しい言葉遣いにうっすらと笑みを浮かべる。余裕をなくす瞬間が好きだ。自分を貪りたくてがっついてるところも。
分身の根元にリボンが巻き付けられる。それにも感じて気持ちが高揚した。
今、目の前の遥人とキスができないのは同じなのかもしれない。
同じ人なのにキスをするのが怖かった。
本当に彼を裏切ってしまったような気になる。
ふふっと笑う声が聞こえた。
「いいですよ。その代わり何回でも達かせてあげます」
ズンッと奥を突かれて身体が跳ねた。
仕事に入ってから忘れてしまった感覚に、身体が震え悦ぶ。熱く硬い欲望に分身の裏の感じる場所を抉られて、嬌声を放って悦がった。同時に胸の飾りも弄られては抗うことができない。
長い時間をかけて遥人に仕込まれた身体は素直に悦び、何度も背筋に痺れを走らせた。
涙が溢れてくる。
「泣かないでくださいっ気持ちいいんでしょっ」
「やだぁぁ……そこっ」
「ここですね、隆則さんの気持ちいいところ、いっぱいして、あげますから」
中の刺激に加え胸を乱暴に弄られ、隆則は達ったばかりだというのにまた分身を大きくさせ、蜜を放った。
奥に遥人の熱が迸るのを感じる。
気持ちいい、のに何かが満たされない。
荒い息を繰り返しじっと遥人を見つめた。同じように肩で呼吸した彼がそれに気付いていつものように甘く微笑む。だが眼鏡があるだけでそれが少し冷たく感じる。
「気持ちよかったですか?」
隆則はゆるく首を振った。手を伸ばし、眼鏡を取る。いつもの遥人の顔が現れて、ぐしゃりと顔を歪ませた。
「どうしたんですか、隆則さん!」
「いつもの遥人がいいっ」
「でも眼鏡かけてる俺でも興奮したでしょ?」
興奮した。いつにない倒錯感に高揚し、いっぱい蜜を放った。けれど違うのだ。
眼鏡をベッドに転がし縛られたままの両手を彼の首に回す。
「した……けど、遥人がいい。いつもみたいにあそこ縛っていかせてぇぇ」
淫らなおねだりを泣きじゃくってする。涙を逞しい肩で拭いしがみ付く。もう普通に蜜を放つだけでは自分が満たされないのを知ってしまった。男として当たり前だった感覚を上回るほど、遥人にされることの方が気持ちよくて、求められ愛されているんだと感じられる。
「メス達きがいいんですか? もう普通のセックスじゃ気持ちよくなれない?」
「なれないっ……あれがいい……遥人に凄く欲しがられてるって思えるから……おねがい……」
何度も鼻を啜って訴えれば堪らないとばかりに遥人が抱きしめてくれた。
こうして力強く抱きしめられるのも嬉しい。自分から肉厚の唇に舌を伸ばした。気持ちいいキスをして欲しくて、舌をその口内に潜り込ませる。遥人の舌に絡めて擦り付ければ、すぐに求めて貪ってきた。
その一途でがむしゃらなのが嬉しい。
舌の根元まで擽るほど深く合わせる口づけに酔い、中にある欲望を自分から締め付けた。早く育ってくれと願い僅かな抽挿を試みる。
「んっんっ」
愛されていると自認するだけでこんなにも受け止める感覚が違うのかと思うほど、溶けてしまいそうになるほど甘い痺れが駆け上がっていく。
「こんな欲しがりな隆則さん、珍しい……嬉しいです」
チュッと唇を放してから遥人が身体を起こした。縛られたまま回している腕が一緒に引き起こされる。
「これ……外してくれ」
「どうしてですか? とても似合ってますよ。ほら、隆則さんの乳首と同じ色……こっちの方が少し濃いかな」
尖った飾りの先端を突いてきた。
「ひっ! ぃたっ」
眼鏡の遥人はしてくれなかった痛みを感じるほど乱暴に摘ままれて、上体を仰け反らせた。
先端を爪で引っかかれまた嬌声を放って仰け反る。
またギュッと欲望を締め付ければ、中で跳ねるのを感じた。嬉しくて自分から腰を揺らめかせる。
「煽んないでください、またひどいことされますよ」
「いい……遥人ならどんなことをしても、いいから……」
どこまでも恋人を甘やかすような言葉は、本音だ。彼になら何をされても受け止めたいと感じている。どこまでも愛しているから。
そしてされるすべてが気持ちいい。自分を求めて必死になっている彼だからすべてを許してしまえる。
「すぐそうやって俺を煽りますね。また気を失うまでやっちゃいますよ」
「それでもいいから……して」
ギュッと中を窄めて絞り込むように身体を動かす。愉悦を堪える男らしい顔に見蕩れて、もっと動きを激しくする。
「まったく貴方って人は……ここ縛って欲しいんですよね。メス達きしかさせられませんよ、本当にいいんですか?」
「いい……嬉しいから」
「どんだけ俺を夢中にさせたら気が済むんですか……もうっ!」
荒々しい言葉遣いにうっすらと笑みを浮かべる。余裕をなくす瞬間が好きだ。自分を貪りたくてがっついてるところも。
分身の根元にリボンが巻き付けられる。それにも感じて気持ちが高揚した。
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