おじさんの恋

椎名サクラ

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番外編

僕の大好きな不器用な人11

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 遥人の舌が感じやすい胸の飾りに伸びてきた。そこで快楽を育てることを覚え込まされた身体はビクンと跳ね、胸を突き出す。頑健な歯が胸の飾りの先端をグニグニと噛み、吸い上げる。いつもされていることなのに、別の人にされているような気分になるのはなぜだろうか。だがそこからもたらされる愉悦は変わらなくて、分身がビクンと跳ね上がった。

「ああ、ここが好きなんですね。可愛い」

「やっ……やらっ!」

「嫌だじゃないでしょう。だって隆則さんのここ、大きくなってますよ」

 ここ、と分身の先端が遥人の腹筋に擦れていく。悲鳴を上げ腰が揺らめいた。

「気持ちいいことに弱いんですね。もっと感じさせますね」

 チロチロと舌の先を指が刺激し、それにすら気持ちよくなってしまう。

 そして、舌にするのと同じ動きを胸にもされて、隆則は我慢できなくなった。

「ゃ……あぁぁぁぁぁぁぁっ、らめらめぇぇ」

 いつの頃かチェーンを押さえていた手が離れたのに、隆則は両腕を上げたまま身を捩った。繋がれただけなのに動かすこともできなくなり、甘い拘束に焦れていく。もっと触って確かな刺激をして欲しいのに、口からは嫌だ嫌だを繰り返し、眼鏡姿の遥人を見つめた。

「ふふっ、おねだりしてるんですか? 本当に可愛いですね、隆則さんは……ねぇ欲しいって言ってみてください」

 口から指が抜かれ唾液の糸が長く引かれた。途切れて、冷たい感触が顔に残された。

「やだ……もぉやめてくれ……」

 荒い息を吐き出しながら懇願する。

「どうして?」

「こんな……遥人に怒られる……」

 目の前にいるのにどうしてだろう、そう口にして助けを求めた。

 ニヤリと遥人が笑った。凄く嬉しいのを堪えるような歪な顔だ。

「隆則さんの恋人はこういうこと、許してくれないんですか?」

「だめっ遥人だけ……約束だから……」

 けれど、唾液をたっぷりと纏い付かせた指が蕾へと挿り込んだ。

「ひっ! やだっ……そこだめっ」

「ねぇ知ってます? 隆則さんの中が指に絡みつくぐらいうねってますよ。俺のことを誘ってるんですか、恋人がいるのに」

「ちがっ……もぉゆるしてぇぇぇ」

「ダメです。大好きな隆則さんの中を俺のでぐちゃぐちゃに掻き混ぜて奥まで突いて、これ以上挿らないところに精子を吐き出したいんです」

 ズクリとまた背筋を痺れが走った。

 いつも遥人がしていることだ。なのに、言葉にされて興奮してしまう。ゆるゆると首を振って嫌だと告げた。自然と涙が浮かんでくる。まだ前戯なのに、何も我慢させられていないのに、涙が零れ落ちた。

「泣かないで」

 厚い舌が舐め取る。

 言葉だけ抜き出したらいつも遥人とベッドの上で繰り広げている会話と変わらない。なのに、眼鏡の遥人と繰り広げたら本当に無理矢理犯されそうにな感覚が拭えなくて、自分は恋人を裏切ってしまうのだろうかと不安になる。

 嫌なのに興奮が冷めない。

 分身が完全に勃ち上がり痛いくらいに張っては、中にある遥人の指を締め付けて促してしまう。

 いつものように狂うほど気持ちよくして欲しい。けれど今目の前にいるのはいつもの遥人ではない。欲と理性がぶつかり合い、隆則を狂わせていく。特に眼鏡が精悍で野性的だった遥人のイメージを変える。インテリというにふさわしい雰囲気にし、全く別の人間に思わせる。

 また一ヶ月前の彼を思い出して期待に身体が震えた。

 そのたびに中の指を締め付けてしまう。

「ほら、隆則さんの身体、俺に挿れて欲しがってますよ。中がうねって凄く物欲しそうになってます」

「いうなっ……やだっそこやだっ!」

 分身の裏をグニグニと押されて身体が跳ねた。その刺激に半端に遂情する。

「達っちゃいましたね、俺の手で」

「やっ……はるとぉぉ」

 泣き言を口にしても許して貰えず、反対の手が最後の一滴を搾り取るように分身を扱いてくる。久しぶりに敏感なそこを可愛がられ、我慢できずに全部を吐き出した。腹部が白濁で汚れる。

「嬉しい、隆則さんが達ってくれた」

「ちがっ……やだぁぁ」

 気持ちいいけど、何かが違っていた。

 物足りないと内壁がざわめく。達ったのに、満たされない。

 遥人が細い足を持ち上げ大きく割り開いた。物欲しげに収縮する蕾を眺めいきり勃った欲望をあてがう。

「ひっ! それは、それだけはだめっ!」

 レイプ系のAVでよく女優が口にセリフを自分も零している事に気付かず、力ない抵抗を繰り返した。本当に嫌だったら蹴ってでも殴ってでも止めさせることができるのに、しないのはどこかで期待しているからだ。

 ずるりと質量を持ったものが挿ってくる。

「やぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 身体は悦びと期待でギュウギュウに欲望を締め付け放そうとしない。反して、顔を近づけられた隆則はキスから逃れるように首を振った。自由な両手で唇を押さえる。

「キス……させてくれないんですか?」

「だめっはるとの、だからっ」
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