おじさんの恋

椎名サクラ

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番外編

世界で一番君が好き10

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「ひっ……だめだめっそこばっかやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 緩やかに追い上げられていた快楽が、その瞬間から焼き付くように熱くなり、一気に下腹部で膨らみ始める。器用な指が遥人によって開発された胸の飾りへと伸び、すでに尖った突起を摘まんだ。

「あぁぁっ!」

 上体を仰け反らすほどの深い愉悦に翻弄され、隆則はひっきりなしに啼いてはシーツを掴んだ。きっとここで昨日まで奏人が眠っていただろうことも忘れてぐちゃぐちゃにしてはどれだけ感じているかを皺を作ることで教えていく。

 ギュッと目を閉じ、ただただ快楽を貪って上体を仰け反らせ続けた。足をバタつかせて、愉悦に抗うように爪先をギュッと丸める。

 同時に内壁も離さないようにと窄めれば、ずるりと抜ける感触が強くなってまた悦びの電流が背筋を走った。

「やだっもぉ……ぃく! いっちゃ……ぁぁぁぁっ!」

 抱かれるたびに味わう絶頂の予感に隆則は身体を強張らせた。

 怖い。

 自分が自分じゃなくなってしまうような強烈な感覚から逃れようとシーツから手を離し、胸を苛む腕を縋るように掴んだ。

「いいですよっメス達きしてください!」

「やだぁぁいっしょ、いっしょがいい!!」

「ったく、どうしてこういうときまで可愛いんですか!」

 余裕のない遥人を見たくて、涙の滲む目をうっすらと開けた。

 眉間に皺を寄せてぐっと堪える色っぽい表情は、何度目にしても見惚れてしまう。

 本当に今自分を抱いているのはこの格好いい人なのかと確かめたくて、じっと見つめた。引き寄せられるように遥人が顔を近づけてきた。脚を肩に抱えたままだから苦しいのに、迎えるように両手を伸ばす。

「すごい、色っぽい顔してる……ねぇ隆則さん、こんな顔絶対に俺以外に見せないでくださいね」

 近づいてきた遥人の首にしがみ付いて少し厚みのある唇を舐めた。

「はると……はるとだけだから……キス、っして」

 キスしたまま一緒に達きたいとねだれば、情熱的な恋人はそれを叶えるために腰の動きを激しくしていく。

 あまりの激しさに上がった悲鳴を吸われ、全部が遥人に支配されてるような陶酔感に包まれて、心と身体を解放していく。

 やっぱり遥人のことが世界で一番好きだ。

 求められるのも甘やかされるのも、彼だからこんなにも胸がざわめくんだ。

 出会って七年、一緒に住んで五年も経つのに、まだ恋して落ち着かない。顔を見れば胸をざわめかせ、抱かれれば甘くなる。そんな合間に「自分だけを見てくれ」と請われてどうして拒めるだろうか。

 そんなことをしなくても自分はずっと彼ばかりを見つめてしまうと言うのに。

 こんなにも激しく求められて嬉しいと思ってしまうのだ。

 例え意地悪なことをされても乱暴にされても、拒めない。

(も……ぃく!)

 遥人の舌に自分のを絡みつかせたまま、隆則は絶頂を迎えた。分身の根元を堰き止められているから蜜を吐き出すことができない代わりに、女と同じように高みに追いやられる一瞬、激しく腰を上下させた。その締め付けに耐えきれないとばかりに、遥人も最奥に蜜を吐き出した。内壁を打つその感覚にすら感じてしまい、下腹を震わせた。

 頭がぼーっとして何も考えられないのに、幸福感が身体のあちらこちらから溢れてくる。大好きな人に抱かれていることで得られる感覚に、隆則は無防備に揺蕩った。どこにも力が入らない。なのに痙攣が止まらない。

 そんな惚けた顔を見て、また遥人が嬉しそうに笑った。いつものように「可愛い」と言い、細い身体を抱き起こして自分の膝に乗せると、また身体を揺さぶってきた。

「やっ……はると……はるとぉ」

「一回で終わらないの、知ってるでしょう。まだですよ、この一週間放って置かれた分、隆則さんを味わわせてください」

「ごめん、ごめん……いったばっかだからだめぇぇぇぇ」

 達ったのに力を失わない欲望がグリグリと中で暴れては力を取り戻していく。蜜を吐き出すのとは違う絶頂は、ふわふわと下りていく感覚はあるが、また愉悦を与えられれば簡単に昇ってしまう。しかも一度味わったらいとも簡単に何度も訪れるのだ。

 怖くてしがみつき、頬を遥人のに擦り付けて許しを乞うが、叶わないのはわかっている。軽く腰を揺すられまた気持ちよくなってしまう。

「一週間も放っておかれたのも怒ってるのにまた痩せて……俺がどんなに心配してるかわかってますか?」

「ごめん、ごめん……」

 けれどまたハードな仕事が来たらきっと自分は引き受けてしまい、この優しい恋人に心配をかけてしまうだろう。なんせこの五年、ずっとこんなやりとりを繰り返しているのだから。

「本当、嘘でももう仕事しないって言わないの、隆則さんらしいです。だったら代わりに俺のこと好きだって言ってください」

「ゃ……っ」

 恥ずかしくて本人を前にしてそんなことを言えない。大好きだから余計に。

「じゃあいいですよ。言ってくれるまでずっと達かせてあげますから」

「ひっあぁぁぁぁぁっ」
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