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番外編
分裂と過剰と悦びと(遥人が二人になりました!?) 3
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「ひぃっ」
「あ、良いところ当たっちゃいました? 気にしないで寝てください。中を洗っているだけですから」
「へ?」
このまま寝かせてくれるんじゃないのか?
あんなに優しかった手が当たり前のように蕾を割り開き、反対の手に握っているシャワーを当ててきた。男同士のセックスは事前準備が必要だと、元々ノンケの遥人に教えたのは他でもない隆則だ。少しでも嫌悪感を抱いてくれればと思っての事だったが、飲み込みの良い彼はすぐにそれを前戯に変えてしまった。綺麗にするだけでなく、次のステップへと移るために解し始める。
隆則の感じる場所を擦っては入り口を広げてくるので、微睡みはあっという間に消え失せ、仕事では使わない筋肉が強張っていく。
「はる……と、だめっ」
響く浴室で必死に声を抑えてのクレームはあっさりと嬉しそうな声に一蹴される。
「本当に感じやすい。早く俺のを挿れて隆則さんをメス達きさせたいな。今日はどうやって可愛がられたいですか? いつもみたいにここにリボンを結びますか? それとも精子が出なくなるまで達きまくりますか?」
「あっ……やめ!」
ぐりぐりと感じる場所を押しては、指を大きく広げてシャワーのお湯を入れていく。返事ができないようにしているとわかっていても、遥人によって慣らされた身体はすぐに愉悦を追いかけて分身の形を変えた。
「答えられないですか? じゃあ俺の好きなやり方で可愛がりますね……なんせ一週間も放っておかれたんですから、今日は覚悟してください」
何をだ。叫びたいのに口から零れるのは抑えた嬌声ばかり。いくら端の部屋とはいえ、風呂場では声が響いて隣近所に聞かれやしないかと怖くなる。男の二人暮らしでどう聞いても男の喘ぎ声なんて流れたら、もうここに住めなくなる。
反論できないまま遥人にいいようにされ、シャワーの湯が止められる頃にはからたらたらと透明の蜜が零れるくらい分身を堅くさせていた。
大判のタオルで包まれ運ばれるのは、遥人の部屋だ。
大きなベッドのヘッド部分には二人が愛し合うための道具が並べてある。
遥人はいつものように隆則を自分の膝の上に乗せると、まだ眠気を引きずる目を見つめてきた。
「あんまり俺のことを放っておくと意地悪しますよ。わかってるんですか?」
「……ごめん」
いくら老後の資金を潤沢にするためとはいえ、遥人を放っておくのは達けないと自分でもわかっている。だが器用ではない隆則は一度夢中になってしまえば他のことが意識から抜けていき、周囲を忘れてしまう。どんなに遥人のことが好きで好きでどうしようもなくても、プログラミングに熱中してしまえば、彼の声すら届かなくなる。
だからいつだって仕事明けはこうして苦言を呈されて謝罪を繰り返している。
けれど今日の遥人は反省の色を示さない謝罪を許してはくれなかった。
「ごめんっていいながら改善してくれないじゃないですか。隆則さんが何を考えているかわかってますよ。でもね、俺だって働いているし、そんなに薄給じゃないつもりです」
公認会計士の資格を大学在学中に取得し、今は外資系の監査法人に勤めている遥人の手取りは、同年齢の平均よりもずっと高いのは知っている。けれど実家に仕送りをしているし、いつも身綺麗にしなければならない分、費用だって嵩むだろう。そんな遥人に寄りかかるのは十五も年上の隆則のプライドの問題だ。
いつだって頼れる相手でいたい。
家事を全部して貰っているのだから、これくらいは。
だから余計に、無理な働き方は止めてくれと言われて素直に頷けない。
「わかっている」
僅かに唇を尖らせて視線を落とした。
「本当にわかっているんですか? 本当に倒れてしまいますよ、こんな働き方を繰り返したら。……そうだ、もう無茶な働き方ができないようにすればいいんだ」
険しくなる表情が、名案を思いついたと輝いた。
「ど……どうやって」
不穏な空気を感じて隆則は逞しい膝の上から逃れようと腰を動かしたその瞬間、後ろから肩を押さえつけられた。
「ひっ……え?」
二人だけの部屋のはずなのに第三の存在に隆則は慌てて後ろを振り向こうとしたが、すぐに遥人に頬を大きな手で包まれ阻まれた。
うなじをキスされる。
「は、ると?」
「安心して、怖がらないで。隆則さんがもう無茶な仕事をしないように二人でたっぷりと可愛がるだけですから」
「だ……誰?」
いつも隆則に自分以外に目移りするなと訴え、視界を塞ぐために口づけてきた。かつて身体だけの関係にあった矢野にすら嫉妬する遥人がこの部屋に他の男を呼んだのだろうか。そんなはずはない……と考えている間に方に置かれた大きな掌が背中を優しいタッチで撫で下ろしていきゾクリと身体が震えた。
「ぁ……んんっ! は、遥人っ」
「いつもみたいに、俺をトロトロにするキス、してください」
逃げようと唇を離すのに、また両手に顔を固定され濃厚なキスを与えられる。遥人をトロトロにするなんてできるはずがない。いつだって自分がドロドロにされて前後不覚になり、卑猥なことをすべて受け入れてしまうのだ。
「あ、良いところ当たっちゃいました? 気にしないで寝てください。中を洗っているだけですから」
「へ?」
このまま寝かせてくれるんじゃないのか?
あんなに優しかった手が当たり前のように蕾を割り開き、反対の手に握っているシャワーを当ててきた。男同士のセックスは事前準備が必要だと、元々ノンケの遥人に教えたのは他でもない隆則だ。少しでも嫌悪感を抱いてくれればと思っての事だったが、飲み込みの良い彼はすぐにそれを前戯に変えてしまった。綺麗にするだけでなく、次のステップへと移るために解し始める。
隆則の感じる場所を擦っては入り口を広げてくるので、微睡みはあっという間に消え失せ、仕事では使わない筋肉が強張っていく。
「はる……と、だめっ」
響く浴室で必死に声を抑えてのクレームはあっさりと嬉しそうな声に一蹴される。
「本当に感じやすい。早く俺のを挿れて隆則さんをメス達きさせたいな。今日はどうやって可愛がられたいですか? いつもみたいにここにリボンを結びますか? それとも精子が出なくなるまで達きまくりますか?」
「あっ……やめ!」
ぐりぐりと感じる場所を押しては、指を大きく広げてシャワーのお湯を入れていく。返事ができないようにしているとわかっていても、遥人によって慣らされた身体はすぐに愉悦を追いかけて分身の形を変えた。
「答えられないですか? じゃあ俺の好きなやり方で可愛がりますね……なんせ一週間も放っておかれたんですから、今日は覚悟してください」
何をだ。叫びたいのに口から零れるのは抑えた嬌声ばかり。いくら端の部屋とはいえ、風呂場では声が響いて隣近所に聞かれやしないかと怖くなる。男の二人暮らしでどう聞いても男の喘ぎ声なんて流れたら、もうここに住めなくなる。
反論できないまま遥人にいいようにされ、シャワーの湯が止められる頃にはからたらたらと透明の蜜が零れるくらい分身を堅くさせていた。
大判のタオルで包まれ運ばれるのは、遥人の部屋だ。
大きなベッドのヘッド部分には二人が愛し合うための道具が並べてある。
遥人はいつものように隆則を自分の膝の上に乗せると、まだ眠気を引きずる目を見つめてきた。
「あんまり俺のことを放っておくと意地悪しますよ。わかってるんですか?」
「……ごめん」
いくら老後の資金を潤沢にするためとはいえ、遥人を放っておくのは達けないと自分でもわかっている。だが器用ではない隆則は一度夢中になってしまえば他のことが意識から抜けていき、周囲を忘れてしまう。どんなに遥人のことが好きで好きでどうしようもなくても、プログラミングに熱中してしまえば、彼の声すら届かなくなる。
だからいつだって仕事明けはこうして苦言を呈されて謝罪を繰り返している。
けれど今日の遥人は反省の色を示さない謝罪を許してはくれなかった。
「ごめんっていいながら改善してくれないじゃないですか。隆則さんが何を考えているかわかってますよ。でもね、俺だって働いているし、そんなに薄給じゃないつもりです」
公認会計士の資格を大学在学中に取得し、今は外資系の監査法人に勤めている遥人の手取りは、同年齢の平均よりもずっと高いのは知っている。けれど実家に仕送りをしているし、いつも身綺麗にしなければならない分、費用だって嵩むだろう。そんな遥人に寄りかかるのは十五も年上の隆則のプライドの問題だ。
いつだって頼れる相手でいたい。
家事を全部して貰っているのだから、これくらいは。
だから余計に、無理な働き方は止めてくれと言われて素直に頷けない。
「わかっている」
僅かに唇を尖らせて視線を落とした。
「本当にわかっているんですか? 本当に倒れてしまいますよ、こんな働き方を繰り返したら。……そうだ、もう無茶な働き方ができないようにすればいいんだ」
険しくなる表情が、名案を思いついたと輝いた。
「ど……どうやって」
不穏な空気を感じて隆則は逞しい膝の上から逃れようと腰を動かしたその瞬間、後ろから肩を押さえつけられた。
「ひっ……え?」
二人だけの部屋のはずなのに第三の存在に隆則は慌てて後ろを振り向こうとしたが、すぐに遥人に頬を大きな手で包まれ阻まれた。
うなじをキスされる。
「は、ると?」
「安心して、怖がらないで。隆則さんがもう無茶な仕事をしないように二人でたっぷりと可愛がるだけですから」
「だ……誰?」
いつも隆則に自分以外に目移りするなと訴え、視界を塞ぐために口づけてきた。かつて身体だけの関係にあった矢野にすら嫉妬する遥人がこの部屋に他の男を呼んだのだろうか。そんなはずはない……と考えている間に方に置かれた大きな掌が背中を優しいタッチで撫で下ろしていきゾクリと身体が震えた。
「ぁ……んんっ! は、遥人っ」
「いつもみたいに、俺をトロトロにするキス、してください」
逃げようと唇を離すのに、また両手に顔を固定され濃厚なキスを与えられる。遥人をトロトロにするなんてできるはずがない。いつだって自分がドロドロにされて前後不覚になり、卑猥なことをすべて受け入れてしまうのだ。
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