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番外編
BL・キスの日なので自キャラで甘いキスシーン
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X(元Twitter)で行われた「BL・キスの日なので自キャラで甘いキスシーン 」に参加したときの作品です。
**************************
「ただいま、隆則さん」
「あっおかえり!」
パソコンから慌てて顔を離せばスーツ姿の遥人が扉を半分開けて顔を出してくれた。
また今日も帰る前に仕事を終わらせることが出来なかった。
「ちょっと待っててくださいね、すぐにご飯の用意しますから」
「あ……ぅん」
どうしていつもこの流れになるのかと悲しくなってしまう。出来れば自分が遥人のために夕食を用意して帰ってくるのを待ちたいのに、集中しすぎて時間を忘れてしまう。スケジュール管理が出来ていないと言われればそれまでだが、どうしてもうまくいかない。
今日こそはと頑張ったつもりだが、それでも遥人をもてなすことが出来なかった。
落ち込んで自分のだめっぷりに嘆息する。こうなったら夕食が出来るまでに終わらせてやるとさらに集中を深めた。
最後のコマンドを入力し、サッとコードミスがないかをさらうとリビングに出た。
もう食卓には美味しそうな料理が湯気を立て隆則を待っていた。
「仕事終わりました?」
「うん。後は納品するだけ」
目の前に味噌汁椀と炊きたてのご飯が置かれる。さっぱりとした和食が並び、出汁の匂いに食事を忘れていた胃が自己主張とばかりに音を鳴らす。
「良かった、隆則さんのお腹も喜んでくれてますね」
正直すぎる腹の音に赤面する隆則の頭頂部に「チュッ」と音を立てたキスをのせる。
「やっ……」
慌てて顔を上げれば、すぐさま開いた唇に厚みのある遥人のそれが塞いできた。
舌が潜り込んでくる。もう慣れた口吻に隆則もいつものように絡ませた。
大きな掌が身体をなぞる。
「ん……っ」
甘い音が鼻を通っていく。チュッと音を鳴らして離れていったのが淋しくて後を追うように舌が伸びる。あやすようにそれにもチュッとキスをしてからスッと背筋を伸ばした。
「ご飯、先にしましょう。食べ終わったら一緒にお風呂に入って、それからたっぷりまたしましょう」
なにを、なんて言う必要はない。仕事明けのいつもの愛情確認。
「……あんまりするな、明日仕事だろう」
「わかりました、俺は軽くいますね。その代わり、最初からメス達きさせますから覚悟してください」
「なっ!」
勝手に真っ赤になる顔を隠せなくて、隆則は固まった。想像しただけでもう分身が形を変えてしまっている。
「食べましょう、隆則さん」
箸を取り遥人が涼しい顔で「いただきます」と食べ始めた。自分ばかりが意識させられて悔しい。赤い頬のまま食事を始めるが味がよくわからない。
「そんなに緊張しないでください、あとでちゃんと隆則さんを食べますから」
「うるさいうるさいうるさいっ! 今日は絶対にしない!」
子供っぽく反論しても知っている、その唇がこの肌を這えばすぐにでも欲しくなってしまうことを。
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「ただいま、隆則さん」
「あっおかえり!」
パソコンから慌てて顔を離せばスーツ姿の遥人が扉を半分開けて顔を出してくれた。
また今日も帰る前に仕事を終わらせることが出来なかった。
「ちょっと待っててくださいね、すぐにご飯の用意しますから」
「あ……ぅん」
どうしていつもこの流れになるのかと悲しくなってしまう。出来れば自分が遥人のために夕食を用意して帰ってくるのを待ちたいのに、集中しすぎて時間を忘れてしまう。スケジュール管理が出来ていないと言われればそれまでだが、どうしてもうまくいかない。
今日こそはと頑張ったつもりだが、それでも遥人をもてなすことが出来なかった。
落ち込んで自分のだめっぷりに嘆息する。こうなったら夕食が出来るまでに終わらせてやるとさらに集中を深めた。
最後のコマンドを入力し、サッとコードミスがないかをさらうとリビングに出た。
もう食卓には美味しそうな料理が湯気を立て隆則を待っていた。
「仕事終わりました?」
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「良かった、隆則さんのお腹も喜んでくれてますね」
正直すぎる腹の音に赤面する隆則の頭頂部に「チュッ」と音を立てたキスをのせる。
「やっ……」
慌てて顔を上げれば、すぐさま開いた唇に厚みのある遥人のそれが塞いできた。
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大きな掌が身体をなぞる。
「ん……っ」
甘い音が鼻を通っていく。チュッと音を鳴らして離れていったのが淋しくて後を追うように舌が伸びる。あやすようにそれにもチュッとキスをしてからスッと背筋を伸ばした。
「ご飯、先にしましょう。食べ終わったら一緒にお風呂に入って、それからたっぷりまたしましょう」
なにを、なんて言う必要はない。仕事明けのいつもの愛情確認。
「……あんまりするな、明日仕事だろう」
「わかりました、俺は軽くいますね。その代わり、最初からメス達きさせますから覚悟してください」
「なっ!」
勝手に真っ赤になる顔を隠せなくて、隆則は固まった。想像しただけでもう分身が形を変えてしまっている。
「食べましょう、隆則さん」
箸を取り遥人が涼しい顔で「いただきます」と食べ始めた。自分ばかりが意識させられて悔しい。赤い頬のまま食事を始めるが味がよくわからない。
「そんなに緊張しないでください、あとでちゃんと隆則さんを食べますから」
「うるさいうるさいうるさいっ! 今日は絶対にしない!」
子供っぽく反論しても知っている、その唇がこの肌を這えばすぐにでも欲しくなってしまうことを。
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