おじさんの恋

椎名サクラ

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本編1

11-3

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「可愛い……ここじゃ声、響きますもんね」

 分かってるなら煽るなと叫びたくても、煽られて漏れる甘い声を抑えるのに必死で噛み過ぎて少しばかり厚くなった唇をまた噛んだ。

 ここではしたくない。だからと言って拒める言葉を漏らすこともできない。一度でも拒んだら嫌われるのではないかと怖くて口にできない。

「ここも綺麗にしておきましょうね」

 たっぷりと胸の粒を苛んでいる遥人の片手がへこんだ腹を通って足の間に入る。もう何度も彼を受け入れた場所が久しぶりに擽られた。

「こっここで?」

「ちょっとだけです」

 嬉しそうな声で応え、遠慮なく潜り込んできた。

「んんっ」

 最初から二本も挿れられ、ゆっくりとお湯を纏わりながら挿ってくる。一週間前まで朝も夜も遥人を受け入れていた蕾は嬉しそうにそれを頬張ってはもっと奥へと導くように広げようとしている。僅かにできた仕事の合間にプロに相手してもらっていた今までとは違う充実したセックスライフのせいか、以前より準備に時間をかけなくてもするりと受け入れてしまう。

 隆則の身体に慣れた指はどこを弄れば甘く溶かせるかを知っていて、一週間ぶりの交情の準備にしては容赦なく感じる場所を突き始めた。

「はぁっ……んんんん!」

 その間も左の胸の粒は節張った指に転がされ続けている。

 なにかを掴んでないと溺れてしまいそうで、バスタブの淵と遥人の逞しい左腕を掴んでは力いっぱい握りこむ。

(感じちゃだめだっ!)

 すぐに気持ちよくなってみっともない自分を律したいのに、そこを突かれるとセーブすることなどできない。一度も触れられていない分身がどんどん硬くなってはお湯の中で緩慢に跳ねる。

「気持ちいいですか、隆則さん? あーやっぱり噛んでる」

 ちらりと顔を覗き込んできた遥人は、いつものように硬く目を閉じ声を堪える姿に不満そうな声を零す。

「これからは声出したくなかったら『キスして』って言ってください。そしたら俺、声全部吸い取りますから」

「むり……ひっそこっ!」

 言うことを聞かないお仕置きとばかりに胸の粒に爪が立てられ悲鳴が上がる。

「約束、してください」

「わ、かったから……痛いのは……」

「はい、隆則さんが約束守ってくれるなら痛いことしませんから」

「ほんとうに?」

「気持ちいいことだけします、約束します」

「うん……き……キスして」

「よく言えました」

 隆則の顔を仰け反らせると厚みのある唇が今にも甘い声を漏らしそうになっている唇を塞いだ。胸の粒と蕾をまた可愛がりはじめ、彼が満足するまで遥人の口内へと甘い声を零し続けた。感じすぎてくったりとなっている身体をバスタブの外へと出されると、両手で縁を掴むよう指示され、蕾にシャワーが押し当てられた。

「ひっ……ぁぁぁっ!」

 たっぷりと指で鳴らされ解れた蕾にお湯が勢いよく入り込んでくる。

「じ、じぶんでやるっ!」

「ダメです、隆則さんのこと全部俺がやりたいんです」

 腰を固定されシャワーのお湯と共に指がまた挿ってきた。何度も中をグリグリとかき回し、蕾を大きく広げてお湯を出すことを何度も繰り返される。こうしないとダメと言ったのは確かに隆則だ。遥人が変な病気になってしまうからとセーフセックスを勧めてコンドームを着けるようお願いしたが、「嫌です」とあっさり一蹴された。ならばとこうしなければそのままの挿入は無理だとわざと汚いことを口にしたのに、あっさりと快諾し、しかも自分がやると言い始めた。

 こんなやり取りをするのは何回目だろうか。

 覚えられないくらいしては、彼の手を受け入れてしまい、風呂場から出るころには自分では立てなくなっていた。大判のタオルで包み込まれ、当たり前のように遥人の部屋へと運ばれる。掛け布団を蹴って広げたスペースに慎重に下ろされるとすぐに覆いかぶさってきた。

「するの、一週間ぶりですね。めちゃくちゃ嬉しい」

 チュッと口づけるとまた風呂場の行為の続きが開始される。フロアで一番端の部屋は隣がない分、好きなだけ声を上げろとばかりに動きも大胆になる。

「ぁぁっ……みっ……はるとぉぉ、きすっして!」

 三本に増えた指に翻弄されながら胸の粒を舌と歯列で苛んでくる遥人の髪を掴みながら何度もお願いするが、風呂場と違って聞き入れてもらえない。それどころか名字で呼びそうになった仕置きとばかりに散々弄られ尖った胸の粒を甘く噛まれる。

「ひゃっ……ぁぁぁぁぁ、そこだめだめだめっ!」

「指だけで達っちゃいそうですか?」

「いく……の、やだぁ」

「気持ちいいの、好きでしょ?」

「やだっ!」

 自分ばかり達かされては後が辛いのだ。遥人と違って何回も達けないからこそ、双球が空っぽになっても感じさせ続けるセックスに頭がおかしくなってしまいそうで怖い。

「くちっ、口でするからぁ」

「……わかりました」

 仕方ないとばかりに指を抜いた遥人は起き上がろうとする隆則を制し、遥人は隆則の足を大きく開かせると迷わず大きく勃ち上がった分身を口に含んだ。

「なっやめ! ぁぁダメそれっ……ぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 ねっとりとした口内の熱さと容赦ない吸引に隆則は声を上げながら腰を震わせた。同時にまた胸の粒を両方摘ままれ口淫されたまま苛んでくる。

「ぃやぁぁ、やめてっ! はるとやめてぇぇぁっ」

 感じやすい裏筋を擽るように舌先で舐められながら頭が上下してくる。パンパンに張って血管まで浮いてる分身にはひとたまりもなかった。シーツをめちゃくちゃに掴みながら抗議の声を上げても甘い音がどうしてもそのあとに続く。遥人の口を汚してしまう恐怖と、強烈な快楽に苛まれながら、隆則は声を押さえられず、ひたすら気持ちよさに啼くしかなかった。どんなに我慢してもくびれやパクパクと開く先端の穴を擽られてはひとたまりもない。先に一度達かそうとした隆則は促されるような動きに耐えられず、そのまま腰を何度も跳ねさせては遥人の口に蜜を吐き出すのだった。

「ぁっ……ごめん……」

 コクンと喉を鳴らしながら蜜を飲み込んだ遥人は顔を上げると、弛緩して指一本動かせずだらしなくベッドに横たわる隆則の姿に目を細めた。口角を上げとても嬉しそうに見つめてくるのが恥ずかしくて顔を隠したいのにそれすらできない。

「可愛い声、聴かせてくれてありがとうございます。今欲しいものあげますね」

 チュッと頬に口づると、遥人は嬉しそうに細い足を持ち上げ露になった蕾に己の欲望を押し当てた。

 お湯で綺麗に洗われたそこにヌルっと太くて長いのが挿っていく。

「っぁ、まだだめっ」

 まだ余韻に浸っている時に気持ちよくさせられると一瞬にして頭の中が真っ白になる。それを知ってか知らずか、遥人は最初から隆則を悦ばせようといい場所ばかりを狙って腰を動かし始めた。

「ゃぁぁぁぁっそこばっかりぃぃぁぁ」

「こうするとめちゃくちゃ気持ちいいんですよね」

「ぃぃっ……ゃだぁぁぁぁ」

 どうしてもそこで感じさせたいのか、またもや胸の粒を弄られ始める。今度は少し乱暴に強く捏ねながら先端を爪でひっかいてくる。

「ひっ……ぁぁぁっ!」

 達ったばかりなのにあの脳をおかしくさせる電流が背筋をそって駆け上っていく。何度も何度も走り抜けては思考をショートさせようとして、抵抗しなくてはと思っても相手が遥人だからか一層身体は喜んで中の欲望を締め付けていく。一突きごとに力を失った分身が振り子のように揺れるほど強く内部を苛まれて、隆則は声を押さえられなくなった。

「ゃぁぁきっ、きすぅぅ」

「だぁめっ……また達ったら好きなだけしますからっ声、聴かせてください」

「ぁぁぁぁぁっへん、へんになるぅっ」

 一週間ぶりのセックスに悦ぶ身体と戸惑う心がばらばらに動いて一層隆則をおかしくさせていく。怖いと泣き言をいっても許してもらえず、弄られ続けている胸の粒がジンジンと熱くなるまでひたすら啼かされ続けた。気持ちいい場所ばかりを突いてくる欲望をそのたびに締め付けては自らもっと強く当たる角度に腰を動かしていることも知らず、やめてと懇願しながら気持ちいいと啼き、若い恋人に翻弄され続けた。ようやく望んだ口づけを与えられたのは、二度目の蜜を吐き出し、奥に遥人の蜜を受け止めた後だった。

 啼きすぎて乾いた唇を舐められてから合わさった唇は強引に遂情の後の荒々しい呼吸を吸い取りながら舌を絡めてくる。応えるように自分も舌を伸ばせば遥人の口内に吸い取られ甘く噛まれる。

「ぁ……」

 それだけなのに、達ったばかりの分身のその奥がギュッと窄まる。

「またそうやって煽る……だから隆則さん抱きつぶしそうになるんですよ」

「ちがう……」

 煽ってるのだろうか。本当はこうして抱かれるのが嬉しくてもっとして欲しがっているのだろうか。

「うそ、俺のギュウギュウに締め付けてますよ。またして欲しいんですよね」

「ちがっ、ぁ……」

 若いせいなのかすぐに硬くなる欲望に収縮の収まった蕾がまた開かれ無意識に締め付けてはそれが脈打ち太くなるのを感じて甘い声を零す。

「この中に俺のが挿ってるんだ」

 下腹部を押され、硬くなった欲望の感触がまじまじと伝わってくる。その上動き始めるから押されている分、一層その隆起が伝わってくる。

 再び口づけを受けながら始まる胸の粒と最奥への苛みに啼きながら、彼が満足するまで相手をさせられた。

 これから仕事が終わるたびにこうして抱かれるのだろうか。甘い期待に震えながらただ快楽に流され続けるのだった。
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