104 / 110
書籍化記念
Happy Lovely Christmas 19
しおりを挟む
思わず恥ずかしくなり身体を隠すようにシーツを引き寄せたが、半身を覆う前に留められ、覆い被さってくる。
「今日の朔弥はいつもよりも恥ずかしがり屋だね。昔のことを思い出したのかい?」
「……いじわるです」
わかっていて訊ねる。
甘く爽やかなオレンジのカクテルを呼び水にして、この一年半を一緒に過ごした部屋が新鮮に思えてしまうトリップにかかってしまっている。
なによりも、柾人と付き合ってから一度だって口にしなかったアルコールを今日出すなんて。
つい「ずるい」と言ってしまうが、酔って昔の感覚に囚われて抜け出せずにいるのは朔弥自身だ。あの頃の、何も知らない身体には戻れないというのに、初めて彼とベッドを共にしたときと同じように恥ずかしくてしょうがない。
「では初めての時のように丁寧に抱かないとね」
チュッと唇を吸われ、またぬるりと挿ってきた。舌を掬い上げられれば、もう馴染んだ甘さを求めて自ら這わせていく。絡まれば気持ちよくて、夢中になる。こんなキスだって本当に一月ぶりだ。唇が触れ合うだけのキスばかりを繰り返し、本当は物足りないと感じていたのだ。
もっと求めてほしい。自分を欲してほしい。
理性なんてかなぐり捨てて貪ってほしい。
そう願う自分は、卑怯だとも知っている。すべてを柾人に委ね自分では動かなかったあの頃を知っているのに、今でも変わらず心を向けてくれるのが嬉しい。
こんな柾人だから彼のために何かをしたいと熱く願い続けた。
自分に差し出せるのはこの身体だけだと思っていたが、あの頃と違うのが嬉しい。
(もうすぐだ……オレの全部を本当に柾人さんに渡せる)
すべての時間を彼のために費やすことができる。
それが嬉しいのに、どうしてか今日は恥ずかしさが拭えない。もっと弄ってほしくてしょうがない最奥の蕾が疼き、早く彼の欲望に貫かれたいのに、ねだれない。
キスに必死になることで自分を誤魔化すが、確実に腹の奥の熱は上がっていく。
早く解放したい。早く気持ちよくなりたい。
そんな気持ちを込めてキスを深くすれば、心得たように柾人の手がサイドチェストの抽斗に伸びた。中に入っている透明なボトルを取り出すと、身体を反転し朔弥を逞しい身体の上に乗せた。口付けを解かず。
夢中になって彼の唇を貪る朔弥の舌を甘く噛みながら、たっぷりとローションで指を濡らし、露わになった蕾に近づけた。
「んんっ! あっ」
ぬるりと挿ってきたのは先程よりも多い指。仰け反って離れた唇から零れた。
「今日の朔弥はいつもよりも恥ずかしがり屋だね。昔のことを思い出したのかい?」
「……いじわるです」
わかっていて訊ねる。
甘く爽やかなオレンジのカクテルを呼び水にして、この一年半を一緒に過ごした部屋が新鮮に思えてしまうトリップにかかってしまっている。
なによりも、柾人と付き合ってから一度だって口にしなかったアルコールを今日出すなんて。
つい「ずるい」と言ってしまうが、酔って昔の感覚に囚われて抜け出せずにいるのは朔弥自身だ。あの頃の、何も知らない身体には戻れないというのに、初めて彼とベッドを共にしたときと同じように恥ずかしくてしょうがない。
「では初めての時のように丁寧に抱かないとね」
チュッと唇を吸われ、またぬるりと挿ってきた。舌を掬い上げられれば、もう馴染んだ甘さを求めて自ら這わせていく。絡まれば気持ちよくて、夢中になる。こんなキスだって本当に一月ぶりだ。唇が触れ合うだけのキスばかりを繰り返し、本当は物足りないと感じていたのだ。
もっと求めてほしい。自分を欲してほしい。
理性なんてかなぐり捨てて貪ってほしい。
そう願う自分は、卑怯だとも知っている。すべてを柾人に委ね自分では動かなかったあの頃を知っているのに、今でも変わらず心を向けてくれるのが嬉しい。
こんな柾人だから彼のために何かをしたいと熱く願い続けた。
自分に差し出せるのはこの身体だけだと思っていたが、あの頃と違うのが嬉しい。
(もうすぐだ……オレの全部を本当に柾人さんに渡せる)
すべての時間を彼のために費やすことができる。
それが嬉しいのに、どうしてか今日は恥ずかしさが拭えない。もっと弄ってほしくてしょうがない最奥の蕾が疼き、早く彼の欲望に貫かれたいのに、ねだれない。
キスに必死になることで自分を誤魔化すが、確実に腹の奥の熱は上がっていく。
早く解放したい。早く気持ちよくなりたい。
そんな気持ちを込めてキスを深くすれば、心得たように柾人の手がサイドチェストの抽斗に伸びた。中に入っている透明なボトルを取り出すと、身体を反転し朔弥を逞しい身体の上に乗せた。口付けを解かず。
夢中になって彼の唇を貪る朔弥の舌を甘く噛みながら、たっぷりとローションで指を濡らし、露わになった蕾に近づけた。
「んんっ! あっ」
ぬるりと挿ってきたのは先程よりも多い指。仰け反って離れた唇から零れた。
3
お気に入りに追加
4,260
あなたにおすすめの小説
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
魔王討伐後に勇者の子を身篭ったので、逃げたけど結局勇者に捕まった。
柴傘
BL
勇者パーティーに属していた魔術師が勇者との子を身篭ったので逃走を図り失敗に終わるお話。
頭よわよわハッピーエンド、執着溺愛勇者×気弱臆病魔術師。
誰もが妊娠できる世界、勇者パーティーは皆仲良し。
さくっと読める短編です。
エリートアルファのできちゃった結婚
椎名サクラ
BL
アルファの菅原玄(すがわらげん)はアルファ校の先輩である桐生(きりゅう)の帰国の知らせを受けて、一緒に飲むことになった。最愛の末弟である碧(あおい)の個展が桐生の会社の関連で行われると知ったからだ。だが再会の席で酔いつぶれ間近の玄に桐生が告白してきた。初めて会った時から自分のものにしたかったと。拒否しようとするがそのままホテルの一室に連れ込まれ押し倒されてしまう。抗う玄に桐生は無理矢理に身体を繋げ、玄をビッチングするのだった。
アルファ×アルファ(のちにオメガ)の妊娠→結婚の話です。
「深窓オメガのお見合い結婚」で登場した長兄の話です。
一輝と碧もちょこちょこ登場します。
※エッチは予告なしで入ってきます。
※オメガバース設定ですが色々と作者都合で改ざんされております。
※受けが終始ツンツンする予定です。
※ムーンライトノベルズ様と同時掲載となっております。
不定期更新です、ご了承ください。
更新情報はTwitterで呟いています。
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。