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書籍化記念
Happy Lovely Christmas 10
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「諦めていなかったんですか!?」
昨年の夏にもこのやりとりをしたがけんもほろろに却下された全自動掃除機を前に泣きそうな顔になる朔弥が、悲痛な声を出した。
「でもあの時とは状況が違うだろう。朔弥が咲子様の所に行ったり資格の勉強をしたりして、家事に時間をかけると食事を抜くだろう。その上、今はミーがいるんだ。抜け毛を気にしてまめに掃除をしているのを知っている」
朔弥が連れてきた猫だからと、柾人に迷惑をかけないよう彼女の生活範囲を丁寧に掃除しているのを知っている。気にすることはないと何度も告げたが、頑として譲らず気を遣うのだ。
「けれど、ミーはもう私たちの家族だ。抜け毛なんて当たり前だし、これから社会人になるのならもっと手が行き届かなくなる。ならば任せられる部分は機械に任せれば良いと思うが、どうだい?」
もう柾人の中でミーは家族であり、部屋が汚れるのは当たり前だと思っているが朔弥は負担を掛けていると感じているらしい。ゆっくりと頑なな心を解きほぐすように、自分の気持ちを言葉に乗せていく。
「でもミーは……」
「朔弥が連れてきた私たちの娘だろう。あの子のおかげで私は毎日が楽しい。どんなに遅く帰っても、必ず出迎えてくれるからね」
自分にも必要な存在だと伝えれば、躊躇う表情へと変わる。ならばと後押しをする。
「ではこれはミーへのクリスマスプレゼントにしよう。それなら朔弥も許してくれるかな?」
「……ずるいです」
これをミーのプレゼントにしたら必ずまた朔弥のために別のプレゼントを用意する柾人の性格を熟知している彼は、やっと白旗を揚げた。
「わかりました。でもこっちの安いのにしてください」
「おや、こちらのシリーズは水拭き機能が一体化している。こっちの方が便利じゃないか?」
「もうっ、すぐにそうやって高い方を買おうとしないでください」
「けれどせっかく買うのなら、良い物を長く使った方が経済的だろう」
次第に高スペックへと誘導し、当初から目星を付けていたランクの商品購入へとこぎ着ける。さすがに家電をプレゼントするのは、これでいいのかと思わなくもないが、朔弥がアクセサリーにもブランドにも興味がないのでは致し方ない。最後に近くのペットショップへと寄り、ミーへの低カロリーのおやつを購入して終了だ。
「今日だけでどれほどのお金を使ったんですか?」
「いつも言っているだろう。プレゼントの金額を聞くのは無粋だと。私が朔弥とミーに贈りたいんだ。もう以前のように記念日でもないのに散財したりしていないだろう?」
昨年の夏にもこのやりとりをしたがけんもほろろに却下された全自動掃除機を前に泣きそうな顔になる朔弥が、悲痛な声を出した。
「でもあの時とは状況が違うだろう。朔弥が咲子様の所に行ったり資格の勉強をしたりして、家事に時間をかけると食事を抜くだろう。その上、今はミーがいるんだ。抜け毛を気にしてまめに掃除をしているのを知っている」
朔弥が連れてきた猫だからと、柾人に迷惑をかけないよう彼女の生活範囲を丁寧に掃除しているのを知っている。気にすることはないと何度も告げたが、頑として譲らず気を遣うのだ。
「けれど、ミーはもう私たちの家族だ。抜け毛なんて当たり前だし、これから社会人になるのならもっと手が行き届かなくなる。ならば任せられる部分は機械に任せれば良いと思うが、どうだい?」
もう柾人の中でミーは家族であり、部屋が汚れるのは当たり前だと思っているが朔弥は負担を掛けていると感じているらしい。ゆっくりと頑なな心を解きほぐすように、自分の気持ちを言葉に乗せていく。
「でもミーは……」
「朔弥が連れてきた私たちの娘だろう。あの子のおかげで私は毎日が楽しい。どんなに遅く帰っても、必ず出迎えてくれるからね」
自分にも必要な存在だと伝えれば、躊躇う表情へと変わる。ならばと後押しをする。
「ではこれはミーへのクリスマスプレゼントにしよう。それなら朔弥も許してくれるかな?」
「……ずるいです」
これをミーのプレゼントにしたら必ずまた朔弥のために別のプレゼントを用意する柾人の性格を熟知している彼は、やっと白旗を揚げた。
「わかりました。でもこっちの安いのにしてください」
「おや、こちらのシリーズは水拭き機能が一体化している。こっちの方が便利じゃないか?」
「もうっ、すぐにそうやって高い方を買おうとしないでください」
「けれどせっかく買うのなら、良い物を長く使った方が経済的だろう」
次第に高スペックへと誘導し、当初から目星を付けていたランクの商品購入へとこぎ着ける。さすがに家電をプレゼントするのは、これでいいのかと思わなくもないが、朔弥がアクセサリーにもブランドにも興味がないのでは致し方ない。最後に近くのペットショップへと寄り、ミーへの低カロリーのおやつを購入して終了だ。
「今日だけでどれほどのお金を使ったんですか?」
「いつも言っているだろう。プレゼントの金額を聞くのは無粋だと。私が朔弥とミーに贈りたいんだ。もう以前のように記念日でもないのに散財したりしていないだろう?」
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