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書籍化記念
Happy Lovely Christmas 7
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プロの目にはこのように映るのかと感心していると、朔弥の縋るような眼差しに気付いた。本当にこれが自分に似合うのかと不安になっているのだろう。モデルは細身の外国人だから余計だ。
「確かに朔弥に一番似合う形だな」
「そう……なんですか?」
不安の色をふんだんに含んだ、あの嗜虐性を揺さぶる視線で見つめられ、腹の奥がゾクリと疼く。こんな目で男を見上げてはいらぬ妄想を掻き立てるのだと教えなければと思い、同時にこの目で縋られた時の言いようのない優越感を味わい続けたいと願う。世界の中で彼が頼れるのは自分だけだと、支配者のような気分になる。
(相変わらずだ……近頃不安がる朔弥を見なかった分、強烈だな)
今年から蕗谷社長の母である咲子が運営するNPO法人で、経営を学び始めてから弱みを見せるような表情を出さなくなった。だがプライベートでさらに慣れない場ということもあって、鳴りを潜めていた自己肯定感の低さからくる不安を滲ませた眼差しは、柾人を存分に興奮させた。
興奮をさせるような仕草はもう少し後にして欲しいなと心で呟いて、彼を安心させる笑みを浮かべる。
「ほんの僅かな違いだが、朔弥にはぴったりだと私は思うよ。その形だったらチェンジポケットをつけ、ラインは斜めに入れた方が良いだろう」
「さようでございますね。チェンジポケットをつけますと、ハイウエストに見えてより山村様のスタイルの良さが強調しますね。ではお袖は……」
大丈夫だ、安心しろと袖を掴んだままの朔弥の手を、空いている手で上から包み込み安心感を与える。
スーツに関する知識がない朔弥が意見を出さないので、オーナーと二人で次々と決めていく。
形がおおよそ決まれば次は生地選びだ。豊富な生地が並べられている棚へと向かい、朔弥に似合う明るいグレーを何パターンか肩にかけ顔写りを見てから決めていく。
「仕事でお使いであれば、丈夫なイギリス製の生地の方がよろしいでしょう。少し厚みはありますが丈夫でございます」
「そう……ですね」
イタリア製の柔らかい生地よりもごわついた厚みのある生地を勧められるがままに朔弥も頷いていく。
それが終われば採寸だ。さすがに別室で行われるので柾人は立ち会うことができないがゆっくりとオーナーが示したデザインを見つめ、頭の中で想像を掻き立てていく。細いウエストを強調したジャケットのラインに、ノータックスのトラウザーズはあえて裾を折り返すことでクラシカルな印象を強めて全体を引き締めさせている。
「確かに朔弥に一番似合う形だな」
「そう……なんですか?」
不安の色をふんだんに含んだ、あの嗜虐性を揺さぶる視線で見つめられ、腹の奥がゾクリと疼く。こんな目で男を見上げてはいらぬ妄想を掻き立てるのだと教えなければと思い、同時にこの目で縋られた時の言いようのない優越感を味わい続けたいと願う。世界の中で彼が頼れるのは自分だけだと、支配者のような気分になる。
(相変わらずだ……近頃不安がる朔弥を見なかった分、強烈だな)
今年から蕗谷社長の母である咲子が運営するNPO法人で、経営を学び始めてから弱みを見せるような表情を出さなくなった。だがプライベートでさらに慣れない場ということもあって、鳴りを潜めていた自己肯定感の低さからくる不安を滲ませた眼差しは、柾人を存分に興奮させた。
興奮をさせるような仕草はもう少し後にして欲しいなと心で呟いて、彼を安心させる笑みを浮かべる。
「ほんの僅かな違いだが、朔弥にはぴったりだと私は思うよ。その形だったらチェンジポケットをつけ、ラインは斜めに入れた方が良いだろう」
「さようでございますね。チェンジポケットをつけますと、ハイウエストに見えてより山村様のスタイルの良さが強調しますね。ではお袖は……」
大丈夫だ、安心しろと袖を掴んだままの朔弥の手を、空いている手で上から包み込み安心感を与える。
スーツに関する知識がない朔弥が意見を出さないので、オーナーと二人で次々と決めていく。
形がおおよそ決まれば次は生地選びだ。豊富な生地が並べられている棚へと向かい、朔弥に似合う明るいグレーを何パターンか肩にかけ顔写りを見てから決めていく。
「仕事でお使いであれば、丈夫なイギリス製の生地の方がよろしいでしょう。少し厚みはありますが丈夫でございます」
「そう……ですね」
イタリア製の柔らかい生地よりもごわついた厚みのある生地を勧められるがままに朔弥も頷いていく。
それが終われば採寸だ。さすがに別室で行われるので柾人は立ち会うことができないがゆっくりとオーナーが示したデザインを見つめ、頭の中で想像を掻き立てていく。細いウエストを強調したジャケットのラインに、ノータックスのトラウザーズはあえて裾を折り返すことでクラシカルな印象を強めて全体を引き締めさせている。
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