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書籍化記念

柾人が嫉妬をした夜は14

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「我慢しているときにそんなことを言ったらどうなるかわかっただろう」

 柾人が何を言っているかわからない。低い声が近いこと以外は。

 なかなか絶頂の最中から抜け出すことができない朔弥だが、欲望がずるりと抜けていくのだけは生々しく感じられた。

(やだっ抜かないで……)

 思っていても動かない身体では引き留めることなんてできるはずもなく。

 支えをなくした身体はスプリングの効いたマットレスに突っ伏した。

 内股の痙攣が止まらず、柾人を受け入れて拓いた蕾も収縮を繰り返している。

 身体をずらされ、爪先が床に着く。腰を高く抱きかかえ上げられ何をされるかわかっても、言葉が出てこない。

 またずるりと力を持ったままの欲望が挿ってきた。

「ぁ……っ」

 朔弥が一番狂ってしまう体位で啼かせようとしている。

 上体を抱き起こされ背中が温かく逞しい胸に包み込まれた。

 たらりと垂れた手がシーツの上を滑り宙に浮く。

 ズンッと下から突き上げられ、嬌声も放てないまま身体を強張らせた。爪先立ちのまま柾人のされるがままになる。

 一度絶頂を迎えた身体はすぐにでもまた、あの強烈な愉悦へと押し上げられてしまう。麻痺してしまった脳はもうそれを欲することしか考えられず揺さぶられてはきついくらいに柾人の欲望を締め付けていく。

 この体位で感じてしまうのは、分身の裏にある感じる場所をきついくらいに擦られるだけじゃない。初めて柾人がこの身体で達ってくれた時を思い出すからだ。

 怖がる朔弥を慮って欲情を我慢した柾人に湧きあがった愛おしさが何度も思い出され、より狂わせてくるのだ。あの頃から自分はこの人に大事にされているんだと心も身体も溶けてしまう。そして愛していると口にする代わりに狂うほどに感じてしまう。

 今日はそれが一層強くて、しかも最奥のさらに奥を拓かれてしまったから余計におかしくなる。

「も……だめぇぇぇぇおかしくなるっへん、へんなの……きちゃっ……やぁぁぁぁぁぁぁ」

 自分が何を言ってるかもわからないほど狂い、揺すられるがままになる。何度も絶頂を迎え、立ってることもできない。柾人が抱きしめてくれなければその場に崩れ落ちていただろう。膝はガクガクしてもう自立なんて無理だ。

 それでも柾人は離そうとはせず、以前に比べて長い時間苛んでくる。

 このままでは本当に狂ってしまう。

 でも、それでいい。

 こんな風に激しく求められれば、それだけ愛されていると感じるから。

 柾人も自制できないくらい自分を欲しているのが嬉しくて、身体も心も歓喜で震え続ける。
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