54 / 110
第二章
15-4
しおりを挟む 1階に下り、渡り廊下を通って中央棟へ急ぐ。
幸い、広いロビーにも事務室にも人の気配はない。
正面玄関のガラス戸を通して、厚い雲に覆われた空が見える。
どうやら雨が降り出したようで、ガラスにどんどん水滴がついていく。
一気に暗さを増した外界は、まるで余裕をなくした杏里の心象風景のようだ。
下駄箱の列の隅が、アイテムを隠した来客用コーナーだった。
隠してあったタオルで裸身を拭くと、まず乳首と陰部にロイヤルゼラチンを塗り込んだ。
その上から薄いピンクのブラとパンティ、そして黒いパンティストッキングを身につけると、下着の上から白のブラウスを羽織り、黒のタイトミニを穿く。
仕上げにフレームの細い銀縁眼鏡をかけると、杏里は社会人になったばかりのOLそのものの格好になった。
久しぶりに衣服で肌を隠すことができ、少しほっとした気分だった。
着替えを済ませ、ホールの大鏡の前でポーズをとってみる。
悪くはなかった。
露出度の高いコスチュームだけでは飽きられてしまうだろうと、あえてセレクトした地味目のアイテムである。
が、成人女性並みに乳房と尻の発達した杏里には、ブラウスとタイトミニの組み合わせがよく似合う。
次のターゲットは教員たちだけに、このスタイルは有効なはずだった。
まあ、一部のロリコン教師には不評かもしれないけど…。
ふとそんなことを思うと、苦い笑いがこみ上げてきた。
職員室に行く途中で給湯室に寄り、水で性露丸マグナムの丸薬を喉に流し込む。
これも下駄箱に隠してあったものである。
残りはゴールである体育館の下駄箱に忍ばせてある一袋だけだから、今となっては貴重なエネルギー源だった。
塗り薬と飲み薬の両方が効いてくるのを待つ。
いい加減疲れ切っている身体の奥に火がともり、めらめらと燃え上がり始めるのがわかった。
乳首が勃起し、薄いブラジャーの生地を押し上げる。
一時乾きかけていた股の間のぬるぬる感も、また元に戻ってきたようだ。
覚悟を決めて、職員室の引き戸の前に立つ。
控えめにノックをすると、
「どうぞ」
校長の大山のバリトンが返ってきた。
「笹原君だね。待っていたよ。何の仕掛けもないから、安心してお入り」
半信半疑で戸を引いた。
視界に広がったのは、いつもの職員室の光景だ。
それぞれのデスクについて、教師たちがデスクワークにいそしんでいる。
ただひとつ普段と異なるのは、杏里を見る彼らのまなざしが、異様にぎらついて見えることだった。
一歩前に進み出ると、すぐ後ろで乱暴に引き戸が閉められた。
その音を合図にしたかのように、教師たちが椅子をずらして立ち上がる。
その時になって、ようやく杏里は気づいた。
普段と大きく異なる、もうひとつの点に。
デスクの陰から現れた、思わず眼を背けたくなるもの…。
教師たちは、老若男女問わず、全員下半身裸なのだった。
幸い、広いロビーにも事務室にも人の気配はない。
正面玄関のガラス戸を通して、厚い雲に覆われた空が見える。
どうやら雨が降り出したようで、ガラスにどんどん水滴がついていく。
一気に暗さを増した外界は、まるで余裕をなくした杏里の心象風景のようだ。
下駄箱の列の隅が、アイテムを隠した来客用コーナーだった。
隠してあったタオルで裸身を拭くと、まず乳首と陰部にロイヤルゼラチンを塗り込んだ。
その上から薄いピンクのブラとパンティ、そして黒いパンティストッキングを身につけると、下着の上から白のブラウスを羽織り、黒のタイトミニを穿く。
仕上げにフレームの細い銀縁眼鏡をかけると、杏里は社会人になったばかりのOLそのものの格好になった。
久しぶりに衣服で肌を隠すことができ、少しほっとした気分だった。
着替えを済ませ、ホールの大鏡の前でポーズをとってみる。
悪くはなかった。
露出度の高いコスチュームだけでは飽きられてしまうだろうと、あえてセレクトした地味目のアイテムである。
が、成人女性並みに乳房と尻の発達した杏里には、ブラウスとタイトミニの組み合わせがよく似合う。
次のターゲットは教員たちだけに、このスタイルは有効なはずだった。
まあ、一部のロリコン教師には不評かもしれないけど…。
ふとそんなことを思うと、苦い笑いがこみ上げてきた。
職員室に行く途中で給湯室に寄り、水で性露丸マグナムの丸薬を喉に流し込む。
これも下駄箱に隠してあったものである。
残りはゴールである体育館の下駄箱に忍ばせてある一袋だけだから、今となっては貴重なエネルギー源だった。
塗り薬と飲み薬の両方が効いてくるのを待つ。
いい加減疲れ切っている身体の奥に火がともり、めらめらと燃え上がり始めるのがわかった。
乳首が勃起し、薄いブラジャーの生地を押し上げる。
一時乾きかけていた股の間のぬるぬる感も、また元に戻ってきたようだ。
覚悟を決めて、職員室の引き戸の前に立つ。
控えめにノックをすると、
「どうぞ」
校長の大山のバリトンが返ってきた。
「笹原君だね。待っていたよ。何の仕掛けもないから、安心してお入り」
半信半疑で戸を引いた。
視界に広がったのは、いつもの職員室の光景だ。
それぞれのデスクについて、教師たちがデスクワークにいそしんでいる。
ただひとつ普段と異なるのは、杏里を見る彼らのまなざしが、異様にぎらついて見えることだった。
一歩前に進み出ると、すぐ後ろで乱暴に引き戸が閉められた。
その音を合図にしたかのように、教師たちが椅子をずらして立ち上がる。
その時になって、ようやく杏里は気づいた。
普段と大きく異なる、もうひとつの点に。
デスクの陰から現れた、思わず眼を背けたくなるもの…。
教師たちは、老若男女問わず、全員下半身裸なのだった。
14
作者の新作情報はX(twitter)にてご確認くださいhttps://twitter.com/shiina_sakura77
お気に入りに追加
4,261
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。