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第三章 魔力返還と罪 6

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「だめだっ魔力を戻したいんだろっ」

 腰が早められもっと奥を突いてくる。

「もうだめっだめだっ! へんなのが、くるっぁぁぁぁぁ!」

 エドゼルは瞠目し、そしてギュッと身体を硬くした。筋肉が硬直した次の瞬間、目を閉じても世界が真っ白になる。腰だけが魚のように大きく何度も跳ねる。強引なまでにエドゼルを苛んでいた長大な欲望から飛沫が勢いよく最奥へと迸ったのが感じられるが、何も考えられず、それすらも愉悦のように貪った。

 ずるりと欲望が抜けていく。解放された足はそのままだらりと寝台に落ち、内腿と下腹部が痙攣を繰り返した。

(なんだ……これは)

 頭すら犯されたような状態で、心だけが取り残される。これが交情だとするなら自分が今までしてきたのは一体何だったのか。

 何かを考えられたのはそこまでだった。

 注がれた白濁から何かが流れ込んできた。酷く懐かしいそれはゆっくりとエドゼルの身体に広がっていく。かつて自分の身体の中にあったものが、僅かだけ戻ってきたその感覚に、エドゼルはおかしくなった。

(もっと……もっと、欲しい)

 甘露も求める子供のように、飢え水を求める旅人のように、ひたすらそれを欲っすることしか考えられなくなった。

 力なく寝台に投げ出された足を立て、自分から臀部を開き先程までヒルドブランドの欲望を飲み込んでいた場所を晒す。恍惚とした表情のままで彼を見た。

「もっと、そそいでくれ……」

「貴方はっ自分が何を言っているのかわかっているのか!」

 わからない、ただもっともっと欲しくて震える身体を起こした。寝台に腰掛けたヒルドブランドへと這って近づき、力を失っても逞しさの残る欲望に手を伸ばした。

 ここから出されたあれをもっと浴びせて欲しくて、躊躇うことなく顔を近づけ舌を絡める。

「っ……何をするんだエドゼル」

「んっ……」

 咥え口内で育て上げるようにねっとりと這わせた。それだけでは足りず手でも根元を刺激していく。

 早く逞しくなれと必死で口淫し咥えられないほどまでにすると、うっとりとそれを見つめ縋り付くようにヒルドブランドの逞しい首に両手を絡めた。自らいきり勃った欲望の上に腰を落としていく。

「あぁっ、さっきのをもっと……」

 腰を揺らめかせ、自ら狂わせる場所が擦れるように腰を使っていく。

「きもちいい……もっとくれっ」

 酷く淫らなことをしている。相手がワルドーではないとわかっていても止めることができない。逞しい身体に胸の飾りが擦れるのすら気持ちよくて、愉悦だけを追っていく。

「なんて……淫らなんだっ、魔力を戻すとこうなってしまうのか」

 苦しそうに呻く声すら、耳に入らない。ただひたすらに愉悦を追いかけ、蜜を欲する。

 耐えられなくなったヒルドブランドが細腰を掴み乱暴に前後に揺らした。

「ぁぁいい! もっとだ、もっとくれっ」

 何をされても気持ちがよくエドゼルは本能のままに求め、悦んだ。下から突き上げられては嬌声を放ち、甘い声でねだる。

 再び最奥が飛沫を浴びれば、欲しかった感覚が身体に広がってエドゼルを狂わせる。麻薬のようにそれを求め、浴びせられれば媚薬のように身体が敏感になる。痛みを感じていたはずの胸すら指で弄られれば狂うほどに気持ちよくて、両方を同時に刺激されて遂情を伴わない絶頂を味わう。

 蜜を放出するのとは異なった長引く開放感は、回復を伴わない分、最奥を突かれればあっけなく再来する。

 自分がどんな格好をしてヒルドブランドを受け入れているのかすら認識できないほどに溺れ、最奥から蜜が溢れるほどに注ぎ込まれた。

 それでもまだ足りない。

 僅かに透けるほど白かった髪に色が戻っているのに、気付かぬままひたすら蜜を欲しがって求め続けた。

 痙攣する身体がどれほど満たされたと訴えても、乾きが癒えない。

「今日はここまでだ」

 横臥で後ろから満たしていたヒルドブランドが離れようとする。胸の飾りを弄っていた手が離れるのを厭い、力の入らない指で掴む。

「まだ……まだほしぃ」

 潤んだ目で見下ろすヒルドブランドを見つめた。いつの間にか外は暗くなり、部屋に光の魔法が灯されていた。どれほど長い時間、長大な欲望を咥え続けていたのかもわからない。蕾が閉じることを忘れてしまうほど抜かずにいたのに、まだ足りなかった。

 戦慄く膝を寝台に突き臀部を彼の顔へと近づける。もう上体を起こす力はない。腰も溶けたように重い。それでも、まだ欲した。
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