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第三章 魔力返還と罪 5

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「わかっているかエドゼル……ここが溶けて広がっているのが」

 わからない、何を告げられているのか。ただ今理解しているのは、自分が蕾を暴かれているのに悦んでいる事実だけだ。

 初めて知る愉悦に抗えず、ただただヒルドブランドの手に翻弄されていく。達ったばかりだというのにまた力を持った分身が、嬉しそうに揺れている。

「もう大丈夫だろう……」

 今までエドゼルを悦ばせていた指が抜けていく。

「ゃだっ、やだっ」

 思わず引き留める声を上げ、きついほどに蕾を窄める。自分がどれほど淫靡なことをしているとも知らずに。

 すぐに熱く質量を持った欲望があてがわれた。

 容赦なくするりと力を持って挿ってくる。

「ぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

 内臓が押し上げられるような感覚に悲鳴を上げる。だがヒルドブランドは容赦なく最奥までそれを突き挿れてきた。

「ぐっ……締め付けすぎだ……緩めろ」

 できない、身体が勝手に硬くなり自分をコントロールできなくなっている。いっぱいに広げられた蕾は悲鳴を上げ、その逞しさに戦慄いている。

 覆い被さってくるヒルドブランドは、勃ち上がったままの分身を握った。

「ひっ……やめてっやめてくれっ」

 掌に残る剣だこの凹凸に刺激され、扱かれればまたすぐに愉悦が大波のようにエドゼルに襲いかかる。意識がそこへと移り、また中の感じる場所を弄って欲しくなる。

 エドゼルは足に力を入れ腰を揺らめかせた。

 ズンッと中に挿っていたものが最奥を突いた。

「ぁぁっ!」

 衝動すらエドゼルを悦ばせる。締め付けから解放された欲望が抽挿を始める。硬くなった先端が力強くエドゼルを狂わせた場所を抉ってくる。

「やめて……やめてくれっおかしくなる、変になるっ!」

 一突きごとに背筋に痺れが走り、腹の奥をざわめかせる。気持ちよくておかしくなってしまいそうで、そんな自分が怖かった。止めてくれと懇願し、けれど腰はもっととヒルドブランドを煽っていく。

「初めてではないだろう……野営のテントの中でこれをくれとあいつにねだっていたじゃないかっ」

 抜けるギリギリまで引き出された欲望が、最奥めがけて纏わり付く内壁を掻き分け力強く挿ってくる。また痺れが駆け上がりエドゼルは仰け反った。男を恋人にしていてもこんな愉悦など知らない。一度も痛みを感じることなくそこに欲望を咥えるのが嬉しくて放せないと思うのも。

 いつだって早く満たされろと必死でワルドーを煽ってばかりだった。野営の間だってそれは変わらず、密かに白魔道士に回復させていたくらいだ。

 なのに。今は腰が溶けてしまいそうなほど気持ちいい。分身の裏だけでなく奥を突かれるのにも悦び、もっともっとと身体を揺らめかせてしまう。

 分身を扱く手の動きが早まり、エドゼルは悲鳴を上げながらまた蜜を放った。弧を描いて白くへこんだ腹に落ちていく。

「っ……なんて締め付けだ」

 達っている最中だというのにヒルドブランドは動きを止めず最奥ばかりを突いてきた。

「やめっ……またっまたかんじてしまう!」

 もうワルドーとの交情のような余裕がない。ひたすら煽られ押し上げられ、自分がどうなってしまうのかもわからなくなる。ひたすら怖かった。正気になる一瞬すら与えられずただただ乱されていく。

 襲い来る愉悦に翻弄されているエドゼルの足首を掴み、膝が身体に着くほど折り曲げられ腰が上がる。そのまま上から最奥めがけて打ち付けられた。

「ぁぁっ……だめっだめっ」

 内臓を破る勢いに余裕をなくしたエドゼルは、組み敷かれてから初めて激しく抵抗した。言いようのない恐怖に襲われ自分が自分じゃなくなりそうだった。なのにヒルドブランドは容赦なくさらに奥を暴こうと腰を深く挿れてくる。このままでは身体が毀されてしまいそうで手をめちゃくちゃに振るが、どれも彼の肌を掠めるだけだった。

(なっなんだこれは……やめてくれっ)

 分身の裏で感じたのとは全く違う感覚が襲ってくる。気持ちよさを自分から追いかける事しか知らなかった身体に、強引に強烈な快楽を押しつけてくる獰猛な感触がやってくる。抗いたいのにそれすらも許してはくれない強制力に、エドゼルは悲鳴を上げのたうち回った。

「これがいいのかっ」

「やだやめて、くれっ……あぁぁぁぁぁぁぁっ」
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