クロムクドリが鳴くまでは

椎名サクラ

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プロローグ

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 長きにわたり、ヴァッサーシュバイヤー大陸の大国・ブリッツシュラーク王国は魔族の脅威に晒されてきた。神が地上へ干渉しないよう神の国への梯子と称される大陸で最も高いヴァルツマ山を破壊しようとする魔族と、神と山からの豊かな恵みを受け続けた人間は戦い続けてきた。だが強大な魔力を有する魔族を相手に圧倒的に人間側は不利だった。今にも侵略を許しそうになる人々を見かねた神の使いである聖獣は、ある一族と契約を交わし魔力と魔法を与えた。

 聖獣から与えられた魔法は、魔族にとって大いなる脅威となり、ようやく力の均衡が保たれ、双方睨み合いを続けるようになった。

 時代は過ぎ、回復・防御系を得意とする者は白魔導士と、攻撃・身体強化を得意とする者を黒魔導士と呼ばれるようになった。

 白魔導士は神殿を築き、神と聖獣に感謝を捧げながら人々のためにその魔法を使った。

 反して、黒魔導士は最も優れた魔導士を頂点に据え黒魔導士だけの領地を作り上げ、魔王討伐以外は領地から出ず魔法伝承を一族の中だけで行うようにした。

 人々は魔法からもたらされる様々な知恵を駆使し、武器を作り人間を強くしていった。

 力の均衡がようやく人間側に傾き始めると、幾度にも渡る魔族との戦いに決着をつけるため、ブリッツシュラーク王国はある計画を秘かに進め始めた。
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