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本編99
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「ソーマ、そんなに締め付けないでくれ……まだお前を離したくない」
「ぁぁ……んんっすぐに動かないでっ!」
「だめだ、じっとなどできるものかっ!」
放出しない絶頂を味わっている段階でまた激しく突かれて、ソーマは狂うような痺れに翻弄されながら啼き続けた。ソーマの奥に子種を吐き出すまで、啼きながら逞しいザームエルの欲望を締め付け、たっぷりと貪った。
何度か吐き出さない絶頂を迎え、離されたころには、ソーマぐったりと寝台から起き上がれなくなっていた。そんなソーマに布団をかけ、衣服を整えたザームエルは、紅潮したまま荒い息を紡ぐ唇にそっと己の唇を落とした。
「やはりソーマは誰よりも愛おしい。お前を一人にしていくのは忍びないが、任務に戻らねばならない。連絡を待っているぞ、我が妃」
髪を撫で、頬に口づける。
その愛おしい手つきに胸が熱くなる。なぜこんなにも優しく撫でてくるのだろう。これはザームエルの元々なのか、それとも自分にだけなのだろうか。普段の彼を知らないから判断ができないが、それでもこの手を離したくないと思ってしまう。ずっとこの優しさを自分に向けていて欲しい。自分だけを愛して欲しいと、願わずにはいられなかった。
そっと出ていくザームエルの背中を、ソーマは何も言えないまま見送った。
自分が告げた言葉をちゃんと覚えていて、待っていてくれる。その優しさが嬉しくて、辛かった。
何も返せてはいない。
自分がどうしたいのかも分からないまま、ただ流されていっているだけだ。
(僕、本当にダメな奴だ……王様になっても何も変わってない)
目の前のことからすぐに逃げる癖も前世から変わらないまま、竜王という称号を得たところで、それは無意味なものでしかない。
果たしてどうしたいのか、出口の見えない洞窟を彷徨って途方に暮れる。
ノックの音がして、返事を待たずに扉を開けたのはユリウスだった。
「父さん……」
「第五王子はもう帰ったみたいだね。お邪魔するよ」
相変わらず足首に鎖を付けた状態で、それをものともせず入ってくる。当然、扉は開いたままになる。
ずっと気になって聞けないでいたそれを見つめていると、視線で息子がなにを訊きたいのか察し、ユリウスは嫋やかに笑った。
「気にしないでくれ。これはコルネリウスの精神安定剤なんだ」
「精神安定剤?」
「ああ。昔、何も言わずに彼の前から消えたからね。また同じことがないように、これで僕を繋ぎとめているんだ。可愛いだろう?」
可愛い、のだろうか。コルネリウスの狂愛をそんな一言で片づけてしまって良いのか思案していると、ユリウスは寝台の端に腰かけた。
「それ……痛くないの?」
「擦れれば少し痛いが、嫌になったら簡単に壊せるから心配はないよ。それよりも、今はコルネリウスを安心させることが大事だからね」
「ぁぁ……んんっすぐに動かないでっ!」
「だめだ、じっとなどできるものかっ!」
放出しない絶頂を味わっている段階でまた激しく突かれて、ソーマは狂うような痺れに翻弄されながら啼き続けた。ソーマの奥に子種を吐き出すまで、啼きながら逞しいザームエルの欲望を締め付け、たっぷりと貪った。
何度か吐き出さない絶頂を迎え、離されたころには、ソーマぐったりと寝台から起き上がれなくなっていた。そんなソーマに布団をかけ、衣服を整えたザームエルは、紅潮したまま荒い息を紡ぐ唇にそっと己の唇を落とした。
「やはりソーマは誰よりも愛おしい。お前を一人にしていくのは忍びないが、任務に戻らねばならない。連絡を待っているぞ、我が妃」
髪を撫で、頬に口づける。
その愛おしい手つきに胸が熱くなる。なぜこんなにも優しく撫でてくるのだろう。これはザームエルの元々なのか、それとも自分にだけなのだろうか。普段の彼を知らないから判断ができないが、それでもこの手を離したくないと思ってしまう。ずっとこの優しさを自分に向けていて欲しい。自分だけを愛して欲しいと、願わずにはいられなかった。
そっと出ていくザームエルの背中を、ソーマは何も言えないまま見送った。
自分が告げた言葉をちゃんと覚えていて、待っていてくれる。その優しさが嬉しくて、辛かった。
何も返せてはいない。
自分がどうしたいのかも分からないまま、ただ流されていっているだけだ。
(僕、本当にダメな奴だ……王様になっても何も変わってない)
目の前のことからすぐに逃げる癖も前世から変わらないまま、竜王という称号を得たところで、それは無意味なものでしかない。
果たしてどうしたいのか、出口の見えない洞窟を彷徨って途方に暮れる。
ノックの音がして、返事を待たずに扉を開けたのはユリウスだった。
「父さん……」
「第五王子はもう帰ったみたいだね。お邪魔するよ」
相変わらず足首に鎖を付けた状態で、それをものともせず入ってくる。当然、扉は開いたままになる。
ずっと気になって聞けないでいたそれを見つめていると、視線で息子がなにを訊きたいのか察し、ユリウスは嫋やかに笑った。
「気にしないでくれ。これはコルネリウスの精神安定剤なんだ」
「精神安定剤?」
「ああ。昔、何も言わずに彼の前から消えたからね。また同じことがないように、これで僕を繋ぎとめているんだ。可愛いだろう?」
可愛い、のだろうか。コルネリウスの狂愛をそんな一言で片づけてしまって良いのか思案していると、ユリウスは寝台の端に腰かけた。
「それ……痛くないの?」
「擦れれば少し痛いが、嫌になったら簡単に壊せるから心配はないよ。それよりも、今はコルネリウスを安心させることが大事だからね」
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