88 / 111
本編85
しおりを挟む
ただ自分の気持ちにばかり目が向き、すべてを後回しにしてしまった罪悪感に、小さく「ごめん」とまた呟いた。
「だって……童貞喪失したかったんです」
「なんだと?」
しょんぼりと心の中だけで呟いたが、どうやらしっかりと口に出ていたらしい。
「うわっ! あ、これはそのっ!」
「俺がいなくなった間にしっかりと処女喪失だけでなく童貞まで喪失したかったんだな、ソーマは」
「いやだから、これにはいろんな誤解があって……」
「その誤解とやらはゆっくりと聞いてやるよ。俺たちの家でな」
絶対聞いてもらえない……聞いてくれたとしてもその後の展開がもう見えてます……。
ソーマはしおらしかったのが嘘のようにまた暴れ出した。
だがソーマがちょっと暴れたくらいで歩けなくなったり落としたりするようなゲオルクではない。逞しい身体でジタバタするソーマをそのままに、どんどん歩き続けそして一軒の大きな家の前で立ち止まった。
「もしかしてここ……」
周囲よりも大きい煉瓦造りの家の扉を開き、ゲオルクは何も言わないまま二階へと上がった。
(ここ、アパートじゃない)
大きいのに一軒家だ。二人の他に人はなく、乱暴に開けられた二階の一番奥の部屋には、大きな寝台がドーンと鎮座していた。
これから何が始まるのか、もう嫌でも理解したソーマはベッドの上へと乱暴に投げ出された。
「あの……ゲオルク……えっともしかして……」
一縷の望みをかけて訊ねてみたが、その前にゲオルクは着ていたものを脱ぎ始めた。
「ちょっ!」
「あいつに聞いた。お前、一か月以上も二人で過ごしてたんだってな。その分を取り返してやる」
上着を投げ捨て逞しい肌を露にしたゲオルクは、寝台に乗りあがった。
「とりかえすって……」
どんな意味なのか、知りたいような知りたくないような……。
これから何をされるのか分かっているのに、ソーマは寝台に投げ出されたままの姿勢で動こうとしなかった。正確には動けなかった。もう期待に蕾の奥がジンジンと熱くなり、言葉とは裏腹に身体が火照り始めていた。触れられてもいないのに、されるんだと思うだけで腰が痺れ始めていた。
「ソーマの身体に、あいつといたのと同じだけの時間、俺のを挿れてやる」
言うや否や、ゲオルクはソーマの着を脱がしにかかった。乱暴にズボンを抜き、下着も剥ぎ取る。
「ちょっ……やだっ!」
身体をくねらせながら、抵抗しているのかそれとも脱がしやすくしているのか分からない動きをしながら、口ではしおらしく嫌がってみせる。だが本当に嫌なのかと問われればソーマにもわからなかった。
すべてを剥ぎ取られ一カ所以外が生まれたままの姿になる。
そこをゲオルクがじっと見つめた。
「どうしたんだ、これ……どこかで切ったのか?」
いびつに服で巻いた手首の布をそっと辿られる。
「まあそんなところ」
金を得るために鱗を取った際の傷とは、さすがのソーマも口にはできない。
「……痛かったな」
ゲオルクは傷ついた腕を取ると、無様な包帯の上に唇を落とした。
「だって……童貞喪失したかったんです」
「なんだと?」
しょんぼりと心の中だけで呟いたが、どうやらしっかりと口に出ていたらしい。
「うわっ! あ、これはそのっ!」
「俺がいなくなった間にしっかりと処女喪失だけでなく童貞まで喪失したかったんだな、ソーマは」
「いやだから、これにはいろんな誤解があって……」
「その誤解とやらはゆっくりと聞いてやるよ。俺たちの家でな」
絶対聞いてもらえない……聞いてくれたとしてもその後の展開がもう見えてます……。
ソーマはしおらしかったのが嘘のようにまた暴れ出した。
だがソーマがちょっと暴れたくらいで歩けなくなったり落としたりするようなゲオルクではない。逞しい身体でジタバタするソーマをそのままに、どんどん歩き続けそして一軒の大きな家の前で立ち止まった。
「もしかしてここ……」
周囲よりも大きい煉瓦造りの家の扉を開き、ゲオルクは何も言わないまま二階へと上がった。
(ここ、アパートじゃない)
大きいのに一軒家だ。二人の他に人はなく、乱暴に開けられた二階の一番奥の部屋には、大きな寝台がドーンと鎮座していた。
これから何が始まるのか、もう嫌でも理解したソーマはベッドの上へと乱暴に投げ出された。
「あの……ゲオルク……えっともしかして……」
一縷の望みをかけて訊ねてみたが、その前にゲオルクは着ていたものを脱ぎ始めた。
「ちょっ!」
「あいつに聞いた。お前、一か月以上も二人で過ごしてたんだってな。その分を取り返してやる」
上着を投げ捨て逞しい肌を露にしたゲオルクは、寝台に乗りあがった。
「とりかえすって……」
どんな意味なのか、知りたいような知りたくないような……。
これから何をされるのか分かっているのに、ソーマは寝台に投げ出されたままの姿勢で動こうとしなかった。正確には動けなかった。もう期待に蕾の奥がジンジンと熱くなり、言葉とは裏腹に身体が火照り始めていた。触れられてもいないのに、されるんだと思うだけで腰が痺れ始めていた。
「ソーマの身体に、あいつといたのと同じだけの時間、俺のを挿れてやる」
言うや否や、ゲオルクはソーマの着を脱がしにかかった。乱暴にズボンを抜き、下着も剥ぎ取る。
「ちょっ……やだっ!」
身体をくねらせながら、抵抗しているのかそれとも脱がしやすくしているのか分からない動きをしながら、口ではしおらしく嫌がってみせる。だが本当に嫌なのかと問われればソーマにもわからなかった。
すべてを剥ぎ取られ一カ所以外が生まれたままの姿になる。
そこをゲオルクがじっと見つめた。
「どうしたんだ、これ……どこかで切ったのか?」
いびつに服で巻いた手首の布をそっと辿られる。
「まあそんなところ」
金を得るために鱗を取った際の傷とは、さすがのソーマも口にはできない。
「……痛かったな」
ゲオルクは傷ついた腕を取ると、無様な包帯の上に唇を落とした。
0
お気に入りに追加
1,613
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる